新入社員が入社してきたこの時期に気をつけたいこと 前編

今年も4月から新入社員が入ってきましたね。
今回は、主に新卒採用を行っている企業に向けてのお話ですが、現在新卒採用を行っていなくても、今後成長していきたいとか、組織力を強化していきたいと考えている企業の人事・採用担当の方にも参考になるかと思います。

企業の新卒採用予定数はここ2年ほど増えてきています。
今行われている2013年卒向けの採用活動においても、採用予定数は全国平均で昨年比105%、アミューズメント業界でも106%となっております。
この傾向が継続すると、2014年卒も増加していくといわれています。
この流れからも分るように、現在、多くの企業が採用活動にとても力を入れています。
実際、パチンコ業界での新卒採用実施企業は200社を超え、採用実績人数でも大手では1社で100名以上、中小でも20名を超える実績があります。

しかし、その反面でこんなデータもあります。
それは、若年者の離職率の高さです。

「入社後3年目までに離職する割合」は今でも大学卒で30%、高校卒では50%を超えると言われています。

パチンコ業界だけのはっきりとしたデータはありませんが、大学卒で30%以上に達するといわれています。
ちなみに、厚生労働省委託の「若年者の職業生活に関する実態調査」によると、就職してから1年以内に離職した正社員の離職理由のトップは「仕事が自分に合わない、つまらない」で39.1%、次いで「会社に将来性がない」(36.7%)、「賃金や労働時間等の条件がよくない」(32.6%)の順でした。

このような学生と企業のミスマッチが起きる理由としては、まずは「採用活動自体の問題」があげられますが、これとは別に「受け入れ体制の問題」も大きな理由の1つです。

今回はこの「受け入れ体制の問題」についてお話しいたします。

皆様の企業では、採用後の新入社員に対してどのような取り組みをされていますか?
採用して終わりになっていませんか?もしくは、人事担当者の仕事だと他人事にしていませんか?

受け入れ体制は入社前と入社後の2つに分かれます。
まずは今の時期に合わせて、入社後についてお話します。

2011年三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の調査では、ここ数年の新入社員の就労意識は、「ずっと同じ会社で働きたい」と言う意識が高く、安定志向が続いています。
また、将来に対する意識についても「出世したい」という意識よりも「好きな仕事を楽しくしたい」という意識が非常に高くなっています。
そんな中、冒頭に述べたような退職の理由が挙がるということは、入社後の受け入れが十分になされていないとも言えます。

●入社後に必要なこと
(例:入社後から1年間)としては、次のようなことが考えられます。

・社会人としての心構えを学ぶ
・社会人としての最低限の社会常識やビジネスマナーを習得させる
・入社後、本格的に実施する知識の習得・・・業界の事、基礎スキル
・社会人として成長していくための目標設定をおこなう
・自社に対する理解を深め、同期生同士の連帯感を養う
・入社後の職場生活を振り返りながら、社会人としての基本の大切さを再認識し、モラルアップを図る
・採用担当者との定期面談などから、職場での悩みや問題点を共有し解決へとつなげていく
・2年目社員として成長していくための目標設定をおこなう

これらのことは多くの企業で取り組んでいる内容ですが、そのやり方次第で効果は大きく変わっていきます。
例えばビジネスマナーや社会常識としては次のような項目があります。

・電話のかけ方、受け取り方
・お客様への応対の仕方
・文書の宛名の書き方
・応接室や会議室での上座、下座の礼儀
・正しいお辞儀の仕方

これらは社会人としては当然知っておくべきことですし、社会人にとっては一般常識ですが、新入社員でこれらを正確に知っている人は、思っている以上に少ないです。

では実際に、これらを教育していくにあたって、どのように指導していけばいいのでしょうか?うまく指導が出来ている企業が心がけている点や工夫している点としては次のようなものがあります。

研修自体のやり方としては・・・

●「ツール」を工夫する
マンガや映像などビジュアルや動画を取り入れた研修は、昨今の学生には分かりやすいと好評です。文字の多いテキストだけだと、長続きしないようです。また、先輩社員の体験談(成功だけでなく失敗も含む)などの資料を使うと、仕事のイメージが実践的になり、新入社員にとって把握しやすくなります。

●「遊び感覚」を盛り込む
「ウォーク・ラリー」などのレクリエーションを実施したり、地域のイベントや催事に参加させたりといった”遊び”の要素を取り入れることも効果的です。
研修に遊び感覚を盛り込むことで、同期生とのチームワークや共感性を育んでいきます。

●「全寮制」で行う。また配属店舗は全員同じ場所に固める。
新入社員全員が入寮して「寮生活」を送ることにより、それまでの学生生活の気分が一新され、社会人としての自覚が促されていきます。
何より、寝食を共にしたことで、コミュニケーションが急速に密となっていきます。
同期意識がより強固となっていき、仕事上の悩みや不満だけでなく、プライベートな面での心配事や将来の不安なども一人で抱え込まず、皆に相談し、解決していくようになります。

●「先輩社員」を参加させる
「研修講師」として先輩社員を招き、グループ単位やマンツーマン方式できめ細かく指導に当たってもらいます。
身近な存在である先輩社員なら気軽に質問ができるだけでなく、実務に則した知識やスキルを新入社員のレベルに合った内容で伝えることができます。
さらには、あまり年数の経たない社員を選ぶことで、先輩社員の教育効果を狙うことも期待できます。

●「新入社員」に運営・進行を委ねる
上からの押し付けを嫌う新入社員に対して無理強いをするよりも、研修中の運営・進行を全面的に委ねることで、自分自身で考え、行動していく習慣を身に付けさせることができます。
時には意見の衝突が出てくることがあります。
お互いに意見をぶつけ合うことで、良い意味でのライバル意識が芽生え、同時に、信頼関係も醸成されていきます。
また自然にリーダーシップを取る者も出てくるなど、新入社員に運営・進行を委ねることのメリットは少なくありません。

また研修後に、研修で学んだことを効果的に定着させるために・・・

●新入社員が研修で学んだスキルやモチベーションをしっかりと既存社員が把握し、その活気に負けないくらいの応対を心がけている。

●部下をよく観察する。そして、ほめる(承認)する。
これは単にほめることでなく、「ここまできた」という達成点を事実として伝えることが重要です。それにより本人(部下)は自信が出て、おのずとやる気につながり、実際の行動力に結び付いていきます。承認する際は次の点を意識してください。
・相手の変化や成長・成果に気付くこと
・相手の強みに気付くこと

この時期だからこそ、もう一度考えていただきたいのが、新卒採用を成功させるためには、採用活動自体だけに一生懸命になるのではなく、その前後の受け入れを工夫することが大切なのです。

―次回は入社前の受け入れ準備についてです!

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