パックエックス通信

株式会社協商、孫 浚赫社長 TOPから学ぶ

孫 浚赫/株式会社協商 代表取締役。2010年に父が創業した株式会社協商に入社し、その2ヶ月後に代表取締役に就任。現在は東京3店舗、千葉1店舗を経営する。

今週は株式会社協商の孫社長のインタビューです。代表に就任されて4年目の孫社長。お若いということもありますが、朗らかで親しみやすいお人柄が風通しのよい(意見交換が活発で、スピードがある)社風につながっているのではと感じました。代表就任から3年経ち、これからが攻めの時代だという孫社長に、これまでと今後のお話、パチンコ業界の中では早い段階から始められた新卒採用について、そして今後について伺いました。

本日はよろしくお願いします。まずは社長になられるまでの経緯をお伺いできますか?

協商は、私の父である初代が創業した会社であり、私は3年前に二代目代表として就任しました。贅沢なことだとは理解していますが、大学時代を含め、当初は跡を継ぐということは全く考えていませんでした。決められた道は嫌であると、自身の道は自身で探したい気持ちでいました。

ただ、パチンコ・スロットには大学生の時代から接していましたので、興味がなかったわけではありません。「好きこそ物の上手なれ」という様に、自身の運命(さだめ)を受け入れ、自身の気持ちの真意を知るため、大学時代での休み期間を利用して、他社のパチンコホール店にてアルバイトを経験しました。

そこでの経験を含め、自身の気持ちにやっと覚悟ができ、大学時代後半では、自分もこの道を進もうと決めていました。その頃には、父とも跡を継ぐことを話し合うようになりました。

では大学卒業後に御社に入られたんですか?

2009年4月頃に父が病気で倒れました。1年間は、私の我を通していましたが、「学業より経験」と思い、学生に区切りを付け、翌年4月に入社し、入社2ヵ月後には代表に就任しております。

跡を継ぐとは決めていたものの、そのタイミングは急に訪れたという感じだったんでしょうか。

そうですね。だから、もっと早い時期に準備をしておくべきだったと今も思っています。学生時代、専門的な経営の勉強を完全に行えた訳ではありません。自身でパチンコについて独学で勉強していたことはありました。しかし、今強く感じることは、「最も大切なことは知識ではない」ということです。

知識は武器としては必要だと思いますが、その武器を握るのは「体」です。その「体」というのは、「精神」だと思っています。自身の「心構え、哲学」という精神力が何よりも軸になるのです。極端に言うのであれば、社長というのは会社の看板であると考えています。船で例えるならば 船長であり、船の進むべき方針を定める役割です。だからこそ、自身なりの哲学を持って進もうと思います。船を動かすのは、私も含め、社員全員でやれば良いと思っています。

知識は、あとからでもついてきます。今学んでいることを仕事に結びつけながら、実際にやってみることをいつも強く意識しています。そうすることで、一つ一つが身についていくのだと信じています。

入社されてすぐはどのようなお仕事をされていたんでしょうか?

最初は、「幹部候補」として、他の社員と同じく、ホールを回っていました。社長に就任してからも、ホールに出ることは止めていません。というのも、私は「現場主義」が大切だと思っているからです。それは、他社のお店で学んだ精神でもあるし、入社してから学んだことでもあります。

入社2ヵ月で社長に就任したものの、最初は何をすれば良いのか分かりません。仕事自体もホールスタッフとしての延長でしかありませんでした。でも、やはりそれが原点でした。「現場と本社の考えが違う」ということは現実的に起こりうることだと思いますが、「その間を如何に繋いでいくのか」が大事だと考えています。当たり前ですが、会社は社員が作るものですから。

ただ、私の求める「現場主義」に答えは出ていません。それを見つけるためにも、私自身が現場に出るということは大切なんじゃないかと今も思っています。

社長がホールに出られたときのスタッフの方の反応はどうですか?

当然、私がいたら社員はオロオロします。私は、ホールに立つことがそもそも好きなんです。周りからは反対意見もありますが、お客様の声を直接聞けますしね。また、せっかく社員と一緒にホールを回るのだから、何かみんなに刺激を与えられないかということも常に考えながらやっています。

しかし、ホールに立つには、私の絶対的なルールを設けています。それは「店舗内での決定権は店長が持つ」ということです。店長には、ある程度の裁量権を持たせています。「店のスタイルを作る」ということを任せていますので、私のその場での勝手な判断で流れを崩したくないためです。

社長に就任されて、スタッフの皆さんの反応はいかがでしたか?

前社長が倒れて二代目が跡を継ぐという体制に、社員達は不安だったと後から聞いています。当然なことだと思いますが。私が社長就任時に真っ先に社員に表明したことは、「今後も今までの様にリストラはない」ということでした。

私は分からないことばかりで混乱させてしまうことも多くありましたが、結果的に、社員に支えられ、組織がまとまって進めた時期でありました。その期での営業計画も達成して行けました。そこで生まれたんでしょうね。今のうちは、「自分は看板で良い、後はみんなとやれば良い」ということが。

社長になられてから、以前から変えたことは何かありますか?

約2年前に「協商」のCIを整え直しました。ただ、それはこれまで会長(前社長)が30年近くやってきたスタイルがあったので、完全に新しいものを作ったというよりも、以前からあったものを組み替えたという方が正しいのかもしれません。そういう意味も含めて、2代目体制が始まって4年目になりますが、ようやく私の色がにじみ出てきたのかなと感じています。これまでは、新体制としての基礎固め、体制固めがメインでありましたが、これからは進行の時代です。

約2年半前に、店長人事がありました。店長未経験の社員から2人の新店長が誕生しました。年功序列ではなくて、実力主義であること、新しい風が必要であることを踏まえた新人事でした。

私はそこで人が成長するということを、真に理解しました。店長を経験したことのない2人は、2年半余りで大きく成長しました。これからも、社員の育成には力を入れて行かねばならないと思っていますが、2人の成長を傍で見られたことは、私に取っても大きな経験になりました。会社で一番大切なのは、社員であり、社員の力です。

今社員教育という点では、課題だと感じていらっしゃることは何かありますか?

社内の「風通し」の良さですかね。今までも十分だったかも知れませんが、私が求めるのはそれ以上のものです。上の考えが下にしっかり行き届いているのか、下の人達は店長が言っていることをしっかり理解しているのか。店舗運営は、チーム力です。風通しの良い環境で、社員が自主性を活発に発揮し、意見交換が円滑に行えることが大事だと思っています。

私自身も、出来るだけ多くの時間を使って社員と接するよう心掛けています。以前よりも、会社(社長)と社員の距離間というのは近くなったと皆に言われます。

新卒採用も長くされていますよね。

はい、現在17期生の採用活動を行っていますが、おそらくは業界でも新卒採用を始めたのは早い方だったと思います。ただ、前年は私が我を通して採用を実行しませんでした。当時は、現社員数で十分だと思ったからです。ここで、新しい社員が入ってきては、組織体制が崩れると考えたのです。でも、それは間違いだったと今は思います。目先のことばかり考えていたのだと今は理解しています。

会長もよく言いますが、私自身も「社員には会社のためではなく、自分のために働いてほしい」と思っています。「自分のために働いて成長することが結果的に会社の成長に繋がる」自然の流れです。だから、一人一人の人生を尊重しています。そうなるとやはり、会社の方針というのは動きがあるため、それに反して離れていってしまう人もいます。それも、今は深く理解しています。

新卒採用を行うことは、自分の座標を知るためのヒントにもなります。会社は何をアピールすれば良いのか、これから会社にはどのような人材が必要なのかを考えられます。それらを含めると、毎年新卒採用を行うべきなのです。

採用活動には社長はどの部分で関わっていらっしゃるのでしょうか?

前期の採用から、「会社説明会」に顔を出すようになりました。学生に「私の想い」を直接伝えたいということもそうですが、学生の「気を引き締める」ということも意図しています。説明会の段階で、パチンコ業界で働くということ、この会社で働くということを真剣に考えてほしいのです。「中途半端な気持ちで選考に進むことは時間の無駄だ」と、「面接にも、そういう気持ちで来てほしくない」と厳しく言っています。

この業界は特に新卒社員は採用しづらいですから、学生としても志望度は高くなくても内定をもらえると思う部分があるのかも知れません。でも、そんな気持ちで入社しても、早期退社に繋がりかねません。だからこそ、選考の段階で厳しくして、入社に対する「覚悟」を持った人に来てほしいのです。採用担当スタッフは、採用人数の目標を達成できるだろうかと、ひやひやしていると思いますが、それでも、将来のためと思い、あえてこのようにやっています。

では、次に今後の話をお聞きしたいと思います。今後行っていこうと考えていることを教えて頂けますか?

「人」の部分で言うと、「一人一人社員の力が反映されること、本社まで意見が上がってくること。通気性、自主性、自発性が整うこと」社員力がしっかり根付いている会社にしたいです。「物」に関しては、既存店への適切な設備投資と、近年内には新規店舗を展開していくことです。これを必ず成し遂げなくては、会社の成長に繋がりません。

それから、「キングブランドの確立」。パチンコ店の一番の重要な要素は「勝ち負け」です。一昔前は、店の設備や接客の良さよりも、勝てれば良いというお客様の考えが今まで以上に強かったと思います。でも、今はお客様の店選びの理由が多様化しています。そういう意味でも、今後「ブランド力」は尚更必要だと思います。

私は、独自性を大切にしていきたいのです。「周りのパチンコ店はこうだから、うちも同じようにする」というのは好きではない。

お店の内外装にしてもそうですが、店舗のリニューアル時に壁に「トリックアートを描こう」と言っていたこともありました。あまりにも突発的で、急だったため見送りになったのですが。私の自己満足にならないように、そうやって意見を出し合えることはありがたいことです。

社内の方と話す時間は多く取れていらっしゃるのですか?

もっともっと時間をとらなくてはならないと思います。もっとお店に顔を出さなくてはなりません。お店に顔を出すことは多いと思うのですが、まだまだです。全社員で慰安旅行に行くと、私は社員一人一人とお酒を交わします。私は飲めないのですが。立場上は私が一番上ですが、年配者がほとんどですし、教えてもらうことばかりです。私は常に社員に支えられて私がいるのだと思うことは忘れたくありません。社員に支えられて、社員と共に会社も成長していくのだと思っています。

社員の方にこんな人になってほしいというのは何かありますか?

「エンターテイナーであれ」と言っています。例えば、パチンコ店と、ディズニーランドは、同じエンターテイメントであり、夢を提供するということに関しては、あまり変わらないと思っています。

しかし、この業界は楽しいことばかりではありません。お客様の中には、借金をしてしまう人もいれば、年金を使い果たしてしまう人もいます。「きれいごと」だけじゃ済まない業界です。お客様は高いお金を払って遊んでもらっているということを理解した上で、私たちは「エンターテイナー」であることを、意識して働いてもらいたい。

「エンターテイナー」だったらどうすれば良いのだろうか、と考えて出た答えが、「ピエロの格好をしてホールに出る」だったら、それでもいいのです。「マジック」を披露しても良いのです。そういう風に考えて行動できる人であってほしい。まだまだ始まったばかりですが、少しずつ社員にそういう意識は浸透していっています。

では、最後に、パック・エックス通信を読まれている方々にメッセージをお願いします。

難しいですね。

実はこの話は、一度は断ったのです。理由は、私の短いキャリアから考えて、時期が早いと思ったからです。でも、やらないよりやって後悔した方が良いと思い、受けることにしました。

私が言えることとしたら、「少しでも人生を楽しんで行きましょう」ということです.。当然のことですが、人生一度しかありません。だから、少しでも満足のいく人生にしていきたいと思います。仕事は楽しいことばかりではないですが、そんな中でも少しでも楽しんでいければと思っています。

ありがとうございました!

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