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株式会社共栄、増田光均社長 TOPから学ぶ

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増田光均/株式会社共栄 代表取締役社長。大学卒業後リース会社、遊技機販売会社を経て株式会社共栄に入社。2005年に代表取締役に就任。現在大阪府で8店舗のパチンコホールを経営する。

「地域密着・成長型エンターテイメント企業」を掲げ、大阪府にて8店舗を経営する株式会社共栄。共栄の中で規模も稼働も最大級のP-ROOTs CASINOは、第6回ぱちんこ情熱リーグにて上位6店舗に選抜され、2016年2月に開催された決勝大会出場を果たした。

社員がやりがいを持っていきいきと働ける会社にしたい

「私が社長に就任したのは2005年のことでした。それまでも自社で働いてはいましたが、やはり社長になることで随分意識は変わりました。それまでは社員やアルバイトが辞めてしまうことがあっても、ある意味仕方ないと割り切っていた部分もありました。しかし、社長になってからは自分自身に問題があるのではないかと考えるようになりました」

組織づくりは経営者にとって重要な仕事である。社長になってからの増田氏は、社員がいきいきと働ける組織にするのは自分自身の役割であるという想いがより一層強くなっていった。

「社員が辞めてしまう要因で最も多いのは、人間関係です。コミュニケーション不足が誤解を生み、結果的に離職につながることもあるのではないか。そう考え、社員間のコミュニケーションの活性化を意識的に行うことにしました」

こうして2012年から研修プログラムを開始し、毎月3日間の講義を行うようになった。エゴグラムを実施し、自分を知り相手を知ることで理解し合うといった研修の他、経営理念やビジョンの共有、マーケティングや計数管理といったスキル向上の研修なども行った。

「このプログラムを始める前に、まずは外部研修を受けることを始めました。そこで学んだことを社内に活かしていくために、私と共に社員が講師として講義を行いました。誰かに教えるとなると、自ら勉強する必要があるので、講師を行う社員の成長にもつながりました」

また、共栄の理念である地域密着を社員が自ら考え実行することを目的とした、発表会も行った。

「社員を店舗毎ではなく、横断的に6グループに分けてそれぞれでお客様にできることを考えて発表してもらいました。地域商店の宣伝をするグループや、地域清掃の活動報告を行うグループなどさまざまです。理念を言葉として理解はできても、それをどのように行動に移すかは簡単ではありません。考え行動するきっかけをつくる事は大切だと思いました。発表会ではアルバイトスタッフにも参加してもらい、共感したグループに投票してもらいました」

このような取り組みを続ける中、共栄ではぱちんこ情熱リーグ決勝大会への出場と優勝を目標として持つようになっていった。目標を定めることで、それに向けてチームとしてさらに結束力が高まり、スタッフ自ら考える新たな提案、改善が生まれる。

決勝大会に出場できる6店舗に選抜されるのは簡単なことではなかったが、2014年のシグマ清水丘店の出場に続き、2016年にP-ROOTs CASINOが出場することになった。

ぱちんこ情熱リーグ決勝大会出場のきっかけは最大級のピンチ

P-ROOTs CASINOは、ある出来事をきっかけに生まれ変わることになった。それがぱちんこ情熱リーグ決勝大会出場へのチャンスともなったが、当初は共栄にとって最大級のピンチでもあった。

「P-ROOTs CASINOは総台数538台で、当社の中では規模も大きく、稼働もよい店舗です。しかし、2013年にすぐ隣に1000台超の競合店が出店することがわかりました」

競合店の設置台数は同店の倍、設備も最新。このまま何も手を打たなければ勝ち目はない。その対策のために新店長が就任した。

彼でダメなら納得がいく

新店長を指名した理由は、彼の想いの強さだったという。

「日頃の仕事ぶりをみていてそう感じました。発信力や行動力、やりきる力。普段の積み重ねを見ていて、彼ならこのピンチを乗り越えられるチームをつくれるのではないかと思いました。彼でダメなら納得いくと思ったんです。安心して任せられる人材がいたということは恵まれていたと思います」

こうしてP-ROOTs CASINOの改革が始まった。

競合店オープンまで残り2カ月

当時のことを振り返り、増田氏はこう話す。「設置台数でも設備でも勝ち目はありません。差別化できるとすれば人の面のみ。そこに勝機があると信じてやるしかありませんでした」

しかし、当時のP-ROOTs CASINOは『優良店のわりはできていないことだらけだった』という。まずは接客の基本の見直しから行った。接客に対する考え方、笑顔の出し方、立ち方、声の出し方。一から徹底的に行った。口頭で伝えるだけではなく、自ら手本を示そうと店長自ら現場に立ち続けた。

「今のままでは勝てない。お客様との強固な信頼関係も出来ていない。まず、基本動作の見直しからしなければいけない。決意のない者は去ってくれ」スタッフに檄を飛ばすも、「なぜこんなことしないといけないのか」という反発の声も挙がった。競合店オープンまでの時間はあっという間に過ぎていった。

稼働2割減。ここで本気にならなければ先はない

競合店がオープンすると稼働は一気に2割落ちた。

スタッフたちは自信をなくし、「このままでは閉店かも」「もう無理」といった発言もあったという。しかし増田氏を始めとする幹部陣はあきらめることはなく、店舗では接客の徹底的な見直しがつづいた。

そんなある日、常連客の一人が戻ってきた。「浮気してたけど戻って来た。やっぱりこの店が好き。隣に負けたらあかんで」そう話してくれた。

その後も少しずつ常連客が戻ってくるようになった。それまで行ってきたことが成果となって表れたことでスタッフたちは自信を持つようになった。どうしたらお客様が喜んでくれるかを自ら考え行動しようとするスタッフも増えていった。

「お客様は私たちを必要としてくれている。それが意識と行動を変えてくれた」スタッフの一人はそう話す。

お客様一人一人にニーズに合った接客を

スタッフの意識が変化していく中、「お客様に喜んでいただくためのサービス、もっとよくなるための改善点」を話し合うアルバイトスタッフミーティングが行われるようになった。皆、本気で意見をぶつけ合う。ときには泣き出す人もいるが、役職者や社員は一切口を挟まないという。これは現在もつづく毎日のミーティングである。

お客様カルテの作成も始めた。目的は来店動機にしてもらうための情報を集めること。そしてコミュニケーション能力を磨くことである。お客様カルテには、顧客一人一人に合った接客をするための細かな情報が記録されている。

・退店時に消臭スプレーを使っていました。ヘアコロンのサービスもあることを伝えると、気に入ってもらえました。次回からはヘアコロンも持って行ってあげてください。好みの香りはお風呂っぽい香りです。

・身内の方が体調不良で実家に戻っている。来店されても話があるまではそのことには触れないでください。

このようなカルテが500名以上分、出来上がっている。

「どうしたらお客様が喜んでくれるか」を日々考え行動していく中、自転車で来店するお客様に夏は冷たいおしぼり、冬は暖かいおしぼりを渡す、雨の日に濡れて来店したお客様にはタオルを渡すなど、スタッフたちは自ら率先してきめ細やかなサービスを行っている。

競合店オープン時には2割も落ちてしまった稼働が、現在では競合店と拮抗する程に回復しているという。

「人で勝つ。それをやりつづけたことが成果につながったのだと思います。徐々にお客様が戻ってきてくださったことがスタッフたちの自信になり、それに伴い店の雰囲気もより一層明るくなっていきました。やると決めたら徹底的にやる。これがP-ROOTs CASINOがお客様に支持される店舗として生き残れている秘訣だと思います」

本気で人気店をつくる

現在共栄が掲げているのは「本気で人気店をつくる」というビジョンである。

「どんなことでも本気を出せば楽しくなります。本気を出して目標が達成できたらうれしいし、またがんばろうと思えます。そのきっかけのひとつとして、各店のマネージャークラスに自店の適正な目標を立ててもらうことにしました」

自ら計画を立てることで見えてくるものがある

「ここ数年、計画通りにいくことが少なく、苦戦することも多かったです。目標を達成できないこともあったので、目標設定自体を適切にする必要があると感じていました。
目標を高くしすぎると、必要以上に苦しむことになってしまいます。達成できないことが続くと自信もなくなっていきます。本気になるには、各店舗長がどんな店舗にしたいかという目的を持ち、それを数値化して目標をつくること。人にやらされるのではなく、自発的に目的と目標を立てることが必要だと思いました。

そこで、各店に自ら目的目標を立てるように伝えました。目的を立てることで見えてくるものは必ずあります。必然的に長期的な目線が必要ですし、この目的を達成するためにはどんなことが必要だろうかと考えることで視野も広くなります」

ピンチはピンチ。だけれど捉え方によってチャンスになる

パチンコ業界を取り巻く環境は決してよいとは言えない。しかし増田氏は、「危機感は感じるもののお客様が安心して遊びやすいパチンコ店にするという点では、健全化している」と考える。

「ピンチはピンチ。ですがどう捉えるかでチャンスにもなり得ます。例えばピンチと考えれば店舗を縮小しようとなるかもしれない。一方で店舗を縮小する企業が増えることをチャンスと捉えれば、店舗を拡大するという戦略も考えられます。どう捉えるかで状況は変わっていくはずです。

『本気で人気店をつくる』をビジョンとしているとお話ししましたが、私自身も本気です。本気だからこそ、時には社員に強く発信することもあります。人生の大半を費やす仕事が楽しくなければ、人生そのものが楽しくない。だからこそ本気で取り組み全社員スタッフと楽しみたい。みんなでアイデアを出し合い議論するのが楽しいです。

当社の下半期は7月~12月ですが、今年の年末がみんなで立てた目標の結果が出る初めての年末です。それまでにどのように社員・スタッフが成長してくれるかがとても楽しみです。達成できたらしっかりと評価をして、社員・スタッフに自信を持ってもらいたいです」

ピンチをチャンスと捉え、ピンチを乗り越えることで自信を持つようになれば、社員も会社も必ず変わる。P-ROOTs CASINOでの成功体験から、そう確信する増田氏。今はこれからのことが楽しみだという。

おわり

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