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株式会社ABC、冨田和宏常務 TOPから学ぶ

冨田和宏/株式会社ABC 常務取締役 執行役員 営業本部長。大学卒業後5年間、ホール企業で勤務。2007年、株式会社ABC入社。人材開発部部長、営業副本部長、業務本部長等を経て、常務取締役に就任。静岡、山梨、長野で全41店舗を経営する。

今回は株式会社ABCの冨田 和宏常務に登場いただきました。子供の頃からいずれは家業に入ることを意識していたという冨田常務。他社での現場経験を経て、自社に入社されました。ご入社されるまでの経緯から、入社後の取り組みについて、常務が印象に残っている取り組みだというクレドについてと、今後のビジョンなどをお伺いしました。

冨田常務、本日はよろしくお願いいたします。まずはこれまでのご経歴から伺いたいと思います。

子供の頃は家業について漠然としたイメージしか持っていませんでしたが、いずれは家業に入るだろうなとは考えていました。そのため、学生時代は今しかできないやりたいことを全力でやってみたいと考え、昔から興味のあったデザインを学ぶために美術大学に進学しました。

大学卒業後、御社に入社されたのでしょうか?

いえ、まずは勉強として5年間関東のホール企業に勤めていました。当初は2、3年の予定でしたが、現場の仕事にやりがいを感じ、副店長までやらせていただくことができました。次は店長を目指そうと考えていた頃に、社長から戻ってくるように言われました。現場の仕事は面白かったので、上を目指したいという気持ちもありました。ですが、もともとは自社を継ぐための勉強でしたので、2007年に社員として自社に入社しました。

入社当初は、どのようなことから取り組まれたのですか?

まずは会社の内情を知ることから始めました。入社後1年間は、本社の各部署を回り、それぞれの部署がどのような仕組みで動いているのかを覚えました。同時に自社の全店舗を見て周りました。競合店との立地関係や、お客様の流れ、店舗の社員の動きなど、まだ客観的な視点で見ることができるうちに知っておきたいという思いがありました。

この1年間は会社のことを知れただけでなく、自分ができること、やるべきことはなにかもじっくり考えることもできました。

その頃、社長からはなにかアドバイスはありましたか?

「経営者の仕事はバランスシートをよくすることだ」と言われたのを憶えています。現場である程度営業の数字については学んでいましたが、財務諸表等の経営の数字に関しては全くの素人でした。バランスシートをよくするにも、まずは経営学について学ばなければと、独学での勉強や、セミナーに通うなどしてひとつひとつ覚えていきました。

今思うと、社長は私に経営者の視点を持ってほしいと思ってのアドバイスだったのかもしれません。

その後は、どのような仕事をされていたのですか?

新たに人事部門から独立した人材開発部の部長を任され、人材育成の強化のための研修の企画・実施やOJTの仕組み作り等をしていました。前の職場も人材育成には熱心で、私自身も様々な研修を受けさせてもらっていたので、その経験を自社にフィードバックできると感じました。

具体的にはどのような取り組みをされていたのでしょうか?

当時の事業計画を元に研修を企画・実施していました。今までの研修をそのまま実施するだけでは自分がやる意味はないと考え、自主選択型の研修の導入や、著名な経営者や講師を招聘した研修の実施、OJT指導マニュアルの策定、接客褒章制度の導入など、様々な研修や仕組みを企画しました。

当時は社員の定着率にも課題を抱えていましたので、入社してくれた社員がいかにやりがいを感じて働いてもらうかということも仕組み作りの大きなポイントでした。

当時はどんなことにやりがいを感じられていましたか?

当社は、私が入社した当時、すでに35店舗にまで拡大していました。社内の制度なども整いつつあり、企業として安定期に入っていました。そのため、現状に満足して変化を求めようとしないような風潮を感じていました。だからあえて、当社とは毛色の違うものをぶつけて、どんな化学反応がおきるかを見たかったんです。

企画した研修を受けた社員が自主的に学ぶ機会を作ったり、学んだことを翌日から店舗で実施している姿を見るのは嬉しかったです。新しいことを取り入れて、それが社員の成長のきっかけになっていると感じられることがやりがいでした。

これまでで、ご自身にとってターニングポイントになったと感じられていることはありますか?

正直ターニングポイントだと感じたことはまだありませんが、強いてあげれば、ちょうど自社が60周年を迎えた昨年、創業者である祖父が亡くなったことです。それまでは、将来どうしていくべきかを考えるあまり、過去を振り返る機会はなかったように思います。祖父の死は、自社の歴史について改めて振り返るきっかけになりました。

創業当初、2度店舗が火災に見舞われたことや、心労で長期間胃潰瘍を患ったことなど、祖父の死をきっかけに社長から初めて聞かされた話も多くあり、改めて60年の重みを感じました。

当社は、「どこよりも玉を出して、お客様に喜んでいただきたい」という創業時の理念・想いから、今日に至るまで薄利多売の低玉貸営業をしてきました。利益とは、お客様に喜んでいただいて初めていただくものだという先義後利の考えが強く根ざしています。その理念を絶対に変えてはいけないと改めて感じ、生涯に渡って、この会社を守り、そして発展させ続けることを強く心に誓いました。

入社されてからの7年間で、一番印象に残っている取り組みはなんですか?

2011年にクレドを制定したことでしょうか。合理化・効率化の弊害として、社員はどうしても指示待ちの傾向が強くなります。

与えられた仕事だけをこなすのではなく、自発的な行動を促すにはどうすればよいかを模索している中、ちょうど社長からクレドの提案がありました。制定に関わりたいとお願いし、私を委員長として、十数名のメンバーで委員会組織を立ち上げました。その後定期的な会議を重ねて、1年程かけて完成させました。

クレドの作成において、特にこだわられたことはありますか?

「社員みんなでつくる」ということにこだわりました。会社のトップがつくったものを社員に浸透させるのではなく、社員の声を集めて、全員が参画意識を持てる形でつくるというプロセスを重視しました。

さらに、ステークホルダーの皆様の声も取り入れたいと考えました。

クレドをつくるにあたり、まずはどんなことから始められましたか?

まず当社にとってのステークホルダーを、お客様、共に働く仲間とそのご家族、お取引先様、地域社会と定義し、それぞれへのアンケートを実施しました。当社をどのように思っていらっしゃるのか、今後どうなってほしいのか、正直なお気持ちを聞かせてほしい、という内容でした。

ステークホルダーに社員の方のご家族を設定する企業というのは珍しいのではないですか?

そうですね、ですがやはりこの業界の特徴かもしれませんが、ご家族のご理解をいただくことは非常に重要なことです。ここ20年程で業界は大きく変わりましたが、それはあくまで私たち業界の人間だからこそわかることです。当社でも未だに内定者のご家族の反対から、内定辞退を受けることがあります。

少しでもご家族の方からのご理解をいただき、働くことを支援してもらえるような会社になっていかなければと考えてのことでした。

実際にご家族の方から「パチンコの悪いイメージを払拭して欲しい」「誇りを持って働ける会社になって欲しい」という期待のお言葉をいただきました。会社の方針としても、私自身としても、業界のイメージアップは以前より取り組むべきテーマとして認識していました。そこで、基本指針には「業界のイメージアップへの貢献」という言葉を入れています。

アンケートはどのくらい集められたのでしょうか?

約4,000人分が集まり、お褒めの言葉、厳しい言葉、様々な意見をいただきました。それらの意見をもとに全店舗でミーティングを実施し、私たちが意識すべき、取り組んでいくべきことを考え、基本指針と行動指針を制定しました。

クレドは作るだけでなく、社内に浸透させなければ意味はありません。まだまだこれからやるべきことはありますが、それでもつくり上げたということには一定の達成感がありました。

現在は社内に浸透させるためにどのようなことをされていますか?

カードにして、全社員が携帯しています。もちろんただ持っているだけではなく、日々の業務の中での実践を心がけてもらえるような様々な仕組みを毎月の委員会で話し合っています。

クレド

例えば、クレドの実践によってお客様やお取引先から「ありがとう」を頂いた事例を、イントラネットを使い全社から集め、その中からピックアップして、事例を新聞として毎日配信しています。失敗やトラブル事例を共有して再発防止する仕組みは以前からありましたが、併せて感謝の事例、良かった事例を共有する仕組みを構築することで、接客の幅が広がり、マニュアルに縛られない臨機応変な対応が増えたような気がします。

デイリークレド

現在、ご自身が力をいれられていることはなんですか?

現在は営業本部長という立場ですので、各店舗の稼働アップ、シェアアップを目指し、経営方針にもある「高品質なサービスと安価なパチンコ娯楽の提供」を実現するべく日々取り組んでいます。 遊技機や広告宣伝等の営業戦略ももちろん重要ですが、それに加えてクレドの実践等、長年培った人材力で他社との差別化を図っていきたいと考えています。

また新規出店に加え、ここ数年は既存店の改装にも力を入れていき、全体のサービスクオリティを高めることで競争優位性を高めていきたいと考えています。

冨田常務ご自身の目標はなんですか?

遊技業としてだけでなく、一企業として社会に必要とされ続けるような会社にしていくことが目標です。そしていずれは、安心して会社を引き継いでいただけるように、日々勉強していきたいと思います。

スタッフの方に向けてメッセージをお願いいたします。

目標を持ち、楽しんで仕事をしてもらいたいです。 当社で働くことによって、業務のスキルだけでなく、人間として成長できるような環境を用意したいと思っています。 特に現場の仕事は、最もお客様から直接「ありがとう」をいただくことができます。 非常に大変ですが、その分やりがいもたくさんあります。 たくさんの「ありがとう」をいただける仕事をしてもらえたらと思っています。

最後に業界の方へのメッセージをお願いいたします。

お互いに切磋琢磨していい業界にしていければと思います。

私たちがするべきことは表面的なイメージアップではなく、それぞれが本業をしっかり全うして、遊技業としての社会的責任を果たすことだと思っています。 自分たちの存在意義はなにかを常に考え、遊技業に関わる方全てが業界を良くしていこうという気概を持って、やるべきことをひとつずつ積み上げていけば必ず業界はよくなると信じています。

ありがとうございました。

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