TOPから学ぶSPvol.5 三恵観光株式会社 杉本潤明社長 中編


誰にでもチャンスはある。そう伝えてきたが…
「会社の成長のためには、社員ひとりひとりの成長が欠かせません。 私はこれまで、社員に未来を見せることでモチベーションを上げ、成長につなげようと考えていました。そのために社内外で自社の未来を発信し続けてきました。 『2040年、年商3000億円企業』、『経営者10名輩出』もそうです。 会社の未来を担うのは社員ひとりひとりである。誰にでもチャンスはある。やりたいことがあるなら手を挙げてほしい。そう発信してきたつもりでした」 しかし、そのメッセージが社員に伝わっていないと感じるようになったのだという。 きっかけは、『やりたいことがある』という理由で退職する社員が現れたことだった。 「独立したいから辞めますならわからなくもないのですが、やりたいことがあるので辞めますというのは腑に落ちないというか、ショックでした。 やりたいことがあるなら手を挙げてほしいと伝えてきたつもりでしたが、この会社ではそのチャンスがないと考えたのでしょう。 こういったことが他にも起こっているのではないかと考えるようになりました」 入社時には杉本氏自ら社員に今後の会社の未来を語る。そうして夢を持って入社するが、現場に入ると目の前の仕事と会社の未来がリンクしづらくなっていく。 そうなると、例えば『経営者10名輩出』もどこか別の世界の話のような、自分とは関係のない話のように捉えてしまう。 「入社後は私が直接話をする機会は減り、代わりに私の想いを伝えるのは中間層の役割となります。 社員がチャンスがないと考えてしまうのは、中間層からその下へ伝わっていないこと、そして私から中間層に伝わっていないことが課題なのではないかと考えました」部下をコーチング=導く意識を持ってもらいたい
チャンスがある環境とは、自分の意見を出しやすく、取り入れられやすい、新たな活躍の場を得られやすいといったよさがある。 意見を出しても取り入れてもらえないとなれば、おのずと人は考えなくなってしまう。しかし取り入れてもらえるならば、さらにもっとよいものを考えようとなる。 こうした好循環が現場で生まれることは、会社の成長につながっていく。 杉本氏が伝えたい想いの本質を、中間層がまずは理解すること。そして部下に伝えることができるようになること。つまり、「伝達力」と「任せる」ということを実現するため、三恵観光グループではコーチングをテーマとした研修を実施することになった。 コーチング研修では部下とのかかわり方、どのようにすれば部下のモチベーションを高められるかなどを考える研修となった。 研修は半年をかけて全5回開催し、中間層である部門長と施設長、副施設長の約20名が対象者となる。対象者は、人事評価での考課者にも該当する。 「部下を育成することは、上司にとって重要な仕事です。 しかし、昔のように『◯◯をやっとくように!』では通じない時代です。文字通りコーチング=導くことが必要となってきています。 部下と同じ目線に立って話をしっかり傾聴すること。そして部下がどんな考えを持ち、どんな特性を持っているのかを把握し、部下の可能性を引き出すにはどういったアプローチを取るべきかを考え実行すること。 まずはこのような部下をコーチングするという意識を持ってもらうことから始めました」 また、研修の場だけで終わってしまわないよう、得たことをどのよう現場に活かしていくかを話し合う場も設けており、徐々に効果が現れているという。 「日報を読んでいると、コーチングを意識しているのであろうことが書かれていることが増えてきました。また、社員たちの会話の中で、研修で学んだことが出てくることが増えてきました。共通言語ができつつあるのではと感じています」目標達成に向けて
現場ではどうしても目の前のことに集中してしまいがちになり、大きな目的や夢が見えづらくなってしまう。 そんなときに、上司が目の前の仕事が会社の未来にどうつながっているのかを伝えられるかどうかは、部下の成長にとって非常に重要なことである。 コーチング研修で中間層が得たことが、社内全体へと浸透していくのはまだまだこれからだという杉本氏だが、『2040年、年商3000億円企業』、『経営者10名輩出』の達成に向けて一歩ずつ、進化している。 ―つづくメルマガ登録はこちら
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