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豊丸産業株式会社、永野光容社長 TOPから学ぶ

永野光容/豊丸産業株式会社 代表取締役社長。2007年に代表取締役社長に就任。豊丸産業らしい機械作りを目指し、顧客であるホールの声の収集、エンドユーザーの選択肢の幅が広がるような機械開発に取り組む。

新年第1回目の『TOPから学ぶ!』は、初のメーカー様が登場です。豊丸産業株式会社(本社:愛知)の永野代表取締役にお話を伺いました!かつて話題となった機種「CR餃子の王将」に込められた狙いと思いや、豊丸産業として打ち出していくコンセプトについて、お聞きしました。

永野社長、今日はよろしくお願いします。トップから学ぶ!では初めてのメーカー企業様へのインタビューです。色んなことを教えて頂きたいと思います!早速ですが、メーカーとして営業をする際に心がけていることなど教えていただけますか?

営業マンの立場からすると、ホール様との距離感はすごく難しいところだと思います。近付き過ぎてもよくないし、離れ過ぎてもいけない。心の中に入って、本心を聞かせてもらわなければいいものは作れませんしね当社もそうですが、カタログを運ぶだけの配達員になっている営業マンも多いと思います。僕は、営業マン一人ひとりが、マーケティング意識を持つと、本当に強いと思っています。

マーケティングというのは、消費者のニーズを探って、商品を企画・開発して、市場へ投入し、その結果を評価、という一連の活動ですよね。営業部隊が、機械を販売することだけでなく、そういった一連の流れを意識することが必要だと思っています。

ホール様でも集客するのが大変だという声が多く聞かれます。メーカー側も販売することが大変な時期だと思いますが、営業の皆さんの危機感、意識などは変わっていますか?

実は、あまり感じないんですよね。

ホール様の現場では、売り上げ、稼動などの数字がダイレクトに反映されており、集客がしにくい、ということをリアルに感じられていると思いますが、メーカーというのは、機械によって売れる時もあれば売れない時もあり、実はじわじわと首を絞められていることに気がつかないんですね。

一番最初にエンドユーザーがあって、そこに接しているのはホール様で、最後に我々メーカーがいます。だからなかなか市場の動きを直に感じることができていないんですね。危機感を感じづらいのかもしれません。だからこそ、もっと市場に対して敏感にならなければいけないと思います。

例えば、当社でも取り組み始めていることですが、機械の開発担当者がもっと現場に足を運んで観察したり、ホール様と話をしたり、教えて頂いたことを吸収して、自分の感性を磨くことが必要だと思っています。

マーケットの動きに対しての自分の感性ですね。

そういった機会を出来るだけ作ろうとしているんですが、開発担当者は営業と違って、話をすることが苦手だったりする人が多くて、なかなか出来ていないんですが、ここに関してはしっかりと進めていかなければならないと思っています。私も現職に就くまでは、営業や開発など色々と経験しましたが、開発が一番長く、面白みも感じていました。ただ、現場から離れるにつれて、だんだんと顧客であるホール様が考えていること、望んでいるものが見えなくなるんですよね。

だから、このインタビューをご紹介くださったフェイスグループの福山さんのように、若い世代で活躍されているホール企業経営者の方々とお会いして、色々と教えて頂いていますよ。こんなおじさんが出て行くとうっとうしがられますけどね(苦笑)

開発の方が自ら現場へ足を運ぶ、というのはすごく重要ですよね。危機感、という言葉が出ましたが、業界の現状について、メーカーの立場からどのように感じられていますか?

例えば、当社の機械で「CR餃子の王将」というものがあります。あの機械のコンセプトは「短パチ」。

今、パチンコをしようとすると、結構時間がかかりますよね。止め時も分からないし、30分とか1時間くらい時間が空いたときに、パチンコをしよう、という気になるかというと、なりませんよね。当たってしまったらどうしよう、という不安がありますから。

そういう意味でいうと、エンドユーザーにとって、機械の選択肢がすごく少ないと思います。今やパチンコは、ある程度のお金と時間がある人にしか出来ないようなレジャーになってしまったと思うんです。そこで、短い時間でもパチンコをしたいという方に楽しんでもらえるように、短パチというコンセプトで「CR餃子の王将」を作りました。

あの機械は、1回の大当たりである程度の満足感を得ながらも、そんなに連チャンするわけではないので、止めたいときに止めることができるという安心感もあるんです。実際、短い時間で遊びたいなという人は多くいらっしゃると思います。もっとそういうニーズに対応できる機械が出てくれば、ファンの裾野は広がっていくんじゃないかと思います。

また、パチンコに対してギャンブルの要素だけを求められると、経済状況の悪化に伴い先細りする一方ですから、もっと別の価値を作っていかなければいけないと思っています。

諏訪東京理科大の篠原先生と一緒に色々と取り組みをしていますが、例えばパチンコが、業界を支えてくれている一番大きなファンであるお年寄りの認知症の予防になるとか。海外では、積極的に参加する娯楽というのは、脳の活性化を促して認知症予防になるという学説が出ているんです。パチンコも、本人がわくわくどきどきしながら出向いていって、適度な時間、適度なお金で遊ぶことで脳が活性化すると思いますし、特に過疎地域の独居老人の方々にとって、一つのコミュニティとしてパチンコ店が機能すると思うんですよね。

年を取ると楽しみとか刺激とか、そういうことがだんだん減ってきて、自ら作り出す力も弱くなりますから、それらを作り出す手伝いができればと思います。日本中に元気なお年寄りを増やしたいですよね。業界に対してはネガティブなことを言われることが多いですが、やはりもう少しポジティブな面に目を向けて広げていきたいですね。

私も幼い頃は、この業界で商売をしていることに対して引け目というか、ネガティブなイメージを持っていましたが、本当はみんなが自信をもって、こういう産業に携わっていますと言えたらいいなと思います。そういう点でも、何か新しい価値観をポジティブに考えていきたいですね。

ありがとうございます。「CR餃子の王将」の機械コンセプトのお話がでましたが、豊丸産業としてのコンセプトを教えて頂けますか?

今朝もちょうど会議でその話をしていたんですよ。

やっぱり企業として、「豊丸産業と言えばこういう機械なんだ」と認知されることが大事なんじゃないか、ということですね。色々と議論を重ねた上で、やはり先ほどお話した「短パチ」を一つのカテゴリーとして確立していきたいと思っています。短い時間でしか遊べない、ではなく、短い時間でも、長い時間でも遊べる機械。要は、お客様がお客様の事情に合わせて遊べる機械を作りたいと思っています。止め時という選択肢の幅が広がるようにしたいんです。

もちろん、短パチではない機械、現状で数多く設置されている機械を楽しんでいるお客様も多くいらっしゃいますから、それはそれでいいと思うんです。でも、それが多すぎるとよくない。過ぎるというのは、過ちと書きますから、何事も度が過ぎるのはよくないんですよね。バランスよく、様々な特性を持つ機械を作って、お客様が選べるようにしたいと思っています。

それでは、業界に入られたきっかけを教えてください?

25年前にこの会社に入社をしたんですが、それ以前は監査法人に勤めていました。入社のきっかけは話せば長くなるのですが・・・、昔山登りをやっていて、遭難事故を起こしたことがあるんです。自分の人生観を大きく変えるような事故、それが一つのきっかけですね。

その頃はまだ20代で、人生とか、生きるとか、死ぬとか、それまで考えなかったようなことを、色んな角度で考えるきっかけになりました。支えてくれた家族や、周りの人への感謝、そこに対して自分が出来ること、色んなことを考えた結果、家業を手伝うことにしました。

先ほども少し話しましたが、幼い頃は家業がパチンコ業界であることに対して、人様に自慢できることではないと思っていましたし、継ぎたくないという気持ちもあったので別の道を選びましたが、その出来事があってから、生きているだけですごく幸運なことだし、命を与えてもらって仕事が出来ること自体が奇跡のようなことで、その仕事が好きとか嫌いとか考えている時点で甘い、と思うようになりました。

ものすごい体験をされたんですね。好きとか嫌いとか考えている時点で甘い、という言葉はそんな体験をされた永野社長だからこそ言える言葉だと感じます。ところで、御社では山登りを研修に取り入れていらっしゃるとか?

ええ、新入社員が入社して、半年くらい経った頃に八ヶ岳登山研修をやっています。山登りって不思議なもので、うちの新入社員もほとんど未経験なんですが、何となく登れちゃうんですよ。

お互いに支え合って、遅れる人は何とかついていこうと頑張り、前を行く人はもう少しペースを合わせて、引っ張っていこう、と全体に連帯感が生まれるんですよね。目標は、とにかく山頂を極めよう、とはっきりしているからかもしれません。

一つの目標を決めて、全員でそこへ向かっていく、という会社組織にも通じるものがあると思うんですよね。登りきったときの達成感も含めて。期の結束も固まりますから。一時的ですが(笑)

新入社員を対象に行うのは、やっぱり同期、というのを重視しているからです。先輩に言えないことや、悩んでいること、苦しいことを相談する相手だったり、支え合えるのはやっぱり同期ですからね。

ありがとうございます。3年前に社長になられたとのことですが、社内的にどんなことを取り組んでこられましたか?

まずは、こんな厳しいときだからこそ、もっとホール様に目を向けた仕事をしよう、ということ。開発も商品も、営業もね。それを明文化して取り組んでいる最中です。初めにも言いましたが、開発の担当メンバーがホール様に出向いて、直接お話を伺おうということを進めています。

もちろんエンドユーザーに目を向けることは大切です。でも、我々が感じる以上に、ホール様は日々エンドユーザーに目を向けて、色々と感じていらっしゃると思います。そういうホール様と我々がもっとコミュニケーションをとれば、エンドユーザーの声も機械に反映できると思っています。

また、機械開発に関しては、他社とは一線を画したものを作っていこうということ。

パチンコファンが減少している原因は、機械の種類が少ないということ。顔は違いますが、特性は似たようなものが多いですよね。もっと色んな機械を作って、お客様が選択できるようにしたいと思っています。

会社としては、一体感を持ってやろうということを掲げています。うちの会社にはヒーローはいらなくてね、お互い助け合って、常識とか、モラルをきちんと持ってやっていこうと話しています。

社員にどんな心がけで働いて欲しいか、という話をよくします。それぞれの立場にもよりますが、まだ入社して若い社員は、自分の家族のために。もう少し上の管理職になったら、自分の部下のために。さらに上の幹部に立場になったら、お客様のために。経営層になったら、社会のために、一生懸命頑張る。

それぞれ立場によって、誰かのため、何かのために頑張ることを広げていって欲しいと思います。女房に言うと、「ワタシのために何もしてないじゃない」と言われそうですけどね(笑)

永野社長がトップとして心がけていらっしゃることはどんなことでしょう?

一つは率先垂範。

自分に課している心がけが「にこにこ顔の命がけ。」京都大学の総長も務めた平沢興さんという方の言葉なんですが、顔はニコニコしながら、いつも命がけで必死にやる、ということですね。

すごく素敵な言葉ですね!それでは永野社長の夢を教えて頂けますか?

豊丸産業という会社で言えば、父が創業した時の数字がありますよね、全てがその10倍を目指しています。また、評価で言うと、売り上げとか利益、販売台数など数字の部分ではなくて、お客様(ホール、エンドユーザー)から信頼されるメーカーという面で、1番になりたいですね。

そして、父から土台ができた会社をもらっているわけですから、個人の目標としては今後、この豊丸産業をグローバルに活躍できる会社にしたいと思っています。それが達成できたら、リタイヤして作家になりたいな。本を書きたいですね。

読者の皆さんにメッセージをお願いします!

楽しいものを提供している場なので、自分達も楽しく仕事をしましょう。

生きている時間、大半が仕事をしているわけですから、ぎすぎすとして疲れることをやっていてもつまらないですからね。お客様にも伝わると思いますので、まず自らが楽しんでください!

初めてのメーカー様への取材、とても勉強になりました。ホール、メーカー、関連業者全てが一緒になって業界を盛り上げて行けると素敵です。

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