株式会社ユーコーホールディングス、金海基泰社長 TOPから学ぶ前編
会社の歴史について教えて下さい。
1948年5月福岡県久留米市にパチンコ店の1店舗目をオープンさせたことが始まりです。その後、1974年5月に株式会社ユーコーを設立。
現会長が23歳の時に社長へ就任し、その年の12月に佐賀県鳥栖市へ2店舗目をオープン。定期的に店舗を増やし、今では九州・関東を中心に29店舗を経営しています。
金海社長が入社する経緯を教えて下さい。
私は大学を卒業してすぐに入社しました。20年ほど前になりますね。
大学卒業後、すぐに継ぐことを意識していましたか。
ゆくゆくは継ぐのだろうと考えていましたが、まさかこんなに早く入社することになるとは思っていませんでした。父からは30歳まで好きにしていいと言われていたので、大学時代は本気でプロスノーボーダーを目指したのですが、大学在学中に父が病気を患ってしまいまして。
その時に“早く入社して楽をさせてあげよう”と考え、大学卒業してすぐに入社する事を決意しました。
入社時の配属先は?
企画部次長という役職で入社したので、基本的には事務所で仕事をするといった感じでしたね。パチンコの遊技経験がほとんどなかったので、“パチンコとは?”という部分から勉強していました。
経理部長の講義を受けたり、常務と一緒にパチンコを遊技したりと、色んなことをしました。
金海基泰/株式会社ユーコーホールディングス、代表取締役。大学卒業後、父の運営する同社へ入社。2010年に代表取締役社長へ就任。
現場で働いていなかったんですね。
店舗に配属されていた期間もあり、現場と本社を行き来した生活もありました。ホールに出る際は、マネージャーとして店長と共に店舗運営・数値管理を行っていましたね。
営業が終了したら、店長と営業結果についてミーティングを行い、営業戦略を検証する。現場に出なければわからない部分は多々ありますので、約2年間という短い期間でしたが充実した時間を過ごすことが出来ました。
社長に就任したタイミングを教えて下さい。
2010年に社長へ就任しました。父は早く継がせたがったようですが、よいタイミングが見つからず…。
きっかけとなったのは、ユーコーの中期経営計画を策定したことですね。
中期経営計画ですか。
当時のパチンコ業界は売上とともに利益が上がり、積極的に営業資金を使うという風習だったと思います。しかしながら、スロット5号機問題からパチンコ店の業績が落ち始めたことで、会社全体の財務バランスをより深く・期間を設けて考えることが必要となりました。
中期経営計画は、そのための提案です。未来をしっかりと考える企業体制を整えるとともに、現在の企業理念である「笑顔と元気の創造」の基盤を作りました。
提出したタイミングで就任ということですか?
中期経営計画が5年間の計画だったため、その5年間が終了した年の12月に就任しました。父が60歳を迎えた年です。
社長に就任して一番初めに取り掛かったことは何ですか?
会社の財務体制を強化することですね。私が社長に就任するまでは、営業実績として売上・利益の向上を店長たちに求めていましたが、就任してからは実績とコストのバランスをより考えるよう指示しました。店長たちへ担当店舗の業績だけでなく、会社全体の収益意識を持たせたいと考えました。
就任以前は月初めに営業会議を行い、そこで新台購入の承認が取れると直ぐに導入するという状態。売上・利益を追求する一方で、それに対するコスト意識は明らかに低かったと思います。店舗毎の予算制を定め計画的に管理することが、財務体質の改善・強化へ明らかに繋がりました。
社長の想いが伝わったなと思ったきっかけはありますか。
私の中では、社員旅行が大きなきっかけでした。中期経営計画の中では、出費の削減率と利益目標を明記するだけでなく、達成したら全社員で社員旅行にいくという名目も入れていました。
実際に社員旅行を行い、直に社員の笑顔を見たときに『私のやってきたことは間違いではなかった』と強く感じましたね。3年ほど経ち数字がついてきた状況から見ても、私の考えは社員たちに伝わっていると思います。
企業理念はどのように浸透させましたか?
とにかく言い続けました笑。4~5年くらいですかね。
更に、全従業員参加型の“羅針VAN”という社内プロジェクトも立ち上げました。簡単に言うと、『笑顔と元気の創造とは?』を社員みんなで考え・実践する企画なのですが、それぞれが自分たちで考えて行動することを会社が後押ししたことで、一気に広まり・浸透したのかなと思っています。
企業理念とは?ということは従業員からしたらあまり考えないですからね。
現在の企業理念『笑顔と元気の創造』は創業60周年を機に、新たな企業理念策定として発表しました。羅針VANプロジェクトも伴って、従業員の理解度は深まっていると感じます。
その他、何か変わったことはありますか?
ヒトに関わる部分は変わりました。外部からの情報を取り入れ、新しいシステム構築を頻繁に行うようになりました。代表的な変化としては、新たな人事考課制度やメンター制度の導入が挙げられます。
更に、配置転換の頻繁も上がりました。若い社員が営業部長に抜擢され、人事部の体制もほとんどが店舗勤務経験者になりました。遊技事業部からグループの経営企画部など他部署へ異動となることもあります。リサイクル・飲食・ゴルフ事業など異業種の経営も行っているので、そちらに配置転換も行っています。
異動する時の人選はどのように行っていますか。
基本的には経営陣からのピックアップです。既に異動した社員は今まで以上に能力を発揮しているようで、『異動してよかった』という声も耳にします。
これは今の人事部長が所属長としっかり話をし、人それぞれの個性を把握してくれているからかなと。適所適材を念頭に声を掛けていますが、今後は公募や立候補にも期待しています。
―後編に続く