パックエックス通信

株式会社パック・エックス、代表取締役井手誠三 TOPから学ぶ

井手誠三/株式会社パック・エックス 代表取締役社長。井手が「パチンコをもっともっと身近な娯楽にしたい。」という思いで会社を立ち上げたのが1994年のことでした。それ以来、変えることなく大事にしてきたこの思い、この考えが全ての事業のベースとなっています。

パック・エックス通信を御覧の皆様、こんにちは!突然ですが先日2010年10月1日、株式会社パック・エックスの第18期がスタート致しました。業界に特化してビジネス展開をさせて頂いている当社が、18年という長い歳月を経てこの日を迎えられたのは、この業界の皆様にご支援を頂いたからこそであり、それ以外のなにものでもありません。ということで本日は、感謝の気持ちを込め、当社代表取締役 井手誠三の言葉を掲載させて頂きたいと思います。

この3年間を振り返ると、パチンコ業界におけるこれまでの価値観やビジネスモデルは大きく崩壊したと言っても過言ではありません。2007年の5号機問題、リーマンショックに端を発する深刻な世界不況、高い失業率や将来不安により萎縮する消費、改正貸金業法による軍資金の減少などが生じ、これらに引きずられるかのように全国で低玉貸し営業が拡大しています。

ピンチはチャンス!と言う言葉をよく耳にしますが、現状はそんな生易しい言葉で括れるような状況ではありません。ピンチは深刻なピンチです。今我々、パチンコ業界は深刻な暴風雨の中にいます。過去の不況時のように、ちょっとした工夫やちょっとした改善で克服できる程、今回の不況は簡単ではありません。

しかし、このような深刻な崩壊の中だからこそ、これまでの価値観を捨て去って見えてくるもの=原点、があるのもまた事実です。パチンコ業界を襲っている変化の大波の一つ目は、収益水準の大幅な落ち込みです。

景気が良くて可処分所得が多く、みんながレジャーを謳歌していた時代には、全国に多くのパチンコホールが乱立し、高い玉単価でもたくさんの人達が遊んでくれました。

しかし、長引く不況や将来不安、そして軍資金の減少によって、行きたくても行けない人達が増え、遊ぶにしても少ない投資金額で遊ぶ(低玉貸し)という人達が増えているので、店舗の収益は大きく落ち込んでいます。安く楽しく遊んでいただき、それでも収益が残る利益構造にしなければ、今後生き残っていくことは難しい時代です。4円が1円になったことで単純計算では売上は4分の1になり、粗利率が高くはなったものの、それでも減収・減益になります。

次にパチンコ業界に対する大幅かつ先の見えない金融引き締めがあります。

かつては出店費用を出してくれていた銀行や、新台入替に貢献してくれたリース会社は、現在は勿論のこと今後も当分資金を出すことは見えない状況です。大手のホールさんのように資金調達手法が多様化している場合でも、この不況下では資金調達はなかなか困難な状況です。ましてや中堅中小規模であれば、銀行やリースからの調達が止まれば、知人から借り入れするなどしか思い浮かばないというケースがほとんどです。

最後にファンの行動変化があげられます。

これまでの業界はメーカーさん主導で新台を開発・生産し、ホールさんがこれを導入し、ファンは受身的にホールさんに並んでいる台の中から遊ぶ台を選んでいるという状況でした。このような状況の下で経営環境が厳しくなった結果、立場の弱いファンに過度に負担がかかっています。多くのファンがパチンコ業界から去っていく中で、残ったファンも死なないために賢くなっています。より多くの台の情報を仕入れ、鉄板イベントを見抜いてお店を回遊し、短命で終わることの多い新台は最初から抜かれると思ってあまり積極的に手を出しません。そのことが昨今の新台不調にもつながっています。この現象はヘビーユーザー中心なので、当然のことと言えます。

他の業界を追いかけるかのように、パチンコ業界においても消費者主導という変革の波が近づいてきています。

わずか3年で、ファン(顧客)の変化・収益構造(商売自体)の変化・金融(資金)の変化という大きな波が押し寄せ、まさに人・モノ・お金の3つが根底から変わってしまったというのが現在です。そのような中で、小手先の工夫や努力だけで状況を変えることは極めて難しいです。ここに至っては、これまでの価値観を根底からひっくり返して考えることが必要な時代です。

例えば、『資金』であれば、銀行が貸してくれないなら誠心誠意話し合いをして返済の額やスピードを遅くしてもらう「リスケジュール」をすることも必要ですし、新規調達が必要であれば自社所有にこだわらず、セール&リースバックなどにより資産のオフバランスと引き換えに節税も含めて資金を手に入れることも手法の1つです。

一方で過剰な宣伝や改装も、結局はファンから回収することになるので、競合他社がやっているからという安易な理由で行うのではなく、かけずに済むコストと必要なコストの見極めをしっかりした上で資金をかけることも必要です。

一方で資金が捻出できるようになれば、残念ながら閉鎖してしまったり競売にかけられてしまった店舗で有望なものがあれば、非常に安いイニシャルコストで開店し、お客様に還元しながらも安定収益を上げることもできます。そうすれば“商売自体”が少額投資でファンに還元しながら、同時に安定収益を実現できるようになります。

また、『ファン』に対しても、最近これまでと違った動きが現場で出始めています。

原点回帰として、今まで以上にファンの方々にどんなサービスを提供したらよいのか、ファンの方々は何を望んでいるかに目が向けられています。機種説明1つを取ってもかなり懇切丁寧に凝ったものを提供されるお店が増え、ファンの方々が「もうちょっと遊んでみようか」「明日また来てみようかな」という動きにつながっているのが弊社調査のデータでも如実に出ています。店舗環境でも低玉貸し=長時間遊技ということで、再び店内の匂いの改善を真剣に考えるホールさんも増えています。同時にメーカーさんでも、ここ最近までは高騰の一途だった遊技台価格もリユースなどにより一定の低価格化の方向も出つつあります。

このように直近3年間の激変(既存価値観の崩壊)を経て、現在市場で出始めている「兆し」を見ていると、かつてなかった程に業界全体(メーカーさん・ホールさん)が、ファンを向き始めていることが分かります。我々が発行させていただいているこのメールマガジンのインタビューでも、業界の様々な方のご発言から、ファン目線ということを強く感じています。

崩壊の中から見えてくるもの。それは、原点回帰である「ファン=消費者」とどう向き合い、自らをどう変化させていくかに他なりません。

かつて、新台の発表会ではホール関係者向けにたくさんの予算を使った派手なショーや演出をされるメーカーさんが数多く存在しました。しかし今は、発表会にファンも参加できる時代になっています。そしてそのファンがブログやツイッターを通じて別のファンに発信をする動きが出てきています。

パチンコはかつて誰もが気軽に遊べるNeighborEntertainment(ご近所娯楽)だったはずです。それによって日本のレジャー市場全体の約半分を占める巨大な産業になりました。いま、我々はメーカーさん・ホールさん・関連業者さん、それぞれの立ち位置で、「ファンが中心」の目線になりつつあります。

近い将来、業界全体が力を結集して同じベクトルへと流れていく日が来ることを、一業界人として強く願う今日この頃です。

皆様、日頃はパック・エックス通信をご愛読いただきまして誠にありがとうございます。

これまでも、そしてこれからも一層、私共は皆様と一緒にファン中心のパチンコ業界に変革していく活動を続けてまいります。

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