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株式会社マルハン人材開発部、樽角正博採用育成担当チーフ 採用の現場から

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樽角正博さん/株式会社マルハン 人材開発部採用育成担当チーフ。2004年に新卒で株式会社マルハンに入社。およそ5年間の店舗勤務を経て本社に異動。現在は人材開発部において、主にアルバイトの採用を担当する。

アルバイトの人手不足が続く中、多くのパチンコホール企業が、応募者を増やす、定着率を上げるなど、様々な工夫を行っています。今回は、株式会社マルハンでアルバイト採用の担当をされている、人材開発部の樽角正博さんにお話を伺いました。

御社では、現在アルバイトの採用は本社一括で行われているのでしょうか。

面接や採用後のOJTは各店舗で行っていますが、
1.年間の採用計画立案
2.予算管理および媒体戦略の策定・実施
3.採用計画に対しての進捗の管理
は本社で一括管理を行っています。

面接やOJTなどの実務を店舗で行う事で、スピード感のある採用と育成が可能ですし、現場から『この地域ではこの媒体の方が反響が良い』というような声をもらう事もあり、現場と本社の相互で協力しながらアルバイト採用を進めています。

一方、実務を全国の店舗に移管している中で生まれてくる課題もあります。

具体的には、全国300以上の店舗がある為、採用環境はそれぞれの地域で大きく異なっており、都心部は応募者は集まり易いが定着率は低い、地方はその逆など特徴があります。現在は、採用順調地域とそうでない地域の二極化が進んでいます。

本社一括管理を行う事で、会社全体で人員数や募集広告費のコントロールが可能です。前述した課題についても、採用順調店舗から採用困難店舗へ社員の異動調整を行う事で、全社的な人数バランスの調整を行う、というような施策も実施しています。

アルバイトスタッフの異動はありますか?

アルバイトスタッフの異動は基本的にはありません。

『旦那さまが転勤になったので異動したい』などの要望があれば状況に応じて個別で対応しています。

アルバイトスタッフの方々は『自宅に近いから』『その店舗の雰囲気がよいから』といった理由で働いてくださっている方が多いです。“従業員満足”を重視する弊社としては、ご本人のワークライフバランスを重視しながら働いていただきたいですし、そのような観点からも特別な事情がない限りアルバイトスタッフを異動させる、という考えはありません。

ここ最近、アルバイトの採用が難しいと言われていますが、御社ではいかがですか?

応募単価は上がっていますね。リーマン・ショック後の2009年と比較すると、約2倍になっています。

採用につなげるためにどのような工夫をされていますか?

1年前、全社的にアルバイトの採用強化を打ち出しました。

まずは応募者を広く集めるために
1.働く時間の自由度を上げる
2.待遇を改善する
3.身だしなみの基準を下げる
というようなことを行いました。

働く時間に関しては応募者のご要望にお応えできるように、短時間の勤務希望でも積極的に採用するように店舗に投げ掛けを行いました。週1日、1時間からでも可能としている店舗もあります。勤務時間が短いと、朝礼に出られないという方もいるので、その場合は社員が個別で朝礼をするなどして対応しています。

現場には、負担を強いて申し訳ないと感じる一方で、『週1日、1時間から可』と広告で打ち出せることで、応募者の幅が広がりました。まずは応募のハードルを下げ、面接にお越しいただくことから始まると考えています。

待遇改善に関しては、基本時給を調整しました。実験的に同エリアの競合店よりも高くした店舗があるのですが、確かに応募者は一時的に増えましたが、同時に人件費も上昇してしまいました。結果的には競合店と同等程度に調整する、という方針で待遇改善を行いました。現在の全店舗の平均基本時給は1,200円程度です。

身だしなみに関しては『女性の髪色は少しくらい明るくてもOK』というような変更を行いました。考え方としては“基準を下げる”というよりは“時代に合った身だしなみに考え方に合わせた”というものです。

「友人紹介」でアルバイト採用を行っている店舗もありますが、御社ではどうですか?

弊社でもご友人の紹介制度を設けています。昨年はおよそ270人の方が紹介を通じて入社して下さいました。募集費用は掛かりませんし友人が一緒に働いているので定着率も良く、非常に効果的な採用手法だと感じています。

アルバイトの応募からの採用率を上げるための工夫として行われていることはありますか?

応募の段階では、面接のご予約をいただいたら応募者に事前連絡をするように店舗に投げ掛けています。店舗から直接お電話をし『面接のご予約ありがとうございます、○月○日の○時からお待ちしています』といった内容です。事前に連絡を受けた方が、応募者の心理で考えると安心感がありますし、面接へのハードルが下がると考えています。

面接に関してですが、採用強化を打ち出した昨年は合格率をそれまでの40%から50%に上げることを目標にしました。現場からすればやはり応募者を『選びたい』という心理がありますが、採用市場を考えると我々は『選ばれる立場である』という認識でいないと採用が難しい現状です。決して上から目線で面接を行うことがないよう、面接の流れをマニュアル化するなどツールの整備も行っています。

また、昨年は“採用実績”を現場の役職者の評価にも反映しました。これは思い切ったチャレンジでしたが、お客様満足・従業員満足を創造していくためのリソースは“人”でしかないんですよね。マネジメントの土台となる“人”を大切にする、という意識醸成を改めて行う事で、採用数はかなり向上しました。

当社のサービス、パチンコバイトを使って頂いていますが、採用の状況はどうですか?

うまくいっていますよ(笑)。当初は地方店舗から導入からしたのですが、しっかり結果も出していただいているので、今では全国の店舗に広げています。これからも期待しています!

ありがとうございます!では次に、シルバー人材を積極的に採用している企業も増えていますが、御社ではどうですか?

若年層の人口は減少していますし、ダイバーシティを推進していく上でも必要性を認識しています。今後ですが、まずは40代を中心とした“ミドル層”の方々の採用から推し進めていきたいと考えています。

以前、40代~の主婦層をターゲットとして募集を行った地域もありましたが、店舗側に意見を聞いてみたところ、是非採用したいという声も多かったです。ご年配のお客様だと、『比較的年齢が近いスタッフの方が安心感がある』というお声もありますしね。

現在御社のアルバイトの定着率はどのくらいでしょうか?

現在の定着率は3か月でおよそ70%ですが、今後はそれ以上を目標にしています。3か月間続けば、その後も働き続けてくれる方が多いので、この期間のフォローをきちんと行うようにしています。

退職理由はどのようなことが多いでしょうか?

以前、グランドオープン直後の店舗で、入社後1か月のアルバイトスタッフにヒアリング調査を行ったことがあるのですが、不安や不満の原因の多くはコミュニケーション不足によるものでした。社員や先輩スタッフからの指示が異なりどうしていいかわからない、具体的には、店舗のルールや業務の手順などで、些細なことではあるのですが、そういったことが重なると退職につながるケースがあると考えています。

タバコ・音・腰痛などがパチンコホールの退職理由として多いと言われていますが、御社ではいかがですか?

他社様の退職理由を把握しているわけではないので、相対的に弊社が多いのか少ないのかは判断しかねますが、それらを理由に退職される方は少ない印象です。

タバコに関しては、ホール内は空調が効いていますし、店舗の中で自然な空気の流れが生まれるのでそれ程気にならないようです。店舗のバックヤードはほぼ全店舗分煙化しており、労働環境改善を行っています。

アルバイトの定着率がよい店舗には何か特徴はありますか?

定着率は店舗の業績と相関があるのでは?という仮説を立てています。業績がいい店舗はお客様も多く活気があるので、仕事のやりがいもより強く感じる事ができますし、店舗全体の雰囲気も明るくなる傾向があると思います。

店舗全体の雰囲気が良ければ、やりがいが働く楽しさに繋がり、お客様へのサービスもよくなっていく、という良循環が生まれていきますしね。

アルバイトから社員登用となる方はどのくらいいらっしゃいますか?

年間150~200名です。社員登用は定着率も良いので積極的に推進しています。アルバイトとして半年以上勤務していて、店長からの推薦を経て応募することができます。年に2回、社員登用の機会を設けていて、地域毎に説明会を開催しています。流れとしては、グループディスカッションと面接を行っています。合格率は80~90%と高いですし、不合格の場合でも再チャレンジ可能です。

今後のアルバイト比率はどの程度にしたいといった目標はありますか?

現在は概ね、社員:アルバイト=45:55です。

理想を言えば、マルハンが成長し従業員が増えていく中で、アルバイトの方々の比率を上げていく、という事だと思いますが、労働市場やパチンコ市場の変化がめまぐるしい現状では何とも言えないですね。

まずは、長く働いていただく為の労務環境改善など、現場の声をできるだけ反映させながら我々にできる事から取り組んでいきたいと考えています。

ありがとうございました!