パックエックス通信

豊栄興産株式会社、権和人社長 TOPから学ぶ

権和人/豊栄興産株式会社 代表取締役社長。兵庫県遊技業協同組合青年部会 部会長も務め、社会貢献活動など業界認知、活性化に尽力。趣味はスポーツ、音楽全般。座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。

本日の『TOPから学ぶ!』は、豊栄興産株式会社(本社:兵庫、屋号:Dino(ディーノ))の権社長です!突然パチンコ店の経営を任されることになった10年前。初めは全体を把握することでいっぱいいっぱいだったとおっしゃる権社長。100年続く企業を作って、100周年記念を盛大に祝う、という素敵な夢もお聞きしました。

権社長、本日はよろしくお願いします!こういった取材を受けることは多いですか?

企業経営者としてはほとんどないですよ。青年部会長としては何度かありますけどね。

権社長は兵遊協青年部の青年部会長をされているんですよね。どんな取り組みを?

社会貢献活動や、勉強会をやっています。

例えば障害者施設の皆さんに来て頂いて、パチンコ競技大会を2年に1回開催しています。それ以外にも、障害者と健常者が垣根を取り払って一緒に楽しめるようなイベントとしてはーとふるふぁんどフェスタを開催しています。それはパチンコとは関係のない内容ですが、現場で青年部の部員が実際にスタッフとして動き回っています。

また、授産施設で作られたものを端玉景品として採用することで、微力ながらそこで働く方の賃金のアップ、業績アップに貢献をしたいと思ってやっています。

私は青年部の部会長をやらせてもらって2期目になります。青年部は50歳で定年なんですが、いま、大量定年退職時代を迎えています。精力的に活動をして青年部を引っ張ってくださった先輩方が抜けてしまわれるので、若手の皆さんを勧誘しているところです。

本業と青年部のお仕事と、時間的にどの程度の割合でやっていらっしゃるのですか?

本業の方に割いている時間の方が多いですが、3割くらいは青年部の活動をやっています。業界に入りたての頃は、朝の8時から夜中の2時まで働く毎日を過ごしていましたが、さすがにそんな生活はもうやめようと思ってますので(苦笑)

そんなに大変だったんですね・・・業界に入られたきっかけは?

色んな事情があって突然、私が家業を継承しなければいけない、という状況になりまして。嫌だなんて言っている余裕はありませんでしたし、この会社があって我々一族の生活が成り立っていますから、好きも嫌いもない、とにかくやらざるを得ないという感じでした。今から10年ほど前のことです、34歳になる直前くらいの頃ですね。

まあでも、告げられたのが新婚旅行から帰ってきて、これから身内でお祝いをする、という時だったので、「いま言うか~?人が浮かれ倒してるときに・・」とは思いましたけどね(笑)

私は四男でまさかこうなるとは思ってもいませんでしたので、当時は全く別の仕事をしていたんですよ。色なことをやっていました。学習塾を経営したり、建材輸入の事業をやったり。ホールでの経験といえば、20年前に半年間アルバイトをした位でしたので、全く分からずに飛び込んだという形でした。

まず、全体の把握をすることからでしたね。必要なものと、不必要なものを選別し、少しずつ変えていきました。例えば、当時は寮と食堂があったのですが、それを廃止しました。寮があってまかないがあると、そこが家なのか、職場なのかがあいまいになります。そうすると、ホールに出るときに、家の顔のままで降りてきますよね。家でくつろいでいる顔のままでお客様の前に出ていたんです。

それは接客業の性質上、あまりよくないと思って廃止しました。自営業の人とは別ですからね。もちろん寮に住んでいた方にはひとり一人に話して、退職をされる方には退職金を支払ったり、誠意を尽くしたつもりです。

そうすることで、スタッフが入れ替わり、若返っていかないと先がないと思っていたのもありました。

家の顔、ではなくお客様を迎える顔、でないと。ということですね。お店を拝見しましたが、すれ違う際にしっかりとお辞儀をして頂きました。

接客に関しては、満足行くレベル、隙がないというレベルにはなかなか何年たっても行かないものだなぁと思います。どうしても人によって、また日によって、今ひとつ覇気がないと思うことも多いですよ。常に笑顔で前向きに接客をしている人というのは、私が突然お店にいっても、全く動じないんですよね。お客様に対するものと同じ笑顔で、にこっと「おはようございます!」。もうすでに顔が出来ているので、この人は常にこうなんだ、と分かります。

逆にそうじゃない人は、私の顔を見た瞬間に「あっ、しまった!」という顔をしますからね(苦笑)それから顔を作るので笑顔が出るまでにタイムラグがあるんですよ。

接客に力を入れる、ということは入社された当初からおっしゃっていたのですか。

もう昔のことだから、どう考えていたというのは思い出せないんですが・・とにかく、職場としてまともな職場にしていかないといけないと思っていました。当時は、改善しなければならないこと、どう考えてもおかしいということが、目に見えて沢山ありましたから。それも大変なことではなくて、散らかった本を本棚に戻すくらいのレベルのことです。

それを一つずつ片付けて、企業としてこうなっていきましょう、ということは示してきたつもりです。

どうなっていこう、と思われていたんでしょうか?

例えば「仕事」について社員にどう考えてもらうかについては、今でもよく話すんですが、『あなたたちは私と雇用契約を結んでいます。その雇用契約を簡単に説明すると、あなたたちは私(社長)の代わりに仕事をしてください、そのお礼として給料を払います、という意味です。

私はパチンコ店を4店舗経営していて、全部一人で出来れば、一人でやって全部私のお金にします。でもそれは無理なので、申し訳ないですが私の代わりにある一定の仕事をしてください。その代わり適正な報酬をお支払いします。ということです。あなたたちはそれに納得して来てくれているわけですから、社長の代わりを務めている、と思ってやってください。』と伝えています。

そういう考えのもとで、私の代わりに仕事をしてくれている人が、劣悪な生活環境にいるのは嫌なんですよね。こんなパチンコ店ですけど、自分に自信を持って、仕事を通して自我を確立する、自己実現をしてもらえるような状態を用意したいと思っています。

例えば、中学校しか出てないとか、大学でたけど結局就職がきまらなくて5年くらいフラフラしていた、とか色んな人がいますが、ちゃんと頑張ってやる気になれば、能力発揮してくれるんですよ。

自分に自信が持てなかったり、やる気はあるけど何をしたらいいかが分からない人達に、こういう順番で覚えていくといいですよ、という資料やマニュアルを整備することもそうだし、ここまで頑張るといくらになりますよ、と給与体系を示すこともそうだし、何から覚えていいのかわからへん、何やもうわけわからへん!という状態にならないように、努力しようと思えば頑張れる環境を用意したいと思っています。

そして、社員にはやっぱり、家を持ってもらいたいと思っていて、持ち家奨励制度を設けています。自分と家族が住む家を、自分の名義で買ってローンを組む場合は、月々支払いの3割を負担しているんです。

そうやって、自立というか、自己実現を支援できるような会社でありたいと思っているんです。社員の皆さんには、ここでの仕事があって、家族との時間やプライベートがあって、バランスの良い充実した人生を送って欲しいです。

めちゃくちゃに仕事ばっかりしてもらわなくていいんです。モーレツ社員みたいなのは、それはそれで気持ち悪いし。(笑)

すごく素敵なお考えですね。社員の人生を充実したものにするための支援、という考えで色んなことを整備されているんですね。

接客をうるさく言うのも、やっぱり人間として成長できると思うからなんですよね。にっこり笑って挨拶が出来る人って、友達が多いですよね。周りに人が集まってきて、より豊かな人生を送っている人が多いと思います。

例えば子供が出来て、その子の運動会なんかで、他の保護者ににっこり笑ってこんにちは、って言えれば、感じいいでしょ。むすっとして目も合わせないようなら、○○君のお父さんって何考えてるかわからへんな、って言われてしまうと子供がかわいそうですからね。にっこり笑顔であいさつが出来るって、やっぱり人としての成長だと思います。

働きやすい職場、相応の報酬、しっかりとした生活がある人生。そういう充実した人生を送って欲しいと思っています。やっと少しずつ整ってきて、目指す方向に何とか向かうことが出来てるかな、と思います。

ご自分で学習塾を経営されていた経験もお持ちの権社長ですが、この業界で働くことの面白みはどんなことでしょう?

いっぱいありますよ。例えば、お店を改装するときなんかは、自分の家でインテリアをやり直す、というレベルじゃないですからね。しっかりお金もかけて、内装も外装もいじれるわけです。そりゃ面白いですよ。

同業の人との接触も非常に楽しいですよ。パチンコ業界って本当に面白い。昔とは変わってきていると思いますね。視野の広い人がすごく増えていると思います。勉強になりますよ。それから、これはパチンコ店経営に関わらずだと思いますが、人が変わっていくところを見れるというのは、やっぱり一番の醍醐味ですね。

全然ダメだった人が、俺よりすごいかも、って思うこと、たくさんありますよ。

先ほども言いましたけど、私は社員の笑顔に関してうるさく言っています。ところが、本社で誰かとすれ違いった時に大きな声で「おはようございます!」って言ってくれた際、私は二日酔いか何かで笑顔が出ないことがあるんです。出したいけど、どうしても出ない。

そのときに、負けた・・と思うわけです。俺が散々言ってきたことなのに、負けた・・って。それは悔しい。けど実は非常に嬉しいんです。

また、にこりとも笑わない、年に1回笑うかどうかという社員が一人いたんですが、笑顔・笑顔・笑顔・笑顔、と念仏のように言い続けて、今度の年末までに笑顔が出なかったら降格と言い、本当に降格した社員がいるんですよ。でも、その子は今、笑顔が出るようになったんです。そろそろ職位を戻してあげないと、と思ってます(笑)

あらゆる面で整った人、充実した人になって欲しいから、恋をして、結婚もして欲しいんですね。れなのに、にこりともしない、別に男前でもない、年収が1千万あるわけでもない、絶対こんなやつ誰も好きになれへんやん!という状態から、例えば飲み会とかで、今日はありがとう、またね!ってにっこり笑って言えたら、10倍くらいはチャンスあるんじゃないか、って思うんですよね。そんなことを想像すると、楽しくて。

この仏頂面やったこいつが笑顔になって、彼女が出来て結婚したら、楽しいなあって。余分にお祝い包みたくなるやろなあ、って(笑)。とても面白みのある仕事だと感じていますよ。

学習塾をされていた、ということもあるせいか、権社長の目線は先生のようですね。あったかい社風が伝わります。それでは、組織のトップとしての心がけていることはありますか?

まず基本的なこととして、いつもピシッとしていないといけないと思ってます。社員の皆さんにとって、さすがわが社の社長であることだな、と思えるような格好だとか、立ち居振る舞いだとか、極端な例ですけど、路上でつばを吐いたりとか、後ろ指を差されるようなことはしないということです。

あと、従業員に対して、あなたたちのことをよく見ていますよ、ということを常に伝え続けていかないといけない、と思っています。言わなくても分かるだろう、というのはナシ。どんな些細なこと、それは分かるやろう、ってことでも。お前、何でそんなこと知らんねんというのは、俺が教えてないからやって、思うようにしてます。

それから、一つ教訓にしていることは、褒めて育てる、というのは程度の問題だということです。こいつの代わりはおらんから、と大事にしてしまうと、その気持ちが伝わるみたいで、その人がだんだんだめになっていくんです。それはきっと、私が言うべきことを言わなくなるんだと思うんですよ。こいつ代わりがおらんから、と厳しいことを言わなくなるんでしょうね、知らず知らずのうちに。間違えた褒め方や接し方をしていたんだと思います。

人を切るという話しではないけど、私は社長(上司)に特別視されているので、ちょっとくらい手を抜いても大丈夫や、というのは、本人にとって不幸なことになってしまうんですよね。あ、この人ダメになったって思う瞬間があって、何でやろう、ってずっと考えたんですが、明らかに私の扱いだな、って気がつきました。

代わりがおらん人間なんていない、もしいなかったら俺が代わりをやったらええ、と思うようにしています。道理が通らないことは通らん、ダメなことはダメだとはっきり言ってやらないといけないんです。

そんなことも知らんのか、ということもそうだし、常に自分の考えを伝え続ける、思いを率直に分かりやすく伝え続けることしかないのかな、って思います。

上司の立場でも、部下の立場としても非常に勉強になるエピソードです。ありがとうございます。それでは御社の店長に対して求めることはどんなことでしょうか?

それぞれ得手不得手がありますので、自分の得意分野で力を発揮して欲しいと思います。店長に抜擢する基準ですか?店長は班長とか主任とか段階を経ているわけですが、主任になった瞬間に偉そうになったとか、態度が変わりましたという話が耳に入った人間に関しては、店長にしないですね。

昇格するというのは、偉くなるんじゃない。役割が変わるだけなんです。全従業員は私と雇用契約を結んでいるということにおいて、平等であり、給料を支払っているのは会社です。会社の大事な従業員に不当な扱いをするような人は、優秀な管理職とは言えません。

管理職というのは、いい職場環境を作って、スタッフが自然にいい接客が出来る、ベストパフォーマンスを発揮できるように工夫をするのが最大の仕事です。それを、変に勘違いして偉そうにしたり、自分の気分でスタッフにあたり散らしたりするような人は、私に成り代わって仕事をしているとは言えませんからね。

これからの夢や目標を教えてください。

しょうもないことなんですが・・・何とか事業を継続させて、92歳まで生きたいんです。

そうすると、創業100周年のお祝いに立ち会えるんですよ。創業50周年の日に思いついたんですが、あと50年・・いけなくもないよな、って思いまして(笑)。

まだパチンコ業界が世の中にあって、細々でもいいので続けていれたらいいですね。継続するってことは、すごいことですから。ダウジョーンズが100周年の時に、平均株価の算出が始まって以来、現在まで継続して構成銘柄に残っている会社は、GE(ゼネラル・エレクトリック)社だけなんですよ。それを聞いて、そうか100年続く会社ってすごいんだな、って。実際ほとんどないらしいんですよね。

何とか続けて、100周年をみんなでパーーっと祝いたいと思っています。

すっごく素敵なことだと思います。それでは最後に読者メッセージをお願いいたします。

パチンコ業という生業全体は、みんな頑張って切磋琢磨して、お客様をひきつけるという言うことが必要です。例えば、パチンコ店が5店舗あるけど、どの店もガラガラという状態で1店舗だけ頑張ってもなかなか集客できませんが、逆にどの店も強い地域で、弱い店舗が頑張ると、工夫次第ですぐ集客ができますよね。

だから、業界全体がにぎわう、ということが命だと思いますので、足の引っ張り合いじゃなくて、みんなで切磋琢磨して、競争してる中で、より多くの人にパチンコって楽しい。って思ってもらえるように、継続的に努力しましょう。

不景気だとか言われていますが、他業種の方と話をしていると、この業界はまだまだ恵まれていると感じます。色んな不安要素はありますが、しかるべき形で、しかるべき努力をしていけば、残っていくことは十分に可能じゃないかと。工夫次第で何とかなると思っています。

パチンコ自体を盛り上げるためにも、それぞれ個々の努力、工夫を積み重ねて、沢山のお客様に来て頂けるように、共に頑張りましょう。

内にこもりがち、といわれるパチンコ業界ですが、外に目を向けてみれば、実は恵まれた環境にいることに気がつくのかもしれません。権社長、ありがとうございました!

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