パックエックス通信

株式会社アムズプロジェクト、平沼正浩社長 TOPから学ぶ

平沼正浩/株式会社アムズプロジェクト 代表取締役。1989年に父が創業した㈲タイガー商事に入社。2007年に代表取締役社長に就任し、社名を㈱アムズプロジェクトに変更。前例のない独自の営業スタイルで斬新奇抜な店舗展開を行い、そのアイディア力故に『ドラえもん』と呼ばれた事も。

今週のパックエックス通信は株式会社アムズプロジェクトの平沼社長です。株式会社アムズプロジェクトは1981年の古物商開業が原点とし、1986年にパチンコホールを開業し、現在「AMZ」等の屋号で8店舗を展開(茨城県に7店舗、千葉県に1店舗)。

また、「100年続くいい会社をつくりましょう」というビジョンの元、複合施設の自社経営という大きな夢に向けて、2011年にはフィットネスクラブ「ヴィスポ」、2012年にラーメン店「正元」、リラクゼーションサロン「ジャスミン」をオープンさせています。

平沼社長本日はよろしくお願いします。まずは社長になられた経緯からお伺いできますか?

社長になって5年目です。18歳で会社に入ったのでもう23年ですね。両親が1981年に、私が小学4年生のときですが平沼商店という古物商を創業したのが始まりです。両親とも中学しか出ていないので、一文無しの状態から始めて、とにかく働きっぱなしでした。父は子どもたちには貧しい思いをさせたくないというのがあったようです。そういう親の姿を見てきたので、早く楽をさせたくて高校卒業してすぐ入社しました。

私も小学校1年生の息子がいるんですけど、洗脳していますよ。将来はどうするの?と聞くとお父さんの会社を継ぐと言います。ホールディングス会社や管理会社をつくって、こんな大変な仕事を子供にはさせたくないという経営者の方が多いけど、だったら会社を潰した方がいい。所詮家業なので、身内に継がせないで発展させても意味がないなって私は思っています。

「100年続く会社をつくる」というビジョンを掲げられていますが、これはいつ頃からですか?

8年前からですね。

というと、社長になられる前からですよね。それは当時の社長が決められたんですか?

いえ私です。うちの親父は私が18歳のときからほとんどノータッチで、実権は全て私です。私が入ったとき、親父のブレーンだった方には全員辞めてもらったんです。親父からしたら泣きながら辞めてもらいましたが、私と馬が合わなかったので。だからどっちかというと私は2代目というか1.5代目という感覚です。

このビジョンを掲げられたきっかけはなんですか?

いろいろあるんですけど…。フェラーリが乗りたくなっちゃったんです。当然個人でも会社でも買えるのですが、これはまずいなと思ったんです。フェラーリなんか乗っちゃったらかっこつけるし、間違った方向に行くのではと思いました。公私混同して会社を私物化してしまうのではないかと。だから100年というのは年数の問題ではなく、会社を潰さない、永続させるという意味です。

実際にリレーのバトンも作りました。100年というのは恐らく4人の経営者で達成するのですが、1周100mのトラックに例えて、4人でリレーして100年。私は2代目として、3代目にバトンを渡す一社長。絶対に私物化してはいけないという想いを込めています。

戒めという意味なんですね。

そうですね、どちらかというとそっちです。今は親父が健在なので、どこかで見られているとか、何かやったら怒られるとかっていうブレーキがかかっているんですが、よく先代が亡くなった途端にブレーキがなくなって間違った方向に行くということがあるじゃないですか。だからそのときに自分自身ブレーキを効かせられるように、極力いてもいなくても自制が効くようにしています。

会社はトップで左右されると思うので、自分自身の軸を「会社を続ける」ということにしていかないといけないと常に感じています。

ではビジョン実現のために具体的にはどのようなことをされていますか?

社員教育もそうですけど、今はあまりパチンコに特化しすぎないようにしています。というのも以前受けた研修で、『パチンコがだめになったらどうするんですか』と聞かれてドキっとして。パチンコがだめでも社員の雇用を守れるように、業種の幅を広げようという努力を進めています。

私自身が最終的に複合施設をやりたいという夢もあるんですけどね。昨年はフィットネス事業を始めて、今年はラーメン屋さんやリラクゼーションサロンも始めました。テナントを集めてやるのは簡単ですが、同じマインドを持った直営でやりたいんです。

社員教育にも意欲的に取り組まれていると感じたのですが、それは昔からですか?

ライバル店の影響もあるんですかね。でもやっぱり昔はパチンコ店の従業員というと「フーテンの寅さん」みたいな人がいっぱいいて、1日でいなくなることなんかたくさんあった。だからどっかで落ち着かせないといけないと思っていました。私はかなり以前から社会保険も完備して、新卒採用もやりたかったのですが、親父が反対して。

私が社長になってからすぐに始めて、新卒は14卒が5期生になります。

新卒採用を始められてどうですか?

企業として1ランク上がったと思います。その後評価制度を始めて今は賞与だけに反映させています。以前は評価制度がなかったので降格することがなくてぬるかったんですが、今はまた辞める人が出てきていますね。住み分けというのかな、ついてこられない人が出てきています。そうやって試行錯誤しながら。人の問題に関する悩みはつきないですね。

新卒の方が入ってきて、会社の中は変わりましたか?

うちは一般社員、リーダー、トレーナー、副店長、店長という組織なんですが、まだ1期生の中で1人トレーナーがいるだけです。役職者の中で新卒の比率が低いので、まだ活性化までにはいっていませんね。

1期生入社前は、中途の既存社員にとって新卒は脅威だったんですよ。どんなすごいエリートが入ってくるんだろうと。でも1期生のレベルが低くて、大したことないなってなっていました。結局誰でもいいからちょっとでもうちに愛着持ってくれたら内定出していたんです。私も会社説明会には100%出ていましたが、最終選考は任せていました。

これはまずいと感じて2期生からは私が最終選考もするようになりました。でも今度は私もうんちくたれると気持ちいいから理想を語ってしまって…。採用したら、理想と現実は違うとすぐに辞めていく人もいました。3期生からは辞めないで戦える人を育てようということで、入社前にインターンとして働かせています。

今はパチンコ業界のみならず、雇用が保たれなくて運営ができなくなっている。求人を出しているところも、職を探している人も多いのに、ミスマッチが起きてしまっていますよね。パチンコ業界もなかなか人が入って来ないので、新卒採用をやってなかったら今どうなっていただろうと鳥肌が立つ程ぞっとします。だから新卒採用をやって正しかったと思っています。

かなり以前から新卒採用をやりたかったとのことですが、それは何故ですか?

中途では限りがみえますよね。やっぱり色に染まっていない人を入れたいというのはどこの会社でも常じゃないですか。いろいろやってきた中で、次の手として新卒。それが世間一般の流れだと思うんですけどね。

教育にも積極的に関わっていらっしゃるんですか?

月1回90分4コマの授業をやっているんですが、私は考え方を教えるマインド研修をやっています。経営計画書があるんですが、理念や行動指針を噛み砕いてそれぞれが理解できるよう話しています。

今の子たちって目先しか見ていないので、人生を逆算しなきゃいけないという話もします。2年後には消費税が10%になる。そうすると月1万円給料が引かれる計算になる。ということは今の役職にいたら降格と同じ、1つ上がってもチャラ、2つ上がらないと出世には値しません。じゃあそのために何をやらなきゃいけないのかという話ですね。根性論の話も多いんですけどね。

先日、部長が内定者をファミレスに連れていったんです。『ドリンクバー取ってきます、何飲まれますか』と聞かれたからアイスコーヒーを頼んだら、ホット用のカップにアイスコーヒーいれて持ってきたそうです(笑)。これがゆとり教育の象徴なんですかね。ニュースも見ないから今の総理大臣の名前を知らない子もいる。そういう当たり前のことも今は会社が教育しなきゃいけないのだと思いました。

ビジネスマンとしての当たり前のマナーや知識を持たそうと思って、全社員に名刺も持たせています。業者の方が来られたときに名刺交換させて、交流を持たせるようにしています。そんなに頻繁に機会があるわけではないんですけど。理想論かもしれませんが、うちで働いた人は他の会社に行ってもすごいねと言われたいです。

挨拶のときに握手をする文化があるとお聞きしたのですが、それはどういう発想からですか?

以前、ホールでおはようございますと声をかけられて振り返るともう島の向こうに行っていないということがよくあって、それは挨拶なのかなと感じていました。それに集団の中にいると、一人ずつとあまり会話しませんよね。一人一人と向きあって、距離感を縮めるという意味で握手するようにしました。

プライベートでなにかあれば表情に出るじゃないですか。叱るときでも、上司が部下の変化を感じて受け入れてから伝えれば、相手の捉え方も全然違うと思うんです。縁があって同じ会社で働いているので、家族主義でやりたいというのがあります。

スタッフの方とのコミュニケーションはどのように取られていますか?

80回帳というのがあるんです。80項目全部できたら私と飲みにいけるというものです。経営計画発表会、運動会、社員旅行、夕方勉強会(平沼社長主催)の参加、養護施設の訪問、地域貢献、健康診断、上長との面談を月1回行う、サンキューカードを月15枚以上書く、フィットネスクラブ(自社で運営している店)に月1回は行く、本を読んで感想文を書く、食事ケーション(月に1500円支給し、上長と食事に行く)を行うとか。必ずやらなくてもいいんですが、やった分は賞与に反映させるよと言っています。

でもいろいろやっても麻痺はしますね。他社を知らない社員が増えてきたので、当たり前になっちゃうんです。社員旅行も運動会も、賞与が出るのも当たり前。先日外部講師を招いて研修したんですが、『あなたたちに市場価値はあるの?』と言われてみんなちょっとドキっとしていました。

だからうちは出戻りがあるんですよ。『パチンコ店はつまらないから辞めたい。映画館で働きたい』と言ってきた子がいるんです。でも映画館もお客様が来ないとつまらんよ、何やってもやりがいっていうのは自分からつくるもんだよって話すんですけどやっぱりわからない。だったら一度辞めてみろと。親御さんとも話しました。預かった以上は守らなきゃいけないし、自分の娘だと思っているから辞めたいって言ってきてじゃあさよならとも言えないですね。

現実はどこに行っても厳しいし、自分が前向きに行かないと何やってもうまくいかない、うちでだめなやつは他行ってもだめ。それを会社のせいにするなら一度辞めて他を見てこいと。戻ってきたら再雇用しています。社会勉強になるし、一番いい薬ですよ。

社長の中で地元愛のようなものはありますか?

地元愛というのは特にないですよ。でもこの地で始めたのは運命なので。複合施設も、一箇所でやるのではなく、エリア毎にアムズがあって、エリアで複合というのもありかなと思っています。アムズはどの店もあったかいねとか、元気もらえるよとか、そういう風にしていきたいなっていうのはありますね。

フィットネスもどちらかというと、従業員のために作ったんです。だから東京や名古屋にいい物件があると言われてもやらないです。お金じゃないんです。経営者としてはちょっと変わってます(笑)。私自身が目先で管理したいっていうのはあるんですけどね。田舎だから出店するにも限界があるし、地元に固執する分、地震も含めてリスクもあるのでそれが悩みでもあるんですが。

でも綺麗事かもしれないですが、やっぱり地元の社員や家族に誇りに思ってもらいたいし、パチンコ業界でもアムズは違うねと言われたい。業界のイメージを変えたいなら地元から、自分たちから変えていかないと。

採用をやっていても親の反対があるんですよ。本人も親にどうしてもアムズで働きたいと説得できないんです。以前親御さん説明会をしたんですが、一言で言うと親バカですよ。『そもそも大学4年間行ってパチンコ店しか受かってないんですよ。ニートでいいんですか?』って言いたくなるぐらい(笑)。現場を見てもらうと、今のパチンコ店はこんなに企業化されているんですねって安心されますけどね。

入社式は両親に頼んで手紙を書いてもらって、一人ずつ読んであげています。涙の入社式になりますよ。その姿を写真に撮ってアルバムで送ったりしています。父の日母の日計画というのもやっているんですが、アルバイトを含めて全員に1000円あげるから親に感謝しなさいと言っています。それで親子関係がよくなったというのもありますよ。

そういった取り組みはどういう想いで始められたんですか?

当たり前のことなんですが、親に感謝できない人はお客様にも感謝できません。だから親の生年月日を言えない人は採りません。家族がうまくいっていない人は仕事も集中できない。仕事の中に人生があるのであって、人生の一部に仕事を付けてしまうからおかしくなるんです。

社員の方と接する中で、どこまで入り込んでいいのかという迷いはありませんか?

ないです。自分の子供だと思っているので。うっとおしいと思っているかもしれないですよ(笑)。でも理想と現実にギャップはあって、迷うことはありますよ。よくいい会社ですねと言われるんですけど、今年に入って何人か辞めていますし。それでも道を選んで突き進んで、間違っていたらまた選んでということを繰り返すしかないです。

社長の座右の銘はありますか?

凡事徹底です。

今は当たり前のことができていないことが多いので、当たり前のことを当たり前にやる事で、逆に感動があるんです。
かっこいいことや変わったことをしようとするんですけど、中身がないからかっこ悪い。社長だろうと部長だろうと、恥をかいてでも一生懸命やっていれば逆にかっこよくみえる。かっこ悪いがかっこいいというかな、それが凡事徹底なのかなと思います。

では最後にこのブログを読まれている店長さんへメッセージをお願いします。

会社に想いがあるなら、それをぶつけるべきだと思います。私自身も親父と戦ってここまできたんですが、それは会社をよくしたいという軸があったからです。親父のことは尊敬しているけど、親父の考え方だと時代に付いていけない。それが伝わったから親父もひいてくれたんです。

会社をよくしたいという想いがあるなら、まずは社長が何を考えているか知ること。知ろうとせずに愚痴を言うのは誰でもできます。社長と向き合ってみてあまりにも価値観が違うようなら去るという決断を下してもいいと思います。それに、社長や上司は部下がそうやって話がしたいと言ってきたら嬉しいと思いますよ。

ありがとうございました!

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