株式会社平成興業、片桐真伯社長 TOPから学ぶ
北関東中心に「ALIVE」(アライブ)の屋号で運営している株式会社平成興業の片桐真伯社長のインタビューです。
平成興業に入社するまでの経緯を教えてください。
高校までは茨城にいて、中学、高校と卓球に打ち込んでいました。小学生の頃はサッカーが好きだったんですが、何か新しいスポーツをしてみたいと思い選びました。
当時、水谷隼選手や石川佳純選手が活躍していて、スポーツの種目として注目度が高まっていました。大学は学習院大学に進み、演劇サークルで舞台照明を担当していました。
平成興業の創業者であり先代社長の片桐煕夫氏は、片桐社長の祖父にあたります。ご自身が家業を継ぐという意識はいつ頃からあったのでしょうか?
中学生くらいからです。現実感を持ち始めたのは大学受験の頃あたりで、家業を継ぐとしたら、何を勉強しておけばいいだろうかと逆算して考えました。社会人の先輩や近親者、祖父(当時の社長)の知人の方などに助言を求め、結果的に法学部法学科を選びました。
少しでも早めに私という人間を知ってもらった方がいいだろうという、祖父と親しい方からのアドバイスがきっかけで、大学生の頃には何度も会社に行きました。全店長が参加する会議に参加させていただいたり、会社のレクリエーションイベントを企画したり。私も、社員の方々と触れ合うことで、平成興業はどういう会社なのか、どんな方がいるのかを知っていきました。
大学卒業後は、ホテル運営会社に就職されていますね。
人と触れ合うことが好きだったので、ホテル業界を志望しました。将来的にパチンコホールでお客様に接することにつながるだろうという考えもありました。
平成興業に入社されたのは2019年ですね?
入社した当初は本社の営業部門という全店をサポートする部門で補佐的な仕事をしながら営業の流れを学び、その後、旗艦店に異動しました。それから数カ月してコロナ禍になりました。
この間に、将来経営者になるなら財務を知っておく必要があるだろうと考え、財務部門に異動して会社全体のお金の流れを学びました。コロナ禍という大変な状況だったからこそ、銀行やリース会社との折衝はすごく勉強になりました。それぞれの金融機関の考え方などを知ることができました。同時に、営業部門の視点では見えにくい会社の課題が見えてきました。
そして2023年に2月に代表取締役社長に就任されます。
私が代表になった時は、まだ祖父が代表取締役会長として存命でした。存命の間に会社を承継できたことで、社長就任にあたって多くの方からお祝いをいただいた姿を祖父に見せることができて、「孝行できた」と思っています。
社長になったとはいえ、会長の承認を得なければならないことが多々あったと思います。もっとも緊張した提案は何でしたか?
当社の1号店(創業店)の閉店です。祖父が50歳で事業を立ち上げた事業の原点であり、思い入れが強い1号店です。しかし老朽化していて、先は長くない。私は「選択と集中」すべきだと考えましたが、祖父は承認してくれないかもしれないと、とても緊張していました。結果的には承認いただけました。
そのタイミングで閉店したかったのですね?
「代表になった私がここで閉店を提言しないと、現場の社員の士気が下がる」と思っていました。投資することができない、浮上する見込みの薄い店舗で働く社員は、どうしても顔が暗くなっていきます。私は、それらの店舗を閉めることが、「社員がこれから先に前向きに生き生きと働けることにつながる」と信じていました。
弊社は人事面を通じて企業様を見ることが多いので、近年の貴社は、待遇改善や社内環境の整備に力を入れているという印象を持っています。
待遇面についてはかねてより、休日数を増やし、賃金をアップしたいと考えていました。特に慶弔休暇は増やして取得しやすくしました。また、社員からの要望に応えて、単身赴任の方がご家族の元に帰るための手当てを、月2回支給するように新設しました。安心して家族を持てる、家族との時間も大切にできる会社にしていきたいと考えています。
現場の声に耳を傾けて実現したものですか?
私は傾聴を大切にしているので、お店に行って直接聞くという機会も作ってきましたが、全員の声を聞くことは難しく、直接言いにくいこともあると思います。そこで私が代表になる前年の2022年から、年に1回の「従業員満足度調査」を開始しました。
「今、働きやすいですか?」「やりがい・働きがいを感じていますか?」などの意識を数値化して把握する設問に加えて、自由記述欄もあります。それを受け止め、「こうやって解決していく」と発信して、できることから実行してきました。
何も変わらなかったら社員は失望するでしょう。実行しないと信頼は得られません。そして、私や会社への信頼がなければ、お客様に良いサービスは届けられないでしょう。私は「傾聴力」と共に「実行力」が重要だと考えています。
片桐真伯/株式会社平成興業/代表取締役社長 1995年6月生まれ、茨城県水戸市出身。学習院大学法学部法学科を卒業後、ホテル運営企業を経て、2019年に平成興業に入社。2023年2月に祖父より会社を継承し代表取締役社長に就任。
現在は中途社員とプロパー社員はどちらが多いのでしょうか。
中途社員が多いです。そのため、いろいろな個性や経歴が生かされていると感じています。また、20代半ばでアルバイトクルーから社員になる方も多く、うれしく感じています。
他法人でパチンコホールの主任や店長などの経験がある人に対しては、御社はどのようなことを求めているのでしょうか?
弊社にない知識や経験をお持ちだと思いますので、これまでの経験は生かしていただきたいです。新しい意見には私たちも耳を傾けますので、ぜひお話しいただきたいです。やはり、異なる意見に耳を傾けないと、現状維持的な考えが生まれてしまいがちです。私たちは絶えず、「もっと良くしたい」という貪欲さを持っていたいと思っています。
御社の中で、中途入社して活躍している方について、「こういうところが評価されて昇進した」といったものはありますか?
従来のやり方に固執せず、平成興業のやり方を柔軟に受け止めてくれる方のように思います。なおかつ、冷静に客観的に、いち意見として自身の想いもしっかり伝えていただける。これが、私たちが掲げている行動指針の「傾聴力」「表現力」だと思います。あとは、既存の社員と一緒に、同じ方向を目指していこうと思っている方でしょう。
そうなると会社と価値観をすり合わせていくことが重要だと思うのですが、御社では、社員が経営層の方と話す機会を定期的に設けているのですか?
何班かに分かれて研修兼食事会を行っているので、その時に話をしたり、店舗に行ったときは店長やタイミングが合えば社員の方とも話をする機会はあります。
現在、若手の方を店長に抜擢したり、本社の部署を増やしたりと、大きな組織改革を行っていますね。
昨年、本社の部署を増やしました。今まで取り組めていなかったことに取り組んでいくためでもあり、既存の業務をより細分化して整理するためでもあります。そして、若い社員にもっと活躍してほしい、いろいろな業務や立場を任せていきたい、という思いがあります。
従来は、業務が属人化して、「この人だからこそ成り立っていた」という部分がありましたが、その仕事を細分化し、多様な仕事が生まれることで、社員は多様なキャリアを描けるようになります。やりたい仕事への抜擢などを通じて、社員が 自然と「この会社っていいよね」と誇りを持ってほしいと願っています。
どのような部署を新設されたのですか?
代表的なのが「広報課」です。SNSを活用した広報活動、社会への発信は、弊社のブランドを「ALIVE」に変えたタイミングだからこそ重要だと思い新設しました。このほか、サイバーセキュリティやDXに対応する部署、コンプライアンスや店舗のルールが社内全体で守られているかを見てもらうための部署などです。4県にまたがる店舗の距離感を縮めるために、店舗を超えた横断的なプロジェクトも始めています。他の拠点で働く社員と顔見知りになることで、異動した先にすでに顔見知りがいる状態になるという効果もあります。
今後に向けた新しい「10カ年計画」のイメージをお教えください。
現状はパチンコホール14店舗と不動産賃貸管理事業の2つで、売上高は約550億円です。パチンコホール事業の店舗を増やしながら新しい事業を作り、売上高1000億円を目指します。
ここまで伺った働き方や部署の件を含めて、今後さらに変化がありそうですね。
そうですね。ただ、今の私がいるのはこの会社があったからで、これまで会社を支え頑張ってきてくれた社員がいるからこそだと思っています。これからも新しい価値を届けられたらと考えています。
若い社員の方や、これから一緒に働く可能性のある方々にメッセージをいただけますか。
ガツガツ仕事をする方もいれば、仕事はそこそこでプライベートを充実させたいという方もいると思います。家族を持って家族と過ごす時間を大切にしたいのか、独身で自分が本当に好きなことをしたいと思われているか、それによって選択も変わると思います。
それは本人次第ですから、正解はありません。ただ、私自身は、悔いのない人生を送りたいと思っています。自分がどうなりたいと望んでいるかを知れば、「そのために何をすべきか?」を考えた選択できるはずだと考えています。
まず、自問自答することが大切なのですね。
私は、優里さんの『ビリミリオン』という曲の歌詞がすごく好きなんです。「無限大の可能性は誰にも譲れない」という歌詞もあり、聴いていると「あ、可能性があるって素晴らしいことなんだ」と感じます。
そしてこの曲には、「僕らが生きる時間は決して安いものじゃないから、後悔しない選択を選んで欲しいの」というメッセージが込められています。とにかく、悔いなく選択してほしいと思います。仮に後悔するとしても、やらなくて後悔するよりも、やって後悔した方がいいと思っています。
片桐社長、ありがとうございました。


