
今回より、パック・エックス通信の新たな企画としてTOPから学ぶspesialがスタートします。
TOPから学ぶspesialは、これまで
TOPから学ぶに登場頂いた方の中から、反響が多かった方に再登場頂き、さらに詳しくお話をお聞きするというものです。
毎月第1水曜日はTOPから学ぶspecialを配信していきます。
TOPから学ぶspecial vol.1 ベラジオコーポレーション株式会社 垣内規利社長 前編
ベラジオコーポレーション株式会社(以下「ベラジオ」)といえば、ぱちんこ情熱リーグ連覇を達成するなどパチンコ業界で注目の的となっている企業である。
TOPから学ぶspecialでは、ベラジオの強さを象徴する出来事である「破壊と創造」にフォーカスを当て、その強さの秘密はどこにあるのか、紐解いていきたいと思う。
ベラジオ、強さの秘密
前編 破壊と創造

垣内 規利 氏
ベラジオコーポレーション株式会社
代表取締役社長
1973年和歌山県生まれ。1999年、26歳の時にベラジオコーポレーション株式会社の前身である弁天センターにアルバイトとして入社。2000年のベラジオコーポレーション株式会社設立時に、現キャップの林田祥来氏の目に留まり、副主任として入社。
2010年に取締役社長に就任し、 2013年4月には代表取締役社長に就任。現在経営する店舗は大阪・兵庫・東京で22店舗、グアムで1店舗。
目標は、2020年に次の社長を誕生させること。
以前のパック・エックス通信TOPから学ぶでの垣内社長の記事は
こちら。
業績好調の中の、厳しい決断
「-以上の8名を降格とする」
2011年の決起集会にて発表されたのは、本部所属の社員8名を降格し、現場所属にするという厳しい人事だった。
これがベラジオで「破壊と創造」と呼ばれる出来事である。
当時、業績は過去最高。社内からは「なぜそのようなことをする必要があるのか?」といった声も多かったという。
当時のことを同社代表の垣内規利氏はこう振り返る。
「本当はそんなこと、私もしたくはありませんでした。
自分自身が決めたことではありましたが、降格することを決めてから発表する当日まで、逃げ出したい気持ちになることもありました。
そうまでしての決断でしたが、今となってはあの時があったから、今があるのだと思えます」
なぜ「破壊と創造」が行われたのか。それは業績が好調だからこそ生まれた「慢心」という社内の雰囲気を壊すためだった。
当時降格となったメンバーは、ベラジオの経営が軌道に乗った後に入社し、現場経験があまりないまま本部所属となっていた。
そのためベラジオが創業当時から大切にしてきた『慢心するな、邁進せよ』という風土を現場で体験するということがほとんどない状態でもあった。
現状に満足し、変化しようとしない雰囲気がどことなくあったという。
「降格をすることを決めたきっかけは、林田(前社長・現キャップ)からの『今の環境を破壊せなあかんのちゃうの?』という一言でした。
自分もそう感じている部分もあったので、これは自分がなんとかせなあかんと思いました」
あえて不協和音を作れ
時に厳しい決断が、目には見えない価値・利益に繋がる。
垣内氏が同社の前社長であり現キャップの林田祥来氏から学んだことである。
林田氏は以前から垣内氏に「自らあえて不協和音を作れ」と言ってきた。
垣内氏が社長に就任する以前、本部所属になってすぐの頃にこんなことがあった。
ある日、林田氏は垣内氏を呼び出し、「本部の人間を7人マカオに連れて行く。メンバーを選べ」と指示をした。
その頃本部にいたのは10人以上。その中からマカオに行くのにふさわしいメンバー7人を選べというのである。
「最初、自分を外した7人を選出しました。周りはほとんど年上でしたし、本部に来たばかりということもあって、やはり遠慮がありました。
『自分はいいので行ってください』と林田に伝えると、『お前何逃げとんねん』と…。
これが林田の言う「不協和音」なのです。あえて反対意見や不満が出るようなことをすると、率直な意見が出てきます。それに向き合い、お互いが言いづらいような厳しいこともきちんと言い合える関係性を築くことで相互理解が生まれるということなのです。
マカオに行くメンバーを選ぶように指示されたときは、私はまだまだ本部のメンバーと距離がありました。私の方が年下ということもありましたし、思ったことをきちんと言えるという関係性ではなかったのです。
ですがこのことがきっかけとなり、本部のメンバーと対話することで信頼関係を築くことができました。
林田は直接言葉で教えるのではなく、体験させることで、『時には相手とぶつかりあることも必要である』ことを教えてくれました」
未来の成長を考えて、納得した。
8人の降格人事を行った「破壊と創造」においては、当初は役員からも疑問の声が出たという。
「彼らとは何度も話し合いました。特に私が伝えたのは、『現場第一主義というベラジオの風土を守っていきたい。そのためには本部のメンバーは現場を知る必要がある。それは会社のためでもあるが、彼らの未来のためでもある』ということです。
最初は反対意見も多かったですが、最終的には皆理解してくれました」
降格することとなった8人は、専務、本部長と相談し、垣内氏が自ら選出した。
当時のことを知る取締役営業部本部長の森川幸平氏はこう言う。
「業績がよかったこともあり、垣内が言うように会社全体に“慢心”が蔓延していたのだと思います。それは、役員も含めてです。
そのような雰囲気を感じてはいたものの、垣内から降格の話を聞いたときは『そこまでするべきでしょうか?』と反対しました。
やはり自分が面倒を見ていた人は守りたいという想いもありましたから。
ですが、垣内に説得され、最終的には今のこの選択が、その人が成長する未来に繋がるのだということを考え納得しました」
こうして、「破壊と創造」は実行されることとなった。
―中編へと続く。
中編は3/4公開予定です。