有限会社美都、白河仁専務 TOPから学ぶ前編
東京都江戸川区でパーラーコア21、ロックファイブの屋号で2店舗を運営する有限会社美都の白河仁専務取締役のインタビューです。前編では入社後の歩み、社員に対する思いなどをお伺いしました。
まずは経歴を教えてください。
大学卒業後、商社、海外事業の仕事に数年従事した後に、父からパチンコ事業を立ち上げるから家に帰ってこいと言われて、パチンコホールの運営を手伝うために入社しました。
最初はどのような仕事をしていたのですか。
最初は伝票処理など雑務をやっていました。右も左もわからない状態で、入社当初は平社員みたいなものです。
まだ社会人としての経験も未熟な25、6 歳ですから。それでも素人目線でパチンコホールの内部の動きを見ておかしな部分があれば改善していきました。
現場のスタッフに全て任せていたものですから、見えないところが多かったので、自分でテコ入れし始めて、人・物・金の動きを把握してどんどん改革していきました。
パチンコ事業を始めたいきさつはどのようなものだったのですか?
不動産関係の仕事をしていた父が購入した物件にパチンコホールがあって、そのお店をそのまま運営することになったのです。
父はその会社に残務整理のために役員として入っていたので、そのタイミングで購入しました。最初は、現在の社長である父もパチンコの知識がゼロということもあって、従業員もそのままで営業を続けていました。平成2年設立ですが、平成7年頃に今の会社名に変更しました。
当時、一番苦労したのはどのようなことですか?
やはり「人」ですね。最初にいたスタッフは以前の会社のスタッフで、そのまま雇用した形だったので、まずはどんな人達なのか知る必要がありました。
さらにスタッフ同士の人間関係も良くないところがあって、非常に苦労しました。まだパチンコホールの営業についての知識がなかったので、まずはスタッフのことを把握してから指示していかなければならないと思い、コミュニケーションを取りながら関係を構築していきました。
白河仁/有限会社美都 専務取締役。大学卒業後は商社等に勤務し、その後パチンコ事業の立ち上げのために有限会社美都に入社。営業を経て、2010年に専務取締役に就任。
現場のスタッフとの関わり方はどのようなスタンスだったのでしょうか。
社長は細かい性格で、常にお店に顔を出していました。未だに毎日会社に顔を出しますから。
既にライフスタイルになっているんです。社長は昔も今も細かい目配りがしっかりしていて、気になることは店舗の役職者に聞いたりもしているみたいです。
現在、私も遅い時間には必ず店舗にいるようにしています。
社長や専務もしっかりと店舗を見ているのですね。
飲みに行っていても、一回帰りますね。万が一トラブルあってもすぐに駆け付けられる状態にしています。現場に全て任せるのが一番なのですが、当社は2店舗の運営なので、できる限り気配りをしていますね。
専務も現場のスタッフとはよくお話しされるのですか?
私はもう現場一色ではないので、多くの部分を部長に任せています。部長は一人一人としっかり向き合ってくれていると思いますよ。
これは我々の世代だと特に強く感じることですが、自分たちのやり方を押し通すよりも、やっぱり若いスタッフの考えていることを知って理解した上でコミュニケーションを取ることが大切なんだと思いますね。
時代に合わせた対応が大切ということですね。
そうですね、今のスタッフの生活スタイルに合わせて環境を整えたり、若いスタッフの価値観をしっかり把握しようとしています。
自分たちが時代に合わせて変化することで、離職率の低下や、採用にも良い影響を与えるのであれば柔軟な姿勢で関わりを持っていくことは非常に重要だと感じます。
少し話は戻りますが、専務になるまでのキャリアステップはどのようなものでしたか?
初めて職位についたのは入社して現場を見始めた時ですね。
その時は部長という職位です。部長として十数年働いて、専務に昇格したのが、9年前に店舗を改装するタイミングでした。今の部長が入社して、その時に専務に就任してノウハウやお店の設計、現場の引継ぎを行いました。
専務に就任後はどのような役割を担っているのでしょうか?
会社全体を見るのは当然なのですが、大きな役割として、上層部と現場とのフィルター役を担っています。
役員は皆親族ということもあり、一色の色合いが強く出すぎる傾向にあるので、それでは反発を招くこともありますから、その時に調整役として会社を支える立場でいたいと思っています。
今、働いているスタッフは社歴が長い人が多いのですか?
そうですね。リーダーや班長で5、6年、それ以上は10年以上の方々です。コアのマネージャーは店の改装前に入社してくれた社員ですが、僕が入社した当時アルバイトだったスタッフが今はロックファイブ小岩店の店長をしています。サブマネージャーや主任は純粋に美都で育った子たちですね。
それほど社歴の長い社員が多いのはなぜでしょうか?
正確にはわかりませんが、社員を大切にしたいと思っているので、それが伝わっているのかもしれませんね。
これは設立当初からですが、社員をもの扱いするようなことは絶対にしたくない。自分一人じゃなにもできないので、現場のスタッフがお店の顔ですから、今いるスタッフのおかげでこの店が盛り立っている。だから感謝の気持ちをずっと忘れないでいたいと思っています。
設立から一貫して人を大切にしてきたからこそ、ずっと働き続けてくれる社員が多いのですね。
それでもやっぱり最初は大変でした。煙たがられたりもしました。教育や、日々地道に話し合って私の気持ちを分かってくれた人が残ってくれて、今現場の主要たるところで働いてくれている。その人たちに感化されて次の世代が頑張ってくれる。
そうやってこれからもずっと受け継いでいってくれたらと思っています。甘いと言われるかもしれませんが、美都のお店のために頑張ってくれているのだから、まずはそこに感謝したい。縁があると思っているから、人として大事にしていきたい。現場のスタッフがいるから自分があると思っているんです。