パックエックス通信

大正商事株式会社、三枝和哉社長 TOPから学ぶ

三枝和哉/大正商事株式会社 代表取締役社長。シアトル大学工学部電子工学学科卒業。ローランド会社勤務を経て、30歳の時に入社。大遊連青年部会 青年部会長も務める。

本日の『TOPから学ぶ!』は、大正商事株式会社(本社:大阪)の三枝社長です!30歳の時に、それまで勤めていた大手楽器メーカーを退職し、家業を引き継ぐことになった三枝社長。お店の営業方針や、お客様との関わり方など、【玉出し屋】としてのスタイルを教えて頂きました。

三枝社長、本日はよろしくお願いします。こちらへ伺う前にお店を拝見いたしました。お手洗いに貼ってあったチラシの中で「私達は玉出し屋です!」という言葉がすごく気になりました。

見ました?あれ、デザインは某家具屋さんのパクリなんですけど(笑)、僕は自分の業を「玉出し屋」やと思ってます。お客様に気軽に寄ってもらって、勝ったり負けたりはありますけど、できるだけ玉出して楽しんで帰ってもらう。それこそがパチンコ=大衆娯楽の本来の姿だと思っています。

ただ、今のこの業界は大衆娯楽とはとても言えない現状なんじゃないか、と思います。最近、僕の周りのパチンコファンも、やってますか?と聞くとやらなくなった、という人が多いんですよ。ギャンブル、という言葉はあまり使いたくないけど、あまりにもギャンブル性が高まってしまって、お客さんがついてこれなくなってるんですよね。これは僕の感覚の問題だけど、大衆娯楽とは言えないんですよ。

昔、この業界に入った時、先代社長である父に言われました。「パチンコのお客様は井戸みたいなもの。井戸は吸い上げ過ぎると枯れてしまったり、地盤沈下を起こしたりする。だから、適度に、必要な分しか取ってはいけない。」そう教わって、その考えにすごく共感したんですよ。極端に言うと、この業界において儲け過ぎることは悪だ、というような考えが根本にあるんですよね、僕の場合。

お客さんと取ったり取られたり、最終的には会社として存続していくためにうちが少し勝たせてもらいますよ。というような関係。そうすることで、今日来てくれたお客さんは明日も来れるし、そういう姿勢がお客さんと店との信頼関係を作ると思っています。だから、うちの店は「玉出し屋」というスタンスを貫こうと思って、お客さんに宣言してるんですよ。

トイレの個室での宣言、受け取りました(笑)いい言葉ですね、何だか昔ながらのパチンコ店という雰囲気で。

商売相手は何か、というと、人の心なんですよね。射幸心という、人間の依存してしまうところを刺激して商売をしているわけです。そして、今のパチンコは動くお金の額も大きいでしょ。だからこそ、我々は襟を正さないといけないと思っています。

ただそう思っていても、今は業界全体の状況も良くなくて当社も含め、思ったとおりできてないという企業は多いと思います。生き残るために、ということを優先して考えないといけないことが多く、本意ではない営業をしている場面もあると思います。ただ、本質の部分、つまり自分達は何屋なのか、何屋になりたいのか。ということを忘れてはいけないと思います。

ありがとうございます。ではその玉出し屋を率いる店長に求めることはどんなことですか?

上司の言うことを疑うこと!これは店長に限ったことじゃないんだけど、どうしてこの人はこんなことを言うんだろう。どういう意図でこんな指示を出しているんだろう、と。疑うというか、真意を考えて欲しい、ということです。何か指示をだして、「ハイ、わかりました!」と言う人に、何が分かったの?と聞くと説明できない場合が多い気がするので(笑)

何も考えずロボットみたいに業務をこなすより、なぜその仕事が必要なのか、やることでどんな結果が得られるのか、意図や意義を考え、自分なりの解釈や思いをのせて仕事をしたほうが絶対に良い仕事できるし、何より楽しいですよね。

だから僕、マニュアル化が好きじゃないんですよ。型にはめてしまう気がして。とかいいつつ、実は一度作ろうとしたことがあったんですけどね。

各担当に業務の内容や指導の仕方を聞いて、それを文章にして・・・と。でも、やっているうちに何だかバカバカしく思えてきて。仕事自体はそんなに難しいことはないですから、実際に働きながら覚えていけばいいと思うんです。それよりも何よりも、店舗運営で一番大切で、一番難しいのは人との関係(お店のスタッフ同士だったり、スタッフとお客さんだったり)だと思うので、それってマニュアルじゃ教えられないんですよね。

大切なことは人から人へ伝えていくものだと思う。伝承ですよね。何店舗も展開している企業だと、ある程度マニュアル化しないと無理があると思いますけど、それでも本当に大切なことはマニュアルじゃ伝えられないと思いますよ。それで、作るのをやめました。・・・まぁ、仕事量が膨大でまとめるのが大変だった、というのもありますけど(笑)

確かにマニュアル化というと、いい面も悪い面もありそうですね。この業界の前に務めていた企業ではいかがでしたか?

以前はローランドという楽器会社で、プログラマーとしてシンセサイザーなどの楽器を作っていました。コンピューターおたくなんですよ。嫌でしょ、おたくな社長(笑)一日中コンピューターの前に座ってても苦じゃないんですよね。その会社は上場会社の大企業だったけど、細かく書かれたマニュアルなんかありませんでした。

工場ラインをはじめ、色んな部署を経験しましたが、どこの部署でも冊子のようなマニュアルはなくて、見て覚えろ、みたいなね。そういう経験もあったから、マニュアルって本当に必要なんかな、そういえばこれまで述べ伝えで何とかやってるよな、と思ったのもありますね。

身だしなみとかね、大切なことだし必要かなとも思ったんですけど、うちの店、結構自由なんですよ。髪の毛がスーパーサイヤ人でもOK(笑)その代わり、きちんと整髪量つけて、きっちりしたスーパーサイヤ人にしてや、って。それが身だしなみやぞってことです。

メイクなんかも、めちゃくちゃ濃いスタッフもいましたけど、それを毎日きっちりやってくるんですよね。それを見てると、初めはどうなんかなと思いましたが、文句も言えませんでしたね。それに、そのスタッフはお客さんに大人気だったんですよ。メイクが濃いとか、髪の色が金髪だとか、そういうことよりも、お客さんに笑顔で接することが出来ているか、愛嬌とか、大事なのはそういうことですよね。

でも、それは教えられることじゃなくて、やっぱりお店の雰囲気とか、伝承だと思います。例えば先輩が楽しそうに仕事してるなとか、この店のメンバーで飲み会行くと楽しいとか、部長って気さくな人やな、とかね。そういうところはマニュアルにできないから。

お話からお店の和気藹々とした雰囲気が伝わってきます。お店でもお客さんと笑顔で話しているスタッフの方を見かけました。

うちの店では、常連さんのことをコンサルと呼んでるんですよ。毎日の営業報告で、「今日、コンサルAさん来られて、あの機械入れろ、とおっしゃってました。」とか、「コンサルBさん来られました。あんたとこのイベントはこうだから駄目やねん!と言われました。」とか、それぞれ頂いたご意見を共有します。

お客さんの、しかもほぼ毎日打ってくれている方の意見って、一番参考になると思いません?だからコンサル(笑)毎日打ってくれている方から言われたことだからこそ、何とかその指摘されたところを埋めようと思いますしね。本当にありがたいですよ。

そういう意見を頂ける関係であるためにも、僕は「玉出し屋」でいたいと思ってます。

どういうきっかけでパチンコ業界に入られたんですか?

父が癌になり、いよいよ亡くなるという時に、ローランドを辞めて戻ってきたんです、30歳の時でした。

昔、父と大喧嘩して、絶対継ぐか、と思っていたんですよ。親父も継がす気なかったみたいで、そのうち売ったらいいわ、という気でいたみたいなんですが。母も商売をやっていくタイプじゃないし、これは自分がやるしかないな、と思って。嫌で仕方がなかったですけどね。やっぱり家族を助けないとね。

この業界に対しては、仕事の面白みが分からなかったんですよ。コンピューターおたくのプログラマーでしたから、自分が書いたプログラムがエラーなく動くことが「面白い」ってことだったんですよね。でもこの業界、相手は人でしょ?お客様にしろ、従業員にしろ。

先ほども言いましたが、人との関係が一番難しい。言ってみたらエラーばっかり。全然思い通りにならなくて面白くなかったですね。社長って肩書きは動きにくいということで、初めは部長という肩書きでやっていました。実際やっていたことは今と変わらないですけどね、全部やってました。

経営のこと、税務、経理も全然分からないし、とにかく色々勉強しながら、キャッシュフロー経営を進めました。プログラマーをやっていたせいか、そういう仕組みを理解するのは簡単だったんですよ。言わばテクニックというかね。一番困ったのは、大げさな言葉を使うと、帝王学、社長学というところ。社長たるものこうあるべきだ、とかね。そういうの全くない、ないないない(笑)

だから、いまだに社長なんてやれてないと思ってるんです。トップとして、という質問があったけど、そんなわけで答えが見つからないんですよね。リーダーには色んなタイプがあると思うけど、例えばものすごいカリスマ性を発揮してみんながついていくようなリーダーと、こいつ頼りないから助けてやろうか、というタイプがあるとしたら、確実に後者です。

みんなに助けられていて、僕一人じゃ何もできないですよ。ダメ社長なんです(笑)ピラミッド型の組織、とよく言いますが、うちの場合は逆ピラミッド型。<一番偉いのは現場の第一線で働いているバイトやスタッフの子です。僕は一番下。何にもやってないですから。指示系統は逆で、僕から発信したりしますけど、現場から情報が来るから指示も出せるわけでしょ。

コンサルのみなさんと接するのも現場やしね。楽器を作っていたときもそうなんですが、それぞれの持ち場で、それぞれが違う役割を全うしているだけで、上下関係いらんやん、って思ってます。チームメイトという感じですよ。

トップとしてとか、上司としてというより、自分もチームの一員で役割として社長をやっている、ということですか。

そうそう、そんな感じです。

かつては自分も人の下で働いた経験があるので、部下にとっていい上司でありたいと思って考えたりしましたけど、ある日そんなことを考えるのをやめたんですよ。だってそんなのは結局主観でしかないじゃないですか。自分の考える「いい上司」は、部下にとって「いい上司」じゃないかもしれない。万人にとって「いい上司」なんていないわけじゃないですか。それであれば素のままの自分で勝負しようと思って、考えるのをやめました。

マイペースすぎるってよく言われますけどね(苦笑)

なるほど確かに、万人に受け入れられることなんてありませんよね。三枝社長は大遊協青年部会長もお務めでいらっしゃるのですね。

そうです。この業界が好きになったのは、大遊協の活動を通して知り合った同業の皆さんや、関連業者の方など、この業界の仲間に出会えたというのは大きな理由かもしれません。

この業界は遊びを提供することが仕事ですから、業界に属する人は遊ぶことに長けた人が多いなと思います。人を楽しませたり、自分で楽しむことをよく知っている人たちが集まっている業界だと思いますよ。

来月、12月23日に大遊協青年部の取り組みとして「未来っ子カーニバル」というものを開催します。(大阪府門真市「なみはやドーム」で開催)

毎年やっているイベントなんですが、交通遺児をはじめ、様々な理由でクリスマスを両親と過ごせない子供達を招待し、様々なイベントを用意してクリスマス会をやるんですよ。スケートリンクで遊んでもらったり、今年は世界一のロールケーキ作りでギネスに挑戦!という企画もあがっています。子供達にも楽しむこと、遊びを提供して、笑顔いっぱいになって欲しいと思っています。

とっても素敵なイベントですね。では最後に、読者の方へメッセージをお願いできますか?

もっともっと考えて欲しい!と思っています。

業界のこと、自分の仕事のこと、自分が何屋なのかということ。業界にもっと愛を持って考えて欲しい。例えば低玉貸し営業が流行っていますが、なぜ1円が流行っているのか。景気が悪いとか、外部要因は様々ありますが、その前から遊技人口が減少しているということは問題になっていました。

いまの業界の現状は、何が原因なのか。

原因のない結果はないんです。過去の積み重ねが今であり、今を良しとするなら過去は正しいし、今が悪いと思うのであれば、過去にしてきたことは間違ってるんです。自分がこの先、この業界で生きていこうと思っているのであれば、とにかく考えることをやめてはいけないと思います。

先日、パチンコが大好きな知人に最近打っているかと聞きました。そしたら、お金が持たないから打ってないそうなんです。そのかわり何をやっているかって、携帯ゲームをやっていて、その携帯ゲームに1ヶ月で1万円使うんだそうです。

高いと思いますか?パチンコに置き換えると、1万円なんて、あっという間になくなりますよね。それを考えたら、月に1万円なんて安い、って言っていました。しかも、パチンコとは違ってリターンのない、使いっぱなしのものに1万円を使うんですよ。

消費者には選択肢が山のようにあります。我々は、通信費とも勝負をしているんですよね。そのことを忘れてはいけないと思います。

私の好きな聖書の言葉に、「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。」という言葉があります。

これから先の未来、こうするんだ、と思い、そのために考え行動すれば、思い描く未来は開かれると思います。共に業界の未来を見据えて頑張りましょう。

パチンコから携帯ゲームに乗り換える人がいるんですね。パチンコと比べれば月1万円使っても平気。という気持ち、分からなくはないです。もう一度パチンコで遊んで頂けるように考えなければいけない時ですね。三枝社長ありがとうございました!

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