パックエックス通信

第一興産株式会社、伊藤光宏社長 TOPから学ぶ

藤光宏/第一興産株式会社 代表取締役。昭和62年に城西大学を卒業後、新入社員として日拓グループに入社。10年間の勤務を経た後、第一興産株式会社に店長として入社。

今週のパック・エックス通信は、第一興産株式会社の伊藤光宏代社長です。「顧客満足はもちろんだが、株主満足も大事だ」と話す伊藤氏は、パチンコ業界では珍しいサラリーマン社長。パチンコ業界で働くことになったきっかけや、第一興産株式会社に入社した際のエピソード、代表になってからのお話や、社員への想いについてお伺いしています。

本日は宜しくお願いします。まずは、パチンコ業界で働くきっかけを教えて下さい。

今から27年前に日拓グループに入社をしました。当時は、バブルの前でしたが景気も良く、今よりも就職状況が良かったため、私は金融や証券会社など複数の企業から内定を貰っていました。

しかし、私はそれらの大手企業を断ってパチンコ屋を選びました。それは、日拓グループの現在の会長である西村さんの持つ、社員を一人前に育て上げようとするカリスマ性に強く惹かれたからです。理由はただそれだけでした。

今でこそ、新卒でパチンコホールに就職することは、特に珍しくありませんが、私が就職した頃は、大卒でパチンコホールを選ぶ人は皆無でした。だから、フライデーや毎日新聞に取材をされたんですよ(笑)。

日拓グループでは、どのようなお仕事をされていたのですか。

実は、約10年間勤務していたうち、パチンコホールの現場を経験したのは、たったの2年間だけなんです。あとの8年間は、人事や経理、飲食店の責任者を行っていました。

特に思い出深いのは、2年間配属されていた経理での出来事です。西村会長から「財務を知らない奴は幹部にはさせない」と言われ、配属をされたのですが、私は経理のことは全くわかりませんでした。それでも西村会長は、「簡単な会社の決算を組めるようになれ」と、会社負担で簿記学校にも通わせてくれたのです。

私は、日拓グループで勤務した約10年間は、お金を貰いながら勉強させて頂いたと思っています。

なぜ10年務めた会社を辞め、転職しようと思ったのでしょうか。

もともと独立志向があり、一本立ちしたいという気持ちが人よりも強かったんです。10年ということで区切りもよかったですし、業界を変えて新しい挑戦をしてみるのもいいのではと考えました。ですがその時点では特に何も決めてはいませんでした。

ですから転職活動のために登録した人材紹介会社では、「とにかく稼ぎたいんです。業種は問いません。何でもやりますから、伸びる会社を紹介して下さい」と伝えました。結果的に全く業界の違う大手3社を紹介して頂き、嬉しいことに3社ともから内定を得ました。

しかし、入社をしたのはそのどれでもなかったんですよね。

はい。時を同じくして、日拓グループ時代の上司から、「第一興産のオーナーが人を探しているんだが、一度会ってみないか」と声をかけられました。最初はとりあえず会ってみるか、くらいにしか考えていませんでした。

ところが、そのオーナーというのが、とても面白い方だったんです。一言でいえば、任せっぷりの良さが凄かったんですね。そこで一気に、気持ちが変わりました。この出会いをきっかけに、3年くらいならここで働いてもいいかなと考え、入社を決意しました。

―第一興産株式会社に入社した当初は、どのような仕事を行っていたのですか。

全店舗の店長のようなことをしていましたね。だから全従業員と顔見知りなんですよ。入社当時、第一興産株式会社は、東京には浜田山に200台の店舗が1件あるのみでした。

荻窪と横浜のたまプラーザにも自社ビルを持っていましたが、店作りを進める人がおらず、建設が長引いてしまっていたんです。そこで私は、自分が建設途中の店舗の建設を加速させ、グランドオープンから店長として営業を軌道に乗せました。その時、オーナーの任せっぷりが大いに発揮されて、今に至るというわけです(笑)。

入社から4年後に部長に就任されましたが、そこではどのようなことを取り組まれていたのですか?

部長という肩書でしたが、基本的に社内で管理ができるのは、私一人しかいなかったんです。だから、その時から今とあまり変わらない仕事をしています。仕事内容は色々でしたが、基本的には現場に数字を全て見せ、現場に全てをやらせる。そしてそれを私はコントロールするというスタイルでしたね。

コントロールすることは、難しいことだと思うのですが、どのようにしてその管理をしているのですか?

アルバイトも含めた全スタッフに、年に1回、私宛に手紙を書いて貰っているんです。内容は、時給や評価、査定、シフト、人間関係に満足しているか。愚痴も要望も受け付けます。そこでどれだけ体制の秩序が保たれているかを判断しているんです。

実は、社員のほぼ全員がアルバイト上がりで、30名いる社員も、90%がアルバイト出身なんです。社員の募集を行ったのはこれまで数度しかありません。それも、一般募集から中途採用できるだけの体制であるかを把握するために試験的に行ったものでした。

私は、アルバイトスタッフが社員になりたいと思うかを自分自身の経営判断のバロメーターにしています。その理由は、アルバイトスタッフは最も身近で社員を見ているからです。恐らく社員は、アルバイトスタッフに対して愚痴も言うだろうし、未来も語ると思います。それに対し、アルバイトスタッフが正社員として働きたいと思うのであれば、会社の未来は安泰だと思うのです。もし仮にそこに歪さを感じるのであれば、自分のやっていることはおかしいのではないかと思うようにしています。

代表になって変わったことなどはありましたか?

特にないですね。店長をしていた時からオーナーの分身だと思い、常にオーナー目線で仕事をしてきました。大切なことは、これからどうやって実績を出すかです。今後どうすればさらに会社を発展させられるかを考え実践し、実績を残すことが私の使命です。

社員のみなさんに伝えたいことはありますか?

お客様と株主満足が一番大事だということです。自分の私利私欲を殺して、お客様と株主のことを一番に考えることができる人ほど、自分の給料や幸せとして返ってくると思うんです。短期的ではなく、長期的にその気持ちを持ち続けて欲しいと思っています。

それと、社員には何より幸せになって欲しいと思っています。何かしらの縁があって、共にお仕事をしているわけですから。

仕事もお給料もそこそこでいいから、私生活を充実させたいという人もいる。ガツガツ働きたいという人もいる。結婚して、家を建てたいという人もいる。人それぞれいろいろです。そう考えたときに、何が大切になってくるかというと安心感、特にゆとりだと思うんです。

でも、そのゆとりを得るためには、やっぱり頑張らなければなりません。そういった意味で、会社は各々が幸せを追求するための場だと考えます。それが利益で評価されるのであれば、そこを目指して頑張って欲しいですね。

社員さんのモチベーションを上げるために取り組んでいることはありますか?

とにかく褒めることですね。組織が小さいので1店舗1人でも良いことをすれば、私は従業員全員に伝わるくらい大々的に褒めるようにしています。そうすると自然と周りもそれをやるようになるんですね。

他には、11年前から接客・遊技環境向上プロジェクトというものを店長の下の役職であるマネージャー向けに導入しています。マネージャークラスの中から選抜のメンバーに、設備接客責任者という役割を与え、お互いの店を視察に行かせ、接客や設備などの遊技環境を評価し合うというものです。お互いに評価しあうので、周りに負けないように努力します。

競争しあうということはとても大事です。負けたくなければどうすればいいかを考えますよね。これまで通りのことを続けていても発展はしません。世の中は絶えず変化していますから、自分たちも変化に対応すべきです。会社のルールや規制概念に縛られて何かができないというのはよくないので、私も「今やっている仕事を疑え」といつも言っています。

また、このプロジェクトでの結果は、人事評価にも反映させています。どれだけがんばったかが給料やボーナスにも反映されるので、モチベーションにつながっていますね。

今後のビジョンを教えて下さい。

自分自身のことで言うと、TOPセールスマンになって、この会社を出ていきたいと考えています。もちろん、この会社の業績も上げますよ。でも、その姿を社員に見せて、社員にもそこを目指して貰いたいと考えているんです。

私は、社員が辞めることを悪いことだとは思いません。むしろ、辞めて、自社よりも良い待遇だと聞くのは嬉しいことなんです。稼げる人間になって欲しいと思っているんですよ。

会社全体としては、パチンコ以外の事業も展開させたいと考えています。事業内容としては、飲食や介護、フランチャイズでもいいと思っています。今後業界は縮小傾向になっていくと思うんです。そうなると従業員は、だんだんと煮詰まってきてしまいます。その時のことを考えて従業員の受け皿をたくさん作っておきたいんですね。もちろん、パチンコはパチンコでやっていきますよ。

座右の銘や心がけていることを教えて下さい。

座右の銘はありません。そんなに立派なものはありませんよ。ただ、心がけていることはあります。西村会長に学んだ言葉ですが、論語の「忠恕」、誠心誠意相手の立場で考え行動するということです。

西村会長からは、仕事に対する基本的な姿勢や、経営に関する哲学・価値観・判断・考え方など、本当に色々なことを学びました。10年間、本当によく勉強させてもらいました。でも、当時は本当に厳しくて、本当に怖い方でしたね。人を叱ることは、大変なエネルギーが必要ですが、惜しむことなくそのエネルギーを注いでいただきました(笑)。

最後に業界の仲間にメッセージをお願いします。

店長職以上の役職者であるならば、株主を喜ばせてあげて下さい。そして、自分の下で働く従業員を喜ばせてあげて下さい。そして、自分の利益は一番最後に考えるようにして下さい。

株主の存在が無ければ、会社や組織・社員の存在はありません。もしそれが嫌なら、自分が株主になるしかありません。稼ぐっていうのは、そういうことです。

ありがとうございました!

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