本日の『TOPから学ぶ!』は、

株式会社正栄プロジェクト(本社:北海道)美山社長にお話をお伺いしました。

パチンコが大嫌いだった幼少時代。
「社会にも親にも反発して家を飛び出したんですよ。」

それでもこの業界に戻ってきたのは、「業界の常識」を変えたかったから。
いくら反対されても意思を貫いたのは、確信があったから。
「周囲からみると、破天荒で非常識に映っているでしょうね。」

常に業界の常識にとらわれず、革新的な取組みを次々に実施するイーグルグループ。
「成長の可能性は、真っ暗闇のその先にしかありません。」
とおっしゃる美山社長に、
幼少の頃から積み重ねた業界への思い、敢えて成功体験を捨てることの大切さ、
「業界の異端児」と呼ばれる所以(?!)を聞かせていただきました。

前後編に分けてお送りします。
まずは前編です、どうぞ!

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美山 正広 さん プロフィール
株式会社正栄プロジェクト(本社:北海道。http://www.eaglegroup.co.jp/
代表取締役
85年SANKYO入社。メーカー勤務を経て、89年に父親の経営する正栄商事入社。
92年に正栄プロジェクト設立。
現在北海道と関東に31店舗を展開。
時代が求めるニーズを敏感に感じ取り、先駆けて業界の常識を覆し続ける美山社長。
それが「業界の異端児」と呼ばれる所以にもなっている。

TOPから学ぶ!!

 

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―美山社長、本日はよろしくお願いします!この取材の前に、学生さん向けのトップセミナーにも参加させて頂きましたが、毎回社長自ら学生さんに話をされるんでしょうか?

学生さん向けのトップセミナーは、2月くらいから、就職活動が落ち着く7月くらいまで、月に1回か2回開催しています。

新卒を採用する上での採用基準は、【人間力】。幅広い言葉ですが、ここに重点を置きたいんですよ。

当社では、企業理念「つたえたい想い」を最も重要視しています。当社の目的は利益ではなく、企業理念を追求すること、そして社会に必要とされ続ける会社であることです。そのためには利益は必要だし大切ですが、決して目的ではありません。企業理念の追求、そこに必要となるものは、間違いなく人間力です。

私は機会ある度に、企業理念が一番重要だということをずっと発信していますし、トップの口から、会社の経営方針やビジョン、またどんな人を求めているかということを直接聞くことで、会社選びが明確になると思っています。

入ってしまってから、あれ?とギャップを感じることは、多かれ少なかれあると思いますが、それをできるだけなくしたいと思っています。だから、ある程度赤裸々に、本当にこういうこと思ってるんだ、って、失敗談も含めて包み隠さず話した方がいいんじゃないかと。

その上で、そういう考えじゃないんだよね、と当社を選択しないこともありだし、共感してくれたら選んでもらえればいい。

私が話すことで、そこが明確になるんじゃないかと思っています。

―幼少期の頃の体験談も含めて、かなり赤裸々に語っていらっしゃいましたね。

ええ、そうですね。私は小さい頃はパチンコが大嫌いでした。パチンコ屋の息子、ということで「あの子と遊んではだめ。」「もう二度とうちへ連れてこないで。」と友達の両親に言われ、友達が去っていきましたから。

家業のこと、国籍のことも含めて、いつも蔑まされているという感覚でした。親にも、社会にも反発をして、17歳で家を飛び出しました。

だから私には学歴もありません。それがコンプレックスで、経営者になった時には、本を読み漁り、セミナーというセミナーには片っ端から参加しました。学歴を出来ない理由にしたくなかったんです。

そんな体験談を通して、人は変われるし、成長できる。優秀な人だけが成功するわけじゃない。そういうことを伝えたいと思っています。

―大嫌いなパチンコへ戻ってこられたのはどうしてでしょうか。

家を出た後、縁があってパチンコメーカーの営業、サービスをすることになりました。もう26年も前の話になりますがメーカーならパチンコ店とは違うし、いいかな、という思いでしたね。そこで店舗に訪問するうちに疑問を持つようになったんです。

遊技してくれるのはお客様なのに、なぜお客様をお客様と思っていないんだろう。お金を使ってくれているのに、どうしてお客様として扱わないのか。「ありがとうございました」どころか、「文句があるなら帰れ」なんてことを言っている。真逆じゃないのか?

これが業界の常識、普通のことなのかな、と思いかけたこともありましたが、いや、絶対おかしいはずだ!って。

例えば、店長に新台の説明をきちんとお客さんにしましょうと言っても、「そんなことしなくていい。説明書貼っておけばいい。」と言われるんですよね。

それでも食い下がって、社員が新台入替の時に、お客さまに説明したほうがいいですよ。と提案すると、「うちのぼんくら社員が説明できるわけない」と返ってくるわけです。部下を信じてないんですよね。

仕方がないので、私がお客様に一人ひとり説明したことも、何度もありました。当時は複雑な機械が多かったですから、説明して初めて、「ああ、そうなんだ!」ってやっと遊び方を分かってもらえたんですよね。つまり、分からないまま打っている人が沢山いたんです。

そういうことを店はしないし、これでいいわけないよな。と思いながらも、ほとんどの店がそうなので、これでいいのかな。何が本当なんだろう、といつも迷っていました。

でも、やっぱり違うはずだ。この先、これで通用するわけない。これが許されるわけがない。

そう思ったときに、家業のパチンコ店を変えなければ。自分にも変えられるのではないか、と実家に戻ることを決意しました。

実家へ戻ったのが平成元年。私がやろうとしていたサービスは当時の業界的には全く一般的でなかったですよ。お客様をお客様として扱うことが、異例だったんです。挨拶から始まる接客態度、店舗の清掃、そして少ないお客様から多くの利益を搾り取るのではなく、薄利で沢山のお客様に来てもらうという営業方針。

もちろん反発だらけでした。社長である父とも対立してばかりでしたよ。すさまじかったですよ。考え方が父と逆ですから、非常に激しいぶつかりあいでした。

それでも、自分は変えるために戻ってきた。今のままじゃ、自分が戻ってきた意味がない。自分だったら変えることができるかもしれない。という思いで、何度も何度も挑戦し続けました。

―異例だったサービスは、いまやほとんどのホールで当たり前になりましたね。

ええ、将来環境が変わったとき、こういう店は必ずお客様にそっぽを向かれる。そう思っていたら、本当にその通りになりました。

ホール経営を始めてから22年間、こうなるんじゃないか、と思ったことは、ほとんどがその通りになりました。

それはなぜか。

私は業界目線で見てないからです。予見力があるとか、特別な能力があるとか、そういうことではありません。

業界の中の目線ではなく、周り(社会)から客観的に見てどうか、ということを中心に意識しているだけなんです。

でも、業界の人、全ての産業がそうかもしれませんが、自分の業界の目線しか持てていない人が多いですね。

例えば少し前に起こったトヨタのリコール問題もそうですよね。

最終的に社長が出てきましたが、その前は、技術の責任者が出て、この車に欠陥はない、ということを一生懸命説明していました。

でも社会はそんなこと望んでいなかったんです。望んでいたのは、そんな事実じゃなかった。やっぱり目線がずれているんですよね。

過去にあった食品偽装問題もそう。産地偽装、賞味期限偽装。おいしいんだから、多少は大丈夫だよ。という自社目線、業界目線でしかみていないんです。今、社会の目はそんなことを許しませんよね。

そういう意味で、この業界もまだまだ業界目線が強いと思います。

パチンコをする1500万人、そこに携わるホール、メーカーなど関連企業だけの目線で、業界は発展するんでしょうか。パチンコをしない人を含む、1億人の目線で成り立っているのではないでしょうか。

私は、実家の店に戻ったときに、既に社会目線を持っていました。それは、幼少期の痛い体験を通じてパチンコが大嫌いだったからこそ、ある意味、業界否定から入ったんですね。幼少期からパチンコに対する負のイメージがあってそういう目線を持っていたから、業界の常識に疑問を持てるのだと思います。

それ故に、業界の方から見ると非常識で、破天荒だと思われていると思いますよ。「業界の異端児」と言われていますから。

それでも私は業界目線を抜け出して、社会目線を持つこと。ここに業界発展の道があると確信しています。

―社員の方にも、脱業界目線を望まれていますか。

もちろんそうです。ただ、そういいながらも、難しい面は多いです。

例えば店長は、これまでの経験が今の彼らを作っています。成功体験=彼らの常識がこの先のものさしになっていて、それをベースにものを考えます。

でも、環境は変化しています。追い風の時に成功したやり方を、逆風になってやっていても、うまくはいかないですよね。そんな時は、成功体験、つまり業界目線を一度捨てなくてはいけないんです。

でも捨てろといってもなかなか捨てられるものではありません。なぜなら捨てたら何もなくなるからです。だから今までやったやり方を踏襲してしまう。

今日までの成功体験をもとにして、同じことを続けるのが一番楽ですが、それ以上の自分にはなれません。

成長の可能性はその人の知らないところにあるんです。成長の余地とは、手の届かない真っ暗闇にしかありません。手を伸ばせば、何処に何がある、と分かっている人生。それは安心で楽ですが、そこに成長はない。

何があるか分からない、魔物がいるのか、道があるのかもわからない真っ暗闇のその先に飛び込んで初めて、1%以上の成長の可能性が生まれるんです。そこに飛び込まない限り、0なんです。

―業界目線から抜け出すために、社員の皆さんにどんなことを推奨されていますか?

今、社会で起きていることは何か、ということを知って欲しいと思っています。

この業界で生きていると、仕事の延長線上で興味があること・・メーカーの新台、競合店の客数、警察行政の顔色。その3つがほとんどなんですね。でもここに本当の答えはありません。

パチンコを全くしない人や社会は、何を不安に感じて、何に希望を持っているのか。何が消費を鈍らせているのか。不安だから?お金がないのか?そこに目を向けて欲しいですね。

そういう目線を持つために、もちろん新聞を読むことは大切。そして人と出会い、話をすることですね。僕は立場上色んな人と出会えますが、社員の皆さんはそういった機会が少ないので、本を読むことを薦めています。

例えば、色んな人の人間学を記した月刊誌「致知」を配布しています。(http://www.chichi.co.jp/

多くの人の生き方、考え方を読んで知ることで、出会いの疑似体験ができますからね。それを通じて、多方面から物事を見る力をつけて欲しいと思っています。

あとは、自らが率先垂範をしていくしかないと思っていますよ。今までやってきたこと、成功体験を敢えて否定してみる。

例えば1円パチンコを始めた時など、明らかに現状否定でした。当時はまだ一般的ではなく、業界内でもかなり冷ややかな目で見られましたし、うちの社員も私の気が狂ったと思ったんじゃないかな。

「何考えているの?売上どうするんだ?どうやって機械代回収するの?」

でもこれって、自分達のこれまでのやり方が正しい、という発想ですよね。自分たちのやり方が正しいから、新しいことを否定する。ということは「これまで」に疑いを持たない。

私はここに疑いを持ちます。疑い、と言う言葉はあまりよくないから使いたくないけど、要するに建設的な現状否定です。創造的な破壊なんですよ。

やっぱり人間だから、成功体験って握りますよね。でも握っているうちって新しいものが入ってこないんです。手のひらを開いて初めて入ってくる。そうすると逃げていくものもある。だからずっと握って、成功体験を捨てることができないんです。

でも先ほども言ったように、捨てることで可能性が開けてくる。一旦全てを捨てること。一旦自分が裸になること。これにはすさまじいリスクが伴いますが、ここにしか変えていく余地、成長の余地はありません。

「捨てる決断」と「加える決断」があるとよく言いますが、加える決断は簡単です。過去、高度成長や好景気の時は、加える決断をすればどんどん会社ってよくなりました。

台数を増やす、店舗を増やす、需要があるから増える。どんどん成長しました。

でも今は捨てる決断が必要なんです。いかに捨てられるか。自分を否定することだから、なかなか出来ませんが、捨てる決断によって、はじめて可能性が見えてきます。

だからこそ、私は自ら捨てることを選択します。

「えっ?何考えてるの、大丈夫なの?」と思われますが、望んだ結果が出たときに初めて、「あれ、そうなるんだ。」と、彼らは捨てることの意味を知ります。そして、学び、自分も出来るようになる。

でも、これが出来るようになっても、また別の場面で同じようなことが求められると、なかなかできない。

生き方を変える事は一朝一夕には、出来ませんから。

だから、私は率先垂範をやり続けるしかないんですよ。トップは生き様を通じて、道を示さないといけないと思います。

―ありがとうございます!

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