パックエックス通信

株式会社晃商、新井丈博専務 TOPから学ぶ

新井丈博/株式会社晃商 専務取締役。大学を卒業して入社後、総務勤務、営業課長を経て、専務取締役に就任。会長、社長が大切に築いてきた社風を守りながら、さらに強い会社作りのために新しい取り組みに挑戦し続ける若きリーダー。

今週のパックエックス通信は株式会社晃商の新井専務です。この業界に恩返しをしたいと入社を決めてから、現在に至るまでの経緯と、店長に求める「覚悟」について、新しく築いていきたい風土や取り組みについて、お話をお聞きしました。

新井専務、本日はよろしくお願いします。まずは、業界に入れられた経緯を教えて頂けますか?

2005年に大学を卒業してすぐ入社しました。もともとこの会社の跡を継ぎたいという思いはありましたので、入社することに抵抗はありませんでした。祖父が創業者で、私は三代目になるのですが、幼い頃から祖母に「三代目!」と呼ばれたりしていましたので、自分の中でも跡を継ぐことが当たり前になっていたんですよね。刷り込み効果絶大ですね(笑)

また、私が就職する頃には業界のイメージも一昔前に比べると大きく変化していて、今でも斜めに見られるようなところはありますが、私の中で業界で働くことに対する後ろめたさは全くありませんでした。むしろ、自分がここまで成長できたのはこの会社、この業界があったからこそで、感謝していましたので、これから業界に恩返しをしたいという気持ちで入社を決めました。

入社したいということを社長に相談したら、じゃあまずはいちアルバイトとして現場を経験しろ、と言われて、大学最後の夏休みにオープンして間もない新堀川店でアルバイトをすることになりました。社長の息子が入ってくるとなると、みんなやりづらさもあるだろうし、お店の素の状態を自分の目で見て、体験してみたかったということもあって、店長とマネー ジャー以外には私の素性は明かさずにバイトを始めたんですよ。皆の前で「アルバイトの新井です、宜しくお願いします。」と挨拶して(笑)

それはなかなか面白そうですね(笑)

ドル箱の並べ方から教わるわけなんですが楽しかったですよ。どちらかというと見て覚えなさい、という感じだったので、「結構あんまり教えてくれへんねや!」と驚いたり、いきなり「じゃあ新井君、海コーナーよろしく。」って丸投げされたり(笑)

当時は今よりも若かったし体力もありましたから、初日は一日中走り回ってドル箱を上げ下げして、接客も自分なりに頑張って、楽しいなーっと思ってたんです が、次の日がお休みだったんですよね。そしたら、朝起きたら体が動かないんですよ。ベッドから起き上がれない、みたいな。

やっぱり初日のことは鮮明に覚えていらっしゃるんですね。

よく覚えています。自分が仕事として関わるというのはそのときが初めてで、初めの一歩を踏み出した日でした。

ちなみに・・・どうしても気になるのでお聞きしたいんですが、現場の方へ「新井さんは実は社長のご子息です。」というネタばらしはされたんですよね?(笑)

私はその場にはいなかったんですが、当時の店長から主任や班長に話したそうです。「えええええ?!」ってなったらしいですよ。今でも現場で頑張ってくれている方たちばかりで、店長はいまだにその話しますね。「あの時はおもろかったなぁ・・」って(笑)

それはびっくりされたでしょうね(笑)それから卒業後、正式に入社されてからはどのようなお仕事を?

新卒社員の方と一緒に研修を受けた後本社の総務に配属になりました。会社の内部を支えている部署で俯瞰的に会社を見るという経験を1年ほどさせてもらって、営業部へ。営業課長として担当店舗を持たせてもらいました。前専務取締役が逝去された際、社長から「専務としてやってみないか。」と言われたのは昨年のことです。

正直自分にはまだ早いと思いましたが、経営者としてこの会社を牽引するんだという覚悟を決め、専務取締役に就任しました。

専務になられてから仕事内容は変わりましたか?

そうですね。担当店舗は引き続き持っていますので営業面を見ながら、それにプラスして対外的な業務を行うようになりました。会社を代表して社外の人にお会いしたり、会議に出席したりすることが増えました。外部の方と交流することで得られる情報や学べることが沢山ありますし、営業課長の時には経験できなかったことをさせてもらえているので、すごくプラスになっています。

もちろん責任が大きくなったというプレッシャーも感じていますし、能力もないのに社長の息子だから専務になったという風に見られないよう、経営を学ぶために学校に通ったり、積極的に自分を高める努力をしています。斜めに見られがちな業界にいるからこそ、他業界やどんな角度から見られても経営者として認めても らえるようにちゃんとしたいと強く思っています。

学び続けるトップは社員にとってもすごく魅力的だと思います。それでは、店長に求めることとはどんなことでしょうか?

柔軟かつクリエイティブな思考でしょうか。現状もそうですが今後ますます、広告規制であったりイベントの廃止など、突発的な出来事で自分たちの予期せぬところに船が挫傷する、ということが大いにありえると思います。そのときに発想の転換をしてすぐに、コレがアカンかったらこっち、という決断が出来る人が今後、絶対に必要だと思っています。これは店長に限らずだと思いますが、やはり店舗の舵を取るのは長である店長には特に求めたい部分です。

それから、これはどの経営者の方も言われることだと思いますが、「覚悟」ですね。

この会社、この業界でやっていく、という覚悟をしっかり持ってやらないと、一つ一つの行動や言葉に説得力がなくなり、部下もついてきません。

これに関しても店長だけではなく、一般社員の方にも感じることです。会社入ったからにはそれなりの覚悟を持って仕事をしないと伸びませんし、評価の仕様がありませんからね。覚悟を持って入社してくる方、例えばパック・エックスさんにも中途採用の人材紹介をお願いすることがありますが、それでこられた方はやっぱり覚悟を持って来 られるんですよね。前の会社を辞めて、次のところを慎重に選んで、ここで絶対に成功するんだ、という思いで来られますので、すごく活躍されていますし瞬発 力がちょっと違うな、と感じています。覚悟の質が違う、というか。

他社を経験した中途社員は、うちと他社とを比較した上で評価し、ここでなら、と思って働いてくれますので、意識がより高いのかもしれませんね。

そういう方が組織にポンっと入ると、全体が活性化するんじゃないですか?

しますよ、全然違います。

例えば前の会社では出来なかったことが、晃商ならできそうだ、と魅力的に映って入社されたとします。それで実際に入ってみて、やっぱり前の会社よりいい、 自分のやりたいことが出来る、と感じてくれた方はすごくモチベーション高くやってくれますし、会社への感謝や恩みたいなものも感じながら働いてくれますの で、当然既存社員への刺激にもなりますよね。

新井専務は入社されて7年目とのことですが、ターニングポイントになった出来事はありますか?

入社して3、4年目の営業課長をしていた頃の話なんですが、仕事はしてるんですが「俺は入社してこれを成し遂げた!結果を出した!」というような実感がなくて、迷った時期がありました。

お店を何店舗か担当して管理はしてるけど、新しく取り組んで結果を出したり、自分で納得してコレをやって良かった、というものが無い。せっかく入社したのに役に立ってない。かといって、何かしたいけど自分が何がしたいのか分からなくて、すごく辛かったんですよね。

そこから抜け出したきっかけは、当時の上司の一言でした。 一回り以上年上なんですが、年の差を感じさせないくらい気が合う人で、私が営業を担当することになった頃から色んな相談にのってもらっていたのですが、その当時、一緒に飲みながら話していて、「俺この会社入って何も出来てないです。何か成し遂げたってものがないです。」と弱音を吐いたことがあったんです。

すると一言、「あなたは成し遂げちゃだめな人なんですよ。」と言われたんですよ。 「どういうことですか?」と聞くと、「成し遂げた、というのは、終わった人が言うことであって、成し遂げたと思った時点で終わってしまうんです。そうではなく、あなたは成し続ける人になってください。」と。

それを聞いた瞬間目からウロコというか、ものすごく衝撃をうけて、結構酔っていたんですがパッと酔いが醒めました。うまく言葉にすることができないんですが、成し遂げるとか、達成感のためにやるんではなくて、会社を良くするために満足することなく、必要なことをやり続けよう、と。 それまで何も出来ていない、と感じていましたが、これでいい、このままやり続けなさい、と背中を押してもらえたようで、すごく嬉しかったですね。 そんな私の恩人は、今でも部長として一緒に会社を引っ張ってくれています。本人にこの話をすると「覚えてません。」と言いますけど・・(笑)

すごく素敵なエピソードですね。T部長、ご挨拶させて頂きましたが素敵な方です!それでは、新井専務の夢や目標を教えて頂けますか?

働いてもらってる社員にとって、例えば定年で辞めるとか、ふと立ち止まって考えた時に、この会社に勤めてよかったなぁ。と思ってもらえる会社作りをしていきたいと思っています。日本には星の数ほどの会社があって、その中でたまたま縁があって一生懸命勤めてくれている人に対して、こちらも一生懸命お返しをするという社風があるんですが、会長の代から始まったそんな温かい社風を大切に守っていきたいと思っています。

それはすごく素敵な社風ですね。

はい、創業者である会長も、社長も、人を大切にする、というポリシーは確固たるものがあり、それが社風になっていると思います。基本的には終身雇用、60歳を過ぎた方は定年延長や嘱託社員として契約し、65歳まで勤めてもらいたいという姿勢でいますし、実際に現役の店長で64歳の方もいらっしゃいます。

別に給料が特別いいとか、休みが沢山あるとか、そういうことではないんですが、例えば利益がしっかり出た年には何よりもまず賞与として社員に還元するとか、感謝の気持ちを形にして伝える、ということを大切にしてきた会社です。やっぱり、人があっての会社、ということが大前提にありますからね。

そういう経営陣の気持ちも社員の皆さんに伝わっているといいですよね。

そうですね。社長は口下手というか、発信をするのが苦手な方で、行動で示すタイプなんですが、特別賞与を出した昨年・一昨年に、せっかくだから社長から社員の皆さんへ感謝のメッセージを伝えよう、ということでカードを作って明細と一緒に渡しました。 そしたらお店の方から、みんなで「社長、ありがとうございます。」と寄せ書きをしてくれたんですよ。前の会社ではこんなこと無かった、とすごく喜んでくれる方もいて、やってよかったと思いました。

賞与も嬉しいですが、社長からの感謝の言葉を頂いて、皆さんも感激されたんでしょうね。社長も喜ばれていたんですか?

はい。顔には出さなかったですが、「(寄せ書きを飾る)額、買っといて。」と言ってました(笑)

感動しますね、ウルっときました!先代から引き継いでいきたいことを伺いましたが、3代目として、新しく築いていきたいということはありますか?

人材育成制度の構築、本部機能の充実、企業理念をより分かりやすく社員へ伝えたい、など色々と考えてはいますが、ここ3年くらいで取り組んでいることの一つに「接客サービスの向上」があります。

僕がアルバイトで入っている時にも肌で感じていたのですが、みんなドル箱の対応に追われて「接客」が出来ていなかったんです。バックヤードではわいわいと楽しく笑顔で話しているのに、仕事中は作業に一生懸命で、接客をしよう、という意識が高い人は少なかったんですよ。

その当時、大手のパチンコホールさんは既に接客サービスにしっかりと取り組まれていて、これはまずいな、と思っていましたので、入社してすぐにそういう話をしてみたものの、社内で危機感を持っている人はほとんどいなかったんですよね。

入社して何年か経ち、ある程度自分に権限というか、出来る仕事の幅が増えてきたときに、接客を変えたいという方針を打ち出しました。全社的にやろう、という提案をしたんですが、「いや、いいです。」と、半笑いで断られましたので、皆を説得するのは結果を出してからだ、ということで、自分の担当店舗でだけ、覆面調査を導入し接客向上に取り組み始めました。

ビデオカメラでこっそりと接客場面を撮影をする、という形式の覆面調査でしたので、店舗は言い訳が出来ませんし、お客様からどんな風に見えるのかが一目瞭然ですので、一年続けると接客のレベルが格段に良くなりました。

それで他の店舗を見ている部長や課長を呼んで、覆面調査の報告や店舗の成長を見てもらったところ、「面白いですね!やりましょう!」と。 全社で取り組み始めて、少しずつ改善しているところです。

ありがとうございます。それでは、座右の銘や大切にされている言葉はありますか?

「艱難辛苦、汝を珠にす」(かんなんしんく、なんじを たまにす) 逆境が人を作る、とか、人間は多くの辛いこと、難儀なことを経験して、立派な人間になることが出来る、というような意味です。

実は、小さい頃から母親によく言われていた言葉なんです。母には「何か気に食わない事があっても、これは今自分に与えられた試練なんやと思って感謝しなさい。」と言われて育ちました。なんか嫌やなと思っても、そう思うことで少しほっとするというか、よし頑張ろうと、前向きな気持ちになります。

直面した出来事を逆境だと感じるということは、それが自分の苦手なことであったり、自分に足りていないことである証拠。だからこそ逆境だ、と感じるわけであって、そう感じなくなるようになればいい。逃避するのではなくてそれを乗り越えたいと思っています。

では最後に、読者の方へメッセージをお願いいたします。

今、この業界には気が遠くなるほど沢山の問題を抱えていて、みなさんは20年後、30年後にこの業界がどのようになっていると想像していますか? 今のままで行くと、どうにも立ち行かないという状況が出てくる可能性が多くあるように思います。

そんな中でも、少なくとも5年後、10年後のことを見据えながら進んでいける人や会社があればあるほど未来は変わると信じています。

新井専務、ありがとうございました!

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