TOPから学ぶspecial
vol.1 ベラジオコーポレーション株式会社
垣内規利社長 後編
ベラジオコーポレーション株式会社(以下「ベラジオ」)といえば、ぱちんこ情熱リーグ連覇を達成するなどパチンコ業界で注目の的となっている企業である。TOPから学ぶspecialでは、ベラジオの強さを象徴する出来事である「破壊と創造」にフォーカスを当て、その強さの秘密はどこにあるのか、紐解いていきたいと思う。
前編はこちら
後編 ベラジオ、強さの秘密
お前、もう辞めろ
業績好調の中、実行された「破壊と創造」。
この出来事は同社代表の垣内氏の決断によるものであったが、実はこれまでにもベラジオでは「破壊と創造」は行われ、それが今日のベラジオの発展につながっている。
現在取締役営業部本部長を務めるの森川幸平氏も、それを体験した1人である。
それは、まだベラジオが4店舗で、森川氏が店長をしていた頃のこと。
「私が店長を任されていた店で、過去最高の業績を叩きだしたときのことです。
林田(前社長・現キャップ)から食事に誘われ、『これは褒めてもらえるぞ』と上機嫌で待ち合わせの店に向かいました。
しかし、席に着くなり林田が言った言葉は、『お前、もう辞めろ』。
さらに、
『部下がお前に全くついていっていない。悲鳴をあげている部下がたくさんいることに気付いていない。自分を押し殺しながら働いている人間ばかりで自由な風土がまったくない。
部下が自分を出せない環境で成長があるはずもない。そんなお店に未来はない。お前のやり方では会社の未来性がない』
と“罵声”が続きました…。
ショックではありましたが、確かに林田の言うとおりでした。
当時私のマネジメントは正にトップダウン。意思決定の全てを私が行い、ひたすらに、スピードと利益を追い求めていました。
業績は好調でした。ですが、チームとしての成長は全くできていませんでした。
林田は、次に活躍する部下を育てることが会社の発展に、そして私自身の成長に繋がるということ。そのためには部下と信頼関係を構築することが必要で、情熱を持って、率先垂範して、リーダーシップを発揮することが必要だ、と教えてくれました。
『部下に伝えることはベラジオの未来をつくることや。部下がやりがいを見出せるチームをつくらなあかん』
好調だったからこそ、ここで慢心してはいけない、自分で創ったものを破壊することで次の未来が生まれる、ということを林田は教えてくれたのです」
現場で得たもの
森川氏のように、現状を破壊することで得られるものの大きさは実際に身を持って体験することで、より強く実感することができる。
2011年の8名の降格において、実際に降格となった人物はこう言う。
「垣内社長から現場に戻るよう言われた時はショックでした。
ですが、社長から決断に至るまので話を聞き、社長としての苦悩・葛藤に共感しました。社長は会社の、そして私の未来のことも考えてくれているのだということがわかったから、残ってがんばるという選択をしました。
現場に戻って得られたものはやはり大きいです。
チームの重要性、そしてそのチームを育成するためのリーダーシップを学ぶことができました。
あのまま本部にいても学ぶことはできなかったことだと思います。
社長の厳しい決断があったから、今も私はここでがんばれているのだと思います」
現場所属となった後、本部に戻ってきたメンバーもいる。
垣内氏は、以前と比べて彼らからの前向きな意見や提案が増えたと話す。
「再び本部に戻ってきたメンバーが、現場に足を運ぶ回数が増えましたね。
自分たちの役割は現場のメンバーがやりがいを持って働ける環境をつくることであり、そのためには現場を知ることが重要なんだということを理解したようです。
『現場でこんな意見が出ているからこうしよう』といった提案も増えました。
また、店長たちとのコミュニケーションも積極的に取るようになったので、以前よりもチームとしてのまとまりが出てきていると思います」
ベラジオ、強さの秘密
2010年に代表取締役社長に就任した垣内氏。
次の目標は、2020年までに新たな社長を育て、社長を交代することだという。
そんな垣内氏が目指すのは、熱さと勢いがあり、家族のような愛のある会社である。
「家族のような愛というのは、時として厳しさもある愛のことです。
誤解されがちですが、“温かい”と、“ぬるい”は違います。
私が厳しいことを言うのも、そこに愛があるからです。
ぬるい会社にだけはしたくはありません。
これからも、破壊と創造を繰り返し、会社を強くしていきたいと思います」
時に厳しさも必要。
言葉にすると簡単だが、実行するには大変なエネルギーが必要となる。
その労力を惜しまず、現状に満足することなく変化し続けていることが、ベラジオの強さを生み出しているのではないだろうか。
終