本日の『TOPから学ぶ!』は、株式会社マルハンの韓社長(第2部)です!
第1部では、「ビジョンの成り立ち」ということで、
マルハンが改革の第1歩を踏み出した当時のお話をお聞きしました。

「業界が、お客様をお客様とも思わない時代。
マルハンは近代的でちゃんとしているのだと思っていました。ところが当社も例外ではなかったのです。」
~第1部より~

スタート地点はどこの企業も同じだった。ではマルハンがいかにして飛躍的に成長し、
トップ企業になったのか。

その秘密を解剖するべく、第2部は【マルハンの強さ】というテーマでお送りします。
「マルハンにあって、他社にないものは?」
「どうすればマルハンになれる?」
「地域一番店になるには、どうしたらいいの?」
という、読者の方からのリクエスト質問にもお答え頂ました。

・・・その前に第1部をもう一度読みたい方はコチラを御覧下さい!↓↓

■第1部 【vol.9】『マルハンイズムの源泉~ビジョンの成り立ち~』

では第2部をどうぞ!

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第2部■マルハンの強さ

―韓社長にインタビューするというと、色んな方から「どうすればマルハンのようになれるのか聞いてきてほしい」と言われました。教えてください!

どうすれば、ですか・・難しいですね(笑)何で出来たのかわかりませんし、もう一回初めからやれといわれても出来ないかもしれませんね(笑)。

マルハンとして大切にしていることをお話すると、一つは、マルハンはものすごい切れ者のトップが構想も方法論も綿密に持っていて、それをトップマネジメントでああしなさい、こうしなさい、と指示してやってきた組織ではありません。しいて言うならば、【みんなが考える組織】を作ってきました。

例えば、5店舗位の規模で、私と同じように2代目として企業のトップを務めている人がいるとします。この人をずっと見ていると、何もかも仕切っているんです。偉そうな雰囲気を出して、全てを采配しています。

お父さんが社長で、自分は専務をやって、機械もイベントも全部自分で采配して決めている。私はそれを見ると、なぜあなたがやってるの?と言いたくなります。

あなたより優秀な人は沢山いる。たまたま専務で権限だけ持っているけど、あなたより営業力がある人に考えさせてやらせたらどうなの?もっと経営者としてやるべきことはあるはず。と思うんです。

私はモデル店を作ったときから、現場の仕事に関しては一切やりませんでした。業界ではバカにされたこともありました。

モデル店を立ち上げる際は、現場は全てスタートメンバーに任せました。彼らも初めは戸惑っていましたし、失敗も沢山していました。

当時はホールコンピューターが導入されたばかりで、それまでは赤鉛筆と黒鉛筆を持ってやっていた時代でした。

彼らは、ホールコンピューターを受け入れなかった昔の職人気質の人たちを、どんどん抜いていきました。会得するまでに10年かかると言われていたことを、数週間でできると証明していったんですね。

職人の勘よりも、大切なのはデータをしっかり取って分析をすることだ。と自分達でどんどんやっていきました。

もしも私が、全てを采配して、メンバーにそれをやらせなかったら、「はい、わかりました。」と言うことだけが彼らの仕事になっていきます。

どうせ考えるのは上司で、「自分達は指示通りやればいい。」「指示通りできなかったから怒られる。」と、全く考えることをしない組織になります。個人の成長度を見ても、その差は大きいでしょう。

マルハンイズムが大切だということや、理念型の経営をしなければならない、という大筋のものは当然私のこだわりの中でやってきましたが、どんな教育をするか、維持継続するための仕組みに関してなど、私にアイデアがあって、ああしろ、こうしろと言ったものではありません。企業の文化とか、一人ひとりの成長と共に、この組織ができたから、良かったんでしょうね。

経営者は、方向性を指し示したり、チェックしたりしなければなりなせんが、世の中の多くの経営者は組織に「君臨」します。自分が考えたことを忠実にやれ、ということを求め、それを管理します。

すると、それが経営だという考えが組織に根付き、そこからは新しい考え、競争力はうまれないのです。結果として、指示待ち人間ばかりの組織になりますね。

私達がやっていることは、そもそもそういうマネジメントとは対極のスタイルだと思います。自分で考えて、自分で行動を起こすことを求められます。

―自ら考え自ら行動する組織。ということは、社員が権限を持って実行できることも多いのでしょうか。

はい、マルハンの店長は非常に大きな権限を持っています。そのかわり責任も大きく、責任と権限は同量である。ということを実践している組織です。

年間予算があって、それをベースに月間予算、週間の戦略、日毎のプランを立てます。明日のプランの指示は誰からもきません。決裁権限を委譲しているので、指示待ちではないんです。

例えばもう何年も前ですが、こんなことがありました。

とある店舗の近隣に、あるチェーン店の大型店が進出をしてくると決まった時のことです。それまでは、その地域の競合4店舗と戦っていたわけですが、うちの店長は、普段は競合関係にあるけど、今は皆で共同戦線を張って、マルハンも含めた5店舗で新店と戦うべきだ。と考えたんです。

そこで、競合店の責任者の人たちと話して、合同チラシや、景品イベントを開催したんです。新店のオープンが迫っており、企画は次々に即決されていきました。

うちの店長になんの決定権もなく、いちいち本部に確認をとらなければいけなかったら、こんなことは出来ないですよね。

競合店の皆さんは、専務とか、取締役だとか、経営者の方がほとんどだった中で、うちの店長も即決する権利を持って参加していました。そのくらいの権限委譲をしています。

他にも、14時と19時に他店の統計を取りに行っていますが、ある店でいつもは17時位に、普段仕事帰りのお客様がご来店されて稼働があがってくる時間にも関わらず、稼働があがらない。競合店を見に行ったら、夜のイベントをやっていたとします。そうしたら間髪いれずに、次の日から何か仕掛けます。

現場で物事が動かないと、競争には勝てないんです。図体は大きいですが、スピードを鈍化させてはいけないと思っています。

話を戻すと、マルハンとは、自ら考え自ら行動する組織です。

しかし、一つのマルハンイズムという軸、そしてマルハンの一員として持たなければならない指針がはっきりしていて、その中でやっているので、ばらばらにはならないんです。

なぜマルハンが強いのか、というと、そういう組織であるから、ということでしょうか。

そのかわり、それを創り上げていくのは忍耐がいります。失敗も沢山あります。

マルハンの店長達は、それこそめちゃくちゃ失敗していますよ。私が知らないところでも、しょっちゅう失敗していると思います。

例えば経費を掛けて景品イベントしたけれど、全く響かなかった。

そんなことは一杯あるでしょうね。もちろん責任も問われます。店がうまくいかなければ転勤という可能性だってあるわけです。

でも、だいたいの企業は、上に「決める人」がいて、その通りやりなさい、と指示を出す組織です。それでは個人は成長しないし、つまり組織は強くならないと思います。

―いち店舗の経営者と言っても過言ではないほどの権限を委譲されているのですね。店長になるまでのプロセスがとても大切だと思うんですが、育成のポイントは「任せる」ということでしょうか。

そうですね。ただいきなり、「さぁ、うちは個性を大切にする個性派集団です。皆さんにもそれぞれ個性があるので、自由にやってください。」とやると、会社はめちゃくちゃになりますね。

当然、初めは基礎を徹底して教育します。これはもう躾と同じで、マルハンとしての基礎、身だしなみ、挨拶、チームワークを大切にする、約束を守る、時間を守る・・・そいういう基本的なことが出来ない人には権限は与えられません。

基本的なことができるようになったら、少しずつ任せる比率を上げていき、成長をさせます。店長にも、そういったマネジメントを求めています。

大きな権限を持たせ、自分で考え行動することを求めますが、それと同様にマルハンイズム、つまり土台の部分を追求して、こだわっています。「我々はマルハンだ。」という意識は、一つの軸として揺らがないものなんです。

―もう一つ、「地域一番店になるために必要なことを聞いて欲しい」という声が多くありました。

当然立地や機械などのハード面は重要ですね。それを与えられた店長がどう使いこなすか、ということも。

ただ、それだけでは店舗は成り立ちません。今マルハンの店長たちが取り組んでいることは、ベーシッククオリティ、つまり基本の追求です。基本をまず徹底的にやらないと、上辺だけを整えてもうまくいきません。

土台がちゃんとできてないのに、イベントがどうだ、機械がどうだ、とテクニックに走っていく人は意外と多いものです。

土台の中には、接客やクレンリネスなど色々とありますが、やっぱり一番大切なのはチーム力ですね。

チームとしてのモチベーションの形成が崩れたら、お客様に向き合えません。だからこそ、土台に目を向けるようにしています。

土台があってこそ、戦略が生きてくる。店作りには、そういう方程式、順番があります。

マルハンはものすごく土台の部分にこだわっています。特に人材の部分で、チームマルハンとして一つになることをすごく大切にしています。不調な店舗があれば、必ずイベント・機械の前に、人はどうなんだ、接客、掃除はちゃんとできているのか、というように土台の部分をまず見て、テコ入れをしていきます。

―土台の部分というのは、どのくらいがマルハン独自のものなんでしょうか。

全てです。クレンリネス一つにしても全て独自のものを創り上げています。

接客でいうと、基本を徹底的に、しいて言うなら、形も大切ですが、ベースになるのは「お客様を大切にする」という理念みたいなもので、それも土台ですよね。

理念が本質であって、形は表面的なものですから、表面的な部分だけ追いかけていってもだめだと思います。

例えば他店のオーナーがマルハンの店舗を見に行ったとします。マルハンの接客はすごい、と部下を呼びつけて、コンサルを雇ってもいいから、徹底的に従業員を訓練しろ!と言ったとしたら、その時点で分かっていませんよね。

なぜマルハンの人が、いきいきとお客様に向き合っているのか。それは、徹底的に訓練したからではありません。そのオーナーは本質が見えていないんですね。

つまり、マルハンの特徴は、ベースがあって、共感力がある。そして方法論・戦略がある、ということです。

それと、他社から見たらしつこいと思うんですが、やり続ける、ということ。我々は決して諦めません。そうは簡単に結果がでない面もありますが、あの手この手でとにかく結果が出るまでやります。これはけっこう大切ですね。

―それでは、マルハンにあって、他社にないものって何だとお考えですか?

言葉としては、人材力、絶え間ない創造力とやりきる力、チーム力、イズム、本気、一貫性・・・、このような言葉が浮かびます。

私は、Aを選ぶか、Bを選ぶかよりも、選んだほうを成功するまでやり続ける事が大切だと思っています。だから、私は、成功するためには、成功するまでやることだ。とよく言ってきました。マルハン社員はやればなんとかなる、とみんな思っていますよ。

その代わり、途中で止める、中途半端に、なし崩し的に諦めるということは、絶対にありえないと思ってやっていると思います。

営業本部長時代によく言っていたのは、チェーンストアを学んだマルハンにとって、多店舗化の一つの武器は、全部一律にして標準化することではない、ということ。

1店舗あたりに、3店舗くらいの対抗店の統計とっていますが、そうすると自店を含めて、毎日1000店舗くらいの稼働率のデータが集まります。それで地域1番店になっている、いないなどを、日々分析し、うまくいっていない傾向が見えたらすぐさま手を打ちます。

例えば新店を出して、オープン1週間、2週間経ったときに、「あれ、この地域、夜がめちゃくちゃ稼働が悪い。何だこれは。」というような場合がありますね。そうなったときに、前を向くとマルハンの対抗店、700店舗が、700通りのやり方でマルハンを攻めてくるのが見えます。ただ、後ろを向くと、マルハン260店舗の仲間がいる。この仲間達の中に、夜の稼働を高めていくためには、どうしたらいいのか、というのを経験値として持っている人が沢山いるんです。

店長達は、それぞれの場所でマルハンの代表として戦っています。だけど、一人やっているのではなく、仲間の引き出しを共有しているので、沢山のノウハウがあるんです。それをカスタマイズして、自分の地域に合うようにしてやっていく。その繰り返しで、戦っているんですね。マルハンには、色んな人たちのあの手この手が沢山つまっているんです。

これが他社にはないマルハンの営業の厚みだと思っています。

なかなか答えがでないことも多いんですが、とにかくあらゆる手を考えて、絶対に成功するまでやる。諦めないんですよ

―韓社長、ありがとうございました!!

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