「適正な人件費」を算出するには 前編

「適正な人件費」は企業にとって永遠のテーマです。

なぜなら、人件費は、業種や企業、時代や、時期によって「適正」の水準が異なり、正解がないからです。
多くの経営者の方が、「うちの会社の人件費は高いのだろうか?低いのだろうか?」と悩まれています。

今週は適正な人件費を算出する方法のひとつとして、「労働分配率」と「労働生産性」について、事例を交えながらお伝えします。

「人件費」とは?
一般的には、「給与」、「賞与」、「法定福利費」、「退職金」、「福利厚生費」、「募集費」、「研修費」など、従業員にかかわる費用をまとめたものをいいます。役員を含める場合には、「役員報酬」なども入ります。

「人件費」分析に必要な項目

1.売上・・・ 貸玉代(当然ですが・・・)

2.売上原価・・・ お客様が出した玉で持ち帰った景品代および貯玉

3.売上総利益・・・ 売上-売上原価 ※いわゆる粗利

4.人件費率・・・ 売上に対する人件費の比率
(例えば、売上額が20億円で、人件費が1億円の人件費率は5%)

5.労働分配率・・・ 会社の利益(付加価値)のうちの、人件費(従業員)の比率

6.労働生産性・・・ 従業員一人当たりが生み出した利益額

労働分配率は、業種によっても異なります。
「TKC経営指標 速報版 平成24年4月決算~6月決算」のパチンコホールの労働分配率は、27.8%でした。
この数字が正しいとは限りませんが、これよりも高ければ、利益に対して人件費が過大である可能性があります。

当然ながら従業員の処遇を向上させれば労働分配率も高くなります。
しかし、処遇を向上することを避けていると、社員のモチベーションの低下に繋がり、退職者の増加や、現場の機会損失が生まれ、利益低下に繋がる可能性があります。
処遇向上は従業員のモチベーションを上げるための人事戦略でもあります。
従業員のモチベーションが上がれば一人当たりの生み出す利益(労働生産性)が上がり、増益となります。利益が増えれば労働分配率は下がるので、さらに処遇を向上することができます。
やみくもに労働分配率の上昇を嫌うのではなく、こういったサイクルを回すことが重要です。

次に、労働生産性についてです。
労働生産性が高いほど従業員一人当たりの生み出した利益が大きいということです。

労働生産性が高い企業では、能力が高い従業員が多い、業務の効率がよい、競合に対しての優位性が高いなどが考えられます。

労働生産性が上がらない場合には、従業員の能力不足や効率が悪いことだけが原因ではなく、本社からの業務指示が多い、設備面の老朽化に伴う不備(島や台のトラブルなど)などの原因も考えられますので、どこに問題点があるのかを見極めることが必要です。

労働分配率や労働生産性は、人件費を分析する指標のひとつです。
従業員の接客サービスがよいか、本部機能が肥大化していないか、従業員のモチベーションが低下していないかなどを見極めるために利用することができます。
後編では事例を紹介しながら、労働分配率についてさらに詳しくお伝えします。

―続きは後編で!

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