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株式会社太洋社、金 貴如社長 TOPから学ぶ

金貴如/株式会社太洋社 代表取締役。和歌山県で1,000台規模の1店舗を経営。理念である「日本一最高のエンターテインメントホスピタリティ企業」の実現を目指す。

今週は株式会社太洋社の金貴如社長に登場いただきました。もともと家業を継ぐつもりはなかったという金社長。しかし、あることがきっかけで自分がやるしかないと決意し、入社されました。「やると決めたらやり通す」という信念の元、これまで様々な改革をされてきたそうです。入社に至るきっかけ、入社後に行ったことについて、金社長の人柄やモノの考え方についてお話をお伺いしました。

本日はよろしくお願いします。まずは社長になられるまでの経緯をお伺いできますか?

25歳の時、父が経営するこの会社に入社しました。それまではどこかに就職していた訳ではなく、フリーターで、リサイクルショップやパチンコホールなどの仕事を経験していました。格好よく言えば“自分探し”ですが、特別に何か目的があったわけではありませんでした。

会社を継いでほしいというお話はあったのですか?

いえ、全くありませんでした。それに、もともと家業を継ぐつもりもありませんでした。小さい頃から親の姿を見てきて腹を括らないと出来ないなと思っていたので、「絶対にしんどい」と思っていましたし、継ぐ気は起きなかったです。むしろ、小学生の頃から自分で商売したいなと思っていました。

そんな中、入社に至ったきっかけは何でしょうか?

母親に頼まれ、10年ぶりに店舗に行くことになったのですが、お店に入った瞬間、「つぶれるな」と感じたんです。それがきっかけです。

お客様はおらず、スタッフは店内でタバコを吸ったりコーヒーを飲んだりして休憩しているような状況。パチンコは良く行っていましたが、こんなやり方をしていたら流行らないのは当たり前だと感じましたし、「ここまで遅れているのか」と衝撃を受けました。

そんな現状を目の当たりにして、「俺がやるしかない」と思ったんです。そこで父であるオーナーに「手伝わせてください」とお願いし、入社しました。

先代に手伝いたいと言った時の反応はどうでしたか?

特別なことはなかったです。元々継いでほしいと思っていたのだと思いますが。私はどこかでしっかり修行してからと思っていましたが、その件を父に話したら、すぐに来いと言われました。

結果的に、「商売がしたい」という小学生の頃からの夢を叶えることになったんですね。

でもやはり0から1を創る方がいいです。会社の歴史が長ければ長いほど、その会社に関わる人たちが多くなり、組織の大部分が既に構成されています。そうではなく、自分で作っていくのが好きなんです。それが理由で、継ぎたくないという気持ちがありました。

入社当初はどのような役割で仕事をされていたのでしょうか?

社長になるまでずっとマネージャーでした。最初は何にもわからなかったので、入社して3か月間は会社のいろんな部分を把握し、私の中で問題点を明確にしていくということをしていました。当時は変わらなければお店を閉めなければいけない段階に来ていたんです。従業員にも説明し、「1年待つから変わってください」と伝えていきました。

従業員のみなさんの反応はどうでしたか?

結果として辞めていく者がほとんどで、私が入社して1年後には従業員のほとんどが入れ替わりました。当時の私は、有無を言わせない態度でしたから、それは失敗だったかなと思います。

変わることに対して人は嫌がりますし、それが好きな人はいません。変わってくださいと伝えると、「変わること」を目的としてしまいがちです。しかし、大事なことは変わることではありません。まず目標があり、それを達成するための手段として変わることが必要ならそうすべきということです。この話は今も従業員によくしますね。

この改革について、オーナーから何か意見はありましたか?

「やりだしたら中途半端にはしない、やると決めた以上やり通す」これが私の性格です。これに加えて、オーナーにこういうことが必要で、こういう将来があることをしっかり事前に説明したため、信頼して任せてもらえたことが、要因にあると思います。

私はオーナーが父親という感覚で仕事をしていません。父と考えてしまうと、甘えが出てしまうためです。一ビジネスマン、一管理職として、関係を築いているからこそ、組織のことをしっかり考えた取り組みが行えたのです。

店舗を3店舗から1店舗にしたとお聞きましたが、そちらはどうでしたか?

1店舗にまとめ、大型店舗にすることはずっと前から話をしていました。

これはいろんな取り組みのおかげで、予定より2年程早まりました。ノウハウや財務などの必要な資源があったかというとそうでもないんですが、たとえ成功率が6,7割でも、強い気持ちを持って取り組むことで叶える事ができることを、体験できました。

その後は、どの様な取り組みをされたのですか?

私はずっと店舗しか見ていませんでした。

店舗の営業調整、お金の計算、アルバイトのシフト作りなどを、ずっと会社で寝ずに取り組んでいました。がむしゃらと言うより、無我夢中に、全部自分でやっていました。

なので、人材育成はやっておらず、当時の私はスタッフと話をすることが、時間の無駄とも思っていました。でも、とあるセミナーに行ったことで、その考えは変わりました。

そのセミナーで学んだことはとてもためになりました。しかし、それを実行できるかというと、そのとき私自身はすでに業務量が手一杯。今の状態で自分がやるのは難しいと思いました。では他に誰ができるのか?考えたときに、できる人を育てる必要があるんだと思ったんです。

人材育成に取り組もうと思われたときに、まずはどのようなことをされましたか?

長く働いている人に店長を任せようとしました。給料が上がって喜ぶだろうなと思ったのですが、実際には「無理ですよ」と断られたんです。理由は「マネージャーと同じことはできません」ということでした。それを聞いた時、不思議と「なるほど」と思ったんです。

当時の私はほとんど寝ずに仕事をしていました。営業数値は上がっていましたが、別に楽しいとも思っていませんでした。そんな私の姿を見ていたら、自分もそうなりたいとは思わないですよね。それに気づいたんです。

そこで、まずは現場のアルバイトの育成をしました。私が講師を務めて勉強会もしました。そうしてアルバイトは良くなっていったのですが、彼らは私より社員といる時間の方が多いんです。アルバイトと社員の差が開いてしまったために、関係性が上手くいかなくなりました。社員たちに競争心を掻き立てるためにはどうすればいいかを考えた結果、新卒採用を始めることにしました。

新卒採用を始めることに対して、社内の方の反応はいかがでしたか?

最初はみんな反対でした。アルバイト・社員が辞めていく環境にもかかわらず、新卒採用をやる必要があるのかと。しかし今期で4期目になりますが、これまで採用してきた新入社員で退職したのは1人だけです。

新卒採用活動は社長自らされているのですか?

はい、私が採用に携わっていますので、太洋社がどうではなく、人として価値観が共有できる学生に内定を出しています。 新入社員研修でも、最初は「私の人生について」という研修をしています。新入社員に自身の人生について話してもらい、それをずっと聞いています。これから一緒に働く人のバックグランドを知らないことは失礼だと思っているからです。

人材育成・新卒採用が御社にとってはターニングポイントなのでしょうか?

そうですね、でも一番大きいのは、ある社内トラブルです。

この人なら大丈夫だと思って信頼していた人物が、大きなトラブルを起こしてしまいました。その時、2つの言葉が頭をよぎりました。「会社はトップの器以上に大きくならない」と「もとはこちら(もとはと言えばこちら。鏡の法則)」。私はこの2つの言葉を胸に仕事していたので、人一倍ショックが大きかったです。

人は、やったら罰が返ってくると思ったら、やりません。でも、やっても大丈夫だと思ったらやってしまいます。これがうちの現状かと感じ、会社も私自身も変わらなくてはと思ったターニングポイントでした。

人は現象にフォーカスしがちだと思います。この人はああ言った、あの人はこうしたなど。そうではなく、大切なことはその人の奥にどのような考えや想いがあるのかだと思います。従業員と話をする時は、その考えや想いの部分を伝えるようにしています。

でも、組織の運営では結果が全てです。皆がやりがいを感じて働いてくれれば、組織は絶対上手くいきます。結果そういかないのはどこに問題があるのか?その部分をちゃんと見つけ、根本から改善することが重要です。そのために、目の前に起こることに真摯に向き合っています。これもトラブルの経験をしたからこそ、頭ではなく心で理解できたと感じています。

社長が大切にしていること・信念などはありますか?

私は座右の銘が3つあります。

・生きているだけで丸儲け
・和して同ぜず (人と協調はするが、道理に外れたことや主体性を失うようなことはしないこと)
・われ以外みなわが師 (自分以外の人すべてが先生であり、自分を育ててくれるのは関わったすべての人。心がけ次第で自分以外の人たち全てから、何かしらのことを学ぶことができる。)

世の中、自分に必要なことしか起こらないと考えています。だから挫折せず、取り組み続けることをモットーとしています。

これは「スラムダンク」の影響が強いです。スラムダンク大好きで、ビジネス書だと思っています。有名な安西先生の言葉、「諦めたらそこで試合終了ですよ」には深く感動しています。世の中うまくいかないことなんて、いっぱいあると思うんですよ。たとえ今、それに対して取り組んでなくても、継続的に行っているだけでも大きな成果につながると思います。失敗はいっぱいありますが、自分の頭の中で考えているだけで何もしない、ということはしません。しつこく実行していることこそが重要だと思っています。

今後の会社の計画や、自身の夢についてお伺いできますか?

「日本一最高のエンターテインメントホスピタリティ企業をつくること」を目指しています。

お客様には最高のサービスを提供し、従業員に働いていることが楽しいと思える環境を提供していきます。なぜ和歌山県1店舗企業が、日本一を目指すかと言うと、実現できることを証明したいからです。

正直、パチンコは斜陽産業にあります。そんな中で、私たちが日本一を実現できるとは、大多数の人が思っていないでしょう。しかし、中小企業のトップが夢を見、目指していかないと日本は良くならないとも思います。自分で決めたことをやり遂げ、実現することで、世の中に証明したいです。

そして、2020年までには店舗数を10店舗にします。10店舗目は東京に出店する予定です。ちょうどオリンピックの年と決まり、最高のホスピタリティ「おもてなし」ができるよう突き進んでいきます。

それから私はパチンコ事業に強くこだわっていません。サービスが提供できるものなら何でもOKです。でも、パチンコの接客は他業界のサービスでも通用する、むしろそれ以上であると思っています。それを証明する取り組みを行っていきたいと考えています。

「ラブアカデミー」というサービス専門の学校を作りたいんです。そこではサービスの勉強だけではなく、日本と親和性の強い国に教育モデル・パッケージとして提供することも考えています。ここで学ぶことで、将来素晴らしい実績を得られるということ表現したいのです。目的に向かって取り組んでいる今、仕事が楽しいです。

ありがとうございました!

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