パックエックス通信

株式会社オーイズミ、大泉秀治副社長 TOPから学ぶ

大泉秀治/株式会社オーイズミ 代表取締役副社長。学生時代からパチンコ・スロットが大好きで、大学4年間もパチンコ店でアルバイトを経験。好きだからこその経験や知識を生かし、今までにない機械を作りたいと13年前に株式会社オーイズミ入社。現場での下積みを経て、トップとして開発に携わる。

本日の『TOPから学ぶ!』は、株式会社オーイズミ(本社:神奈川)の大泉代表取締役副社長にお話を伺いました!メーカーでは右に出るものはいない!とご自身のパチンコ好きを語る大泉副社長。学生のころからパチンコの世界にどっぷり浸かり、今までで一番難しい機械を作る!という野望を燃やし業界へ。しかし、一部のファンからは絶大なる支持を得るものの、それはごく少数意見でした。「もっと広く愛される機械を作らなければ。でも、オーイズミにしか出来ない機械を。」
他社から学び、ユーザーに学び、そして何よりパチスロへの愛を機械作りに注ぎ続けた結果出来上がったのは、多くのファンから愛される機械だったのです。

大泉副社長、本日はよろしくお願いします。早速ですが・・・私もいちファンとして御社の機械が大好きなのですが、オーイズミさんの機械作りのコンセプトを教えていただけますか?

機械作りをしていく中で、今のスペックで行くと王道はARTですよね。その中で開発者の弊害になっているのが、同じものさしで機械作りをするものだから、他社に比べてどうだとか、そういう機械作りしかできなくなっているように感じています。そうすると、新しい創造が全く生まれなくなってしまうんですね。

それを感じて、私が常々言っているのは、別に他社のというか、ARTというものさしで機械作りをする必要はない。自分たちの価値観で機械を作っていこうよ、ということを話しています。

例えばゲームでも、RPGが好きな人もいれば、シューティングゲームやアクションゲームが好きな人もいます。だから、今はモンスターハンターが流行っているからといって、みんなが同じようなアクションRPGゲームを作っていたら、ゲーム業界は発展しないですよね。だからパズルゲームがあったり、育成シミュレーションがあったり、色々あるわけです。

この業界でも、流行っている機種にのっかって、萌え系のキャラを使ったりARTを作ったりと、右に倣えで同じような機械を作っていては、業界の発展も、自社の発展もないのではないか、と考えています。だからこそ、

例えば昨年発売した「ひぐらしのなく頃に 祭」も、2009年発売の「ダブルアタック」という機械も、ちょっと変態っぽい機械なんですが(笑)、そういう変態っぽい機械、当社独自のものをどんどん出していこう、と。例えばハネスロというジャンルであったり、色んなセグメントがあっていいと思うんです。その中でプレイヤーは、自分に合った機械を打てばいいんじゃないか、と考えています。

なるほど、確かに独自性を感じる機械ですね!羽スロ、というお話しが出ましたが、2月16日にハネスロの新機種をプレスリリースされたそうですね。

ゆるキャラの「リラックマ」をモチーフにしたハネスロをリリースしました。パチンコ・パチスロはどちらかというと勝負事ですから、本当はこのようなキャラクターは合わないんですよね。だけど、まったりした流れの中でスロットが遊べるということも、一つのジャンルとして必要じゃないかと思い開発に至りました。見た目だけではなく、ゲーム性もまったりと楽しめる仕様です。目押しも必要なく、大当たりもすごく分かりやすい。100分の1で遊べるので、2~3千円に1回程度大当たりを引ける機械です。

今年は、力を入れて【ハネスロ全力宣言】と銘打ってリリースしようと思っています。ひとつのジャンルとして確立していきたいですね。

どうしてこのハネスロに力を入れようと思われたのですか?

先ほども言ったように、色んなジャンルの機械があっていいと思っています。やはり、ファン人口が減少している最中で新しいものを作っていかないと、産業自体が衰退する一方だという危機感もありますね。その中でハネスロにはファン人口の増加という可能性を感じています。

初心者方にとって、パチンコ・スロットを始めるために、超えなければいけないハードルがいくつかあります。その一つが投資金額ですね。手軽にまったりと遊べるハネスロは、入り口として非常に入りやすいのではないかと考えています。

また、プレイヤーが成功体験をしなければ、パチンコ・パチスロの面白さはなかなか伝わりません。「よし、今日は勝ったぞ。」と1000円でもいいから勝ったと感じてもらい、勝ち時で止めれたと思ってもらえれば、リピートにつながる可能性が高まります。

また、今後高齢者が増えてくる中で、余暇産業には高齢者向けのものがなければいけない、と思っています。スロットというと複雑で技術がないと出来ない、若者向け、というイメージがありますが、ハネスロであれば高齢者の方でもとっつきやすく、楽しんで頂けるのではないかと思っています。

なるほど。初心者や高齢者の方にとっても馴染みやすいものを、ということですね。確かに2030年には人口のおよそ3割が高齢者になるのでは、という予測もあります。そこへの対応は必要になってきますね。

そうですね。ホール様の構造も変わってくるのではと思っています。

今は、1000台規模の大型ホールが多く、その反面、地域に密着したいわゆる中小企業の小さなお店が減少していますが、これから高齢化社会になると、車も運転できないし、持ってないという方が増えます。そうなると、今後は逆に、50~200台くらいの小規模店舗が商圏を小さくして、沢山できてくるのではないかと思います。

利便性はもちろん、そこに新たなコミュニティーが出来て、憩いの場としてのパチンコ店が増えて行くのではないでしょうか。昔のパチンコ店のように、顔見知りのお客さん同士が話したり、勝っているからとジュースをくれたり、そういう社交場のような場所になっていくのではないかと。

そうなってくると、その小規模店舗のランナップは1機種だけというわけにはいきません。こんな機械も打ちたい、あんな機械も打ちたい、というおじいちゃん、おばあちゃんの希望に応えるためにも、ハネスロはきっとニーズがあるはずだ、と思っています。

実際、今回の「リラックマ」に関しては、版権をとるのがすごく大変だったんですが、高齢者の方や初心者の方に向けてこういう思いでやりたいんだと思いを伝えまして、何とかご理解頂いたんです。

そういうわけで、今年ハネスロ三部作をリリースするとともに、引き続きひぐらしのような機械、うちでしか出来ない技術介入性のある機械を作っていきたいですね。

HAZUSEのプレイヤー間でも、ひぐらしはかなり支持されています。ひぐらしを肴にお酒を飲めば朝まで語れる、という方ばかりですよ(笑)「オーイズミでしか出来ない技術介入性」とは具体的にはどういうことですか?

ひぐらしレベルの、「プレイヤーのチャレンジ精神を少しくすぐる」くらいの技術介入性のある機械ですね。ARTばっかりではなくて、他と違う機械を作りたいんですよ。

・・・私は実は、ものすごいパチンカーなんです。昔から、めちゃくちゃ打つんですよ。特にスロットをずっとやっていて、自分が本来作りたい機械というのは、すごくマニアックな機械なんです(笑)。それこそ初めの頃、1号機から3号機くらいまでは、ものすごくマニアックな機械を作りました。

今までで一番難しい機械を作ろう、そこにチャレンジしようと。チームメンバーも自分で集めて、もちろん開発の全工程にタッチしてやりましたね。これが、思いとはうらはらに非常に苦戦しました。結局、自分の作りたいもの、自分の趣味に合ったものを作っていたせいで、市場にマッチングしなかったんですよね。

あ、もしかして、エルレボ(エルレボリューション)も副社長が??

そうです、そうです!その他で言うと、特にスペックAは超お気に入りです!

それを聞いただけでどれだけスロット好きかが分かりました(笑)今まで色んな台が名機だと言われていますが、私の中ではエルレボは神レベルです。

ありがとうございます、すごく嬉しいです。少数の方にそう言って頂けるんですが、それは残念ながら少数意見なんですよね。私は正直それがすごく嬉しいんですが、やっぱり広く愛される機械を作らないとだめだよねということで、それからどういう機械を作ったらいいのかわからなくなって、かなり迷走しましたね~。テーブル型スロットを作ったり。会社にもすごく迷惑をかけました。

迷走から一歩抜け出せたきっかけは、オリンピアさんと組ませて頂いて、パチスロ鉄拳伝タフという台を作ったときです。その台がうちにとっては過去最高ヒットになったのですが、その時にやっぱり裾野は広く機械作りをしなくてはいけないと感じたんです。その中で一部、奥深さがあるのはいい。ただ、その奥深さもプレイヤーが見つけられるものでないと意味が無い。深すぎると結局自己満足になるので、見つけられるレベルではないといけない、ということを学びました。

あぁ、こういう機械作りをしてたんだ、とオリンピアさんにはすごく勉強させてもらいました。

そうだったんですか。私は副社長のマニアックな機械が大好きですが、確かに裾野を広げて沢山の人に支持されることは必要ですよね。

そうなんです。それまで機械作りの工程全てに口出しをしていたのですが、今では最初の企画会議に入るだけで、仕上がるまでは見ないようにしているんですよ。どうしても口を挟みたくなりますから・・・。

企画会議で結構細かいところまで詰めるので、そこにはタッチしていますが、それ以降は任せるようにしています。ひぐらしも、初めの企画レベルではARTは嫌だよね、RTにしよう。目押しはあり、でも初心者でも打てるものにしたいよね。というところから、それ以降は技術者がほとんど作りました。

打ち方として、中押しなどありますよね。そういう所は、恐らくプレイヤーはそういう風に打つだろう、と想定してらっしゃったんですか?

基本的にスロットは順押しが面白くないといけないと思っています。

ただ、私自身もはさみ打ちとか変則的な打ち方で楽しんでいたので、そういう風に打ち方で面白みが見つけられると、ひぐらしのような機種は特に、より楽しめるのではないかと思いました。

ご自身がスロットを打ち込んでいらっしゃるからこその発想ですよね。他に気を配られた点はありますか?

基本的に機械作るときは、原作を大切にしたいと心がけています。版権を使う場合は、作品を全部見ますよ。

確かに原作ファンからの目線は大切ですよね。HAZUSEでも、原作を無視したような作りの機種に関しては、厳しい意見が上がっています。

ひぐらしに関してはそういったクレームはほとんどありませんでしたね。特に熱烈なファンが多い作品で、ファンの方はキャラクターに愛情を持っていらっしゃるので、少し心配していましたが大丈夫でした。

プレイヤーの方のご意見は、すごく気になりますよ。パチンコブロガーの方を10名くらい集めて、座談会をやったり、やっぱり自社の機械について書かれている掲示板やサイトなんかは、気になって見ています。そこに書いてあるご意見はやはり無意識に頭に残っていて、何らかの形で開発に影響していると思います。

そして、ずばりお聞きしたいのですがひぐらしは仕上がった時点で手応えを感じていらっしゃったんですか?

正直ありました。これはいけるんじゃないか、と。

私はプレスに行かせてもらったんですが、そこでは圧倒的にダメだ、という意見が多かったんですよ。技術介入で機械割が100を超える、とプレスで言うなんてどういうことだ?おかしい!という声が多かったんですが、蓋を開けてみるとそれが正しかった。さすがだな、と思いましたよ。

あれは、ビタ押しのレベルの按配で、先ほど話した「あまり深すぎてはいけない」という技術の象徴ですよね。ただ、そうは言っても難しい。実際あれは失敗する、と思っていたんです。完全攻略できれば確かに100%を超えますが、恐らくできないだろうと。

そこに関しては、今まで自分がスロットが好きで、ひたすら打ってきた経験が役に立ったと思っています。完全攻略は出来ない故に機械割りは落ちる、だけど攻略したいというチャレンジ精神をくすぐることでファンにはうける、という確信がありました。

お話を聞いていてもそうですが、御社の機種を打っていると、プレイヤーがどういう風に打つのか、どこで面白みを感じるのかをよく分かった人が作っている、というのが伝わりますよ。

ありがとうございます。その面白みという部分で、これからは液晶演出のクオリティも向上させて行こうと思っています。液晶を作っていく上で、これまでは作り手の感性次第という面が大いにありました。だから液晶を作っている部隊A、Bがあるとしたら、やっぱり差が出てきてしまうんです。そこのクオリティを統一したいと思っています。

今進めていることなのですが、今後は感性で液晶作りをするのではなく、それをロジックに落とし込みたいと思っています。

これは誰がみても面白い、ドキドキする、という感覚の部分をロジックに落とし込む。それが出来れば、だれもがヒット機種を作れるようになります。そこを目指して機械作りをやってきて、その仕組みが出来上がりつつあります。

来年には、完全にシステムに落とし込む予定です。そうなれば、駄作というのはなくなると考えています。

今後の御社の機種がとても楽しみです。今回の記事を見てスロットファンは、どうしてオーイズミがああいう機械を作っているのか、納得がいくと思います。開発のボスである副社長のスロット愛、ポリシーがぶれないんですね。

私はメーカーの人間の中で、一番パチンコ・パチスロが好きだと思いますよ!大好きですね、本当に。どうすればプレイヤーの心に響くか、それは常に考えていますね。

それと、うちのスロット開発部門はプロパー社員がほとんどで、外部からの入社はほとんどないんですよ。そういうこともあって、ポリシーもぶれないのかもしれません。

新卒社員も増えているとか。入社条件はやはりパチンコ・パチスロ愛でしょうか?

それは、絶対条件です。絶対!

最終面接は全て私がやらせて頂いているのですが、開発や営業をするのに、愛がなければ話になりませんよね。

ありがとうございます。業界人として、またいちファンとして、これからも御社の機械を楽しみにしております。

開発者の願いは、長くお店に置いて頂きたいということです。1年も2年もかけて一生懸命作ったものですから、プレイヤーに演出を一つ残らず全部見て欲しいんですよ。正直に言うと、全ての機械が良いものであれば、別に売れなくてもいい。評価してくれる人が評価してくれれば、それでいいと思っています。

ハネスロが好き、あるいはひぐらしのような機種が好き、などプレイヤーの価値観はそれぞれ違います。でも、私達はそれぞれの機械開発に全力で取り組みます。

そしてその機械に合う価値観を持っている人が共感してくれればいい。だからこそ、同じものさしで他社に並ぶ機械を作らなくていい。自由な発想で色んな機械を独自に作っていこう。その全てに全力投球しよう、というポリシーを持って、これからも良い機械を作っていきます。

ありがとうございました!

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