TOPから学ぶvol.42 株式会社晃商 新井丈博専務 後編

後編では三代目である新井専務が、先代から守り引き継いでいきたい温かな社風について。

そして、新しく築いていきたい風土や取り組みについて、お話をお聞きしました。

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―新井専務は入社されて7年目とのことですが、ターニングポイントになった出来事はありますか?

入社して3、4年目の営業課長をしていた頃の話なんですが、仕事はしてるんですが「俺は入社してこれを成し遂げた!結果を出した!」というような実感がなくて、迷った時期がありました。お店を何店舗か担当して管理はしてるけど、新しく取り組んで結果を出したり、自分で納得してコレをやって良かった、というものが無い。せっかく入社したのに役に立ってない。かといって、何かしたいけど自分が何がしたいのか分からなくて、すごく辛かったんですよね。

そこから抜け出したきっかけは、当時の上司の一言でした。

一回り以上年上なんですが、年の差を感じさせないくらい気が合う人で、私が営業を担当することになった頃から色んな相談にのってもらっていたのですが、その当時、一緒に飲みながら話していて、「俺この会社入って何も出来てないです。何か成し遂げたってものがないです。」と弱音を吐いたことがあったんです。

すると一言、「あなたは成し遂げちゃだめな人なんですよ。」と言われたんですよ。

「どういうことですか?」と聞くと、「成し遂げた、というのは、終わった人が言うことであって、成し遂げたと思った時点で終わってしまうんです。そうではなく、あなたは成し続ける人になってください。」と。

それを聞いた瞬間目からウロコというか、ものすごく衝撃をうけて、結構酔っていたんですがパッと酔いが醒めました。

うまく言葉にすることができないんですが、成し遂げるとか、達成感のためにやるんではなくて、会社を良くするために満足することなく、必要なことをやり続けよう、と。

それまで何も出来ていない、と感じていましたが、これでいい、このままやり続けなさい、と背中を押してもらえたようで、すごく嬉しかったですね。

そんな私の恩人は、今でも部長として一緒に会社を引っ張ってくれています。本人にこの話をすると「覚えてません。」と言いますけど・・(笑)

―すごく素敵なエピソードですね。T部長、ご挨拶させて頂きましたが素敵な方です!それでは、新井専務の夢や目標を教えて頂けますか?

働いてもらってる社員にとって、例えば定年で辞めるとか、ふと立ち止まって考えた時に、この会社に勤めてよかったなぁ。と思ってもらえる会社作りをしていきたいと思っています。

日本には星の数ほどの会社があって、その中でたまたま縁があって一生懸命勤めてくれている人に対して、こちらも一生懸命お返しをするという社風があるんですが、会長の代から始まったそんな温かい社風を大切に守っていきたいと思っています。

―それはすごく素敵な社風ですね。

はい、創業者である会長も、社長も、人を大切にする、というポリシーは確固たるものがあり、それが社風になっていると思います。基本的には終身雇用、60歳を過ぎた方は定年延長や嘱託社員として契約し、65歳まで勤めてもらいたいという姿勢でいますし、実際に現役の店長で64歳の方もいらっしゃいます。
別に給料が特別いいとか、休みが沢山あるとか、そういうことではないんですが、例えば利益がしっかり出た年には何よりもまず賞与として社員に還元するとか、感謝の気持ちを形にして伝える、ということを大切にしてきた会社です。やっぱり、人があっての会社、ということが大前提にありますからね。

―そういう経営陣の気持ちも社員の皆さんに伝わっているといいですよね。

そうですね。社長は口下手というか、発信をするのが苦手な方で、行動で示すタイプなんですが、特別賞与を出した昨年・一昨年に、せっかくだから社長から社員の皆さんへ感謝のメッセージを伝えよう、ということでカードを作って明細と一緒に渡しました。
そしたらお店の方から、みんなで「社長、ありがとうございます。」と寄せ書きをしてくれたんですよ。前の会社ではこんなこと無かった、とすごく喜んでくれる方もいて、やってよかったと思いました。

―賞与も嬉しいですが、社長からの感謝の言葉を頂いて、皆さんも感激されたんでしょうね。社長も喜ばれていたんですか?

はい。顔には出さなかったですが、「(寄せ書きを飾る)額、買っといて。」と言ってました(笑)

―感動しますね、ウルっときました!

先代から引き継いでいきたいことを伺いましたが、3代目として、新しく築いていきたいということはありますか?
人材育成制度の構築、本部機能の充実、企業理念をより分かりやすく社員へ伝えたい、など色々と考えてはいますが、ここ3年くらいで取り組んでいることの一つに「接客サービスの向上」があります。
僕がアルバイトで入っている時にも肌で感じていたのですが、みんなドル箱の対応に追われて「接客」が出来ていなかったんです。バックヤードではわいわいと楽しく笑顔で話しているのに、仕事中は作業に一生懸命で、接客をしよう、という意識が高い人は少なかったんですよ。

その当時、大手のパチンコホールさんは既に接客サービスにしっかりと取り組まれていて、これはまずいな、と思っていましたので、入社してすぐにそういう話をしてみたものの、社内で危機感を持っている人はほとんどいなかったんですよね。

入社して何年か経ち、ある程度自分に権限というか、出来る仕事の幅が増えてきたときに、接客を変えたいという方針を打ち出しました。全社的にやろう、という提案をしたんですが、「いや、いいです。」と、半笑いで断られましたので、皆を説得するのは結果を出してからだ、ということで、自分の担当店舗でだけ、覆面調査を導入し接客向上に取り組み始めました。

ビデオカメラでこっそりと接客場面を撮影をする、という形式の覆面調査でしたので、店舗は言い訳が出来ませんし、お客様からどんな風に見えるのかが一目瞭然ですので、一年続けると接客のレベルが格段に良くなりました。
それで他の店舗を見ている部長や課長を呼んで、覆面調査の報告や店舗の成長を見てもらったところ、「面白いですね!やりましょう!」と。
全社で取り組み始めて、少しずつ改善しているところです。

―ありがとうございます。それでは、座右の銘や大切にされている言葉はありますか?

「艱難辛苦、汝を珠にす」(かんなんしんく、なんじを たまにす)
逆境が人を作る、とか、人間は多くの辛いこと、難儀なことを経験して、立派な人間になることが出来る、というような意味です。
実は、小さい頃から母親によく言われていた言葉なんです。母には「何か気に食わない事があっても、これは今自分に与えられた試練なんやと思って感謝しなさい。」と言われて育ちました。なんか嫌やなと思っても、そう思うことで少しほっとするというか、よし頑張ろうと、前向きな気持ちになります。

直面した出来事を逆境だと感じるということは、それが自分の苦手なことであったり、自分に足りていないことである証拠。だからこそ逆境だ、と感じるわけであって、そう感じなくなるようになればいい。逃避するのではなくてそれを乗り越えたいと思っています。

―では最後に、読者の方へメッセージをお願いいたします。

今、この業界には気が遠くなるほど沢山の問題を抱えていて、みなさんは20年後、30年後にこの業界がどのようになっていると想像していますか?
今のままで行くと、どうにも立ち行かないという状況が出てくる可能性が多くあるように思います。
そんな中でも、少なくとも5年後、10年後のことを見据えながら進んでいける人や会社があればあるほど未来は変わると信じています。

―新井専務、ありがとうございました!

新井専務

インタビュー後、晃商さんが経営する焼肉店「天壇」でお食事させて頂きました。今思い出してもうっとりするほど美味しい焼肉でした。ありがとうございました!
(写真は石焼ビビンパを取り分けてくださる優しい新井専務。)

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