パックエックス通信

株式会社ベックアンドカンパニー、白川智久社長 TOPインタビュー

白川智久/株式会社ベックアンドカンパニー 取締役社長。平成13年 祖父克己氏が創業した白川観光(ベックアンドカンパニー前身)に入社。平成14年7月 兄である白川清久と共に株式会社ベックアンドカンパニーを設立 同時に常務取締役に就任。平成20年9月 取締役社長に就任 新たな組織改革に取り組む。

本日の『TOPから学ぶ!』は、株式会社ベックアンドカンパニー(本社:京都)の白川社長です!祖父の代から続く家業を引継ぎ、3代目として新たな改革に挑む若き社長の本音に迫りました。

白川社長、本日は何卒よろしくお願いいたします。業界に入ったきっかけは?

当社は、僕の祖父の代からこの事業に携わっていてます。もともと僕はパチンコも数回しかやったことがなかったし、あまり興味がなかった、と言うのが正直なところです。

ただ、進路について考えた際、僕もいずれは自分で何か商売をやってみたいと思っていたので、経営について学んだり、教えてもらえたりできるんだろうなというのと、祖父の時代から代々続けてきたこの商売がどういうものなのか、親の仕事がどういうものなのか、勉強してみようと思い、夏休みに1ヶ月アルバイトをさせてもらったんです。それで興味が沸き、家業のおかげで今の自分があるし、その中で何かできることがあったらいいな、という思いからこの業界に入りました。

父の時代は祖母が父を背負ってホールで仕事してたなんて話も聞きましたし、仕事と普段の生活がすごく密接だったみたいなんですが、半世紀たった僕の代では、逆にそういう面は薄れていたのかもしれません。幼少の頃からこの業界に対して好きも嫌いもなくて業界に入ることに抵抗もありませんでした。また事業継承をする予定でもなかったから、本当に自分が好きで頼んで入社させてもらった、というスタートでした。

入社してからは、まず自店に住み込みで半年働いて、そのあと他社さんで約1年ほど修行させてもらって戻ってきました。戻ってからは本社勤務で、その後2002年に兄と二人で今の会社ベックアンドカンパニーを設立し、常務取締役に就任しました。主に営業面、数値面を統括するのが僕の仕事でした。

その後、2008年に社長に就任されましたが、どういうお気持ちだったんですか?

社長に就任することが決まってから半年くらい悩みました。

それまで社長になることが自分の目標でやらせて欲しいとは言ったものの、社長になってから何をしたいのかということや、どんな会社にしていきたいのかということを考えられていない自分に気がついたんですよ。今までは、父の会社に入社をして早くから役職にもつけてもらって・・というように、もちろんそれぞれのポジションで目標があって、それに向かってやってはきましたが、何となく与えられた環境でその流れに乗ってやっていたように思うんです。

それがいざ社長となると、意味や意義、存在価値というものをしっかりと持っていないといけないんじゃないかと思って。

会社を持つってどういうことなんやろう、人を束ねていくってどういうことなんやろう、どんな会社を作っていきたいんやろう、そもそも俺は何で社長になりたかったんやろう。そういうことを考え続けました。最終的に行き着いたのは、ずっと昔から自分の中で大切にしてきた考え、生きる上での自分の軸になっていることでした。

それは「人生を楽しむ」というとても単純なこと。せっかく生まれてきたのだから人生を楽しみたい。人生の半分以上の時間を費やす仕事も、どうせやるのなら思い切り楽しみたい。全てを楽しむことこそが幸せな人生なんじゃないか。まずは自分自身が楽しむこと。そしてご来店頂けるお客様に楽しんで頂くこと。お客様が楽しんでくださることがまた、さらに大きな自らの楽しみに変化していく、つまり楽しみが連鎖していくと考え、「ENJOY・楽しみは楽しみを生む」という企業マインドとして定めることにしました。

はじめは、企業理念というものは難しくしないといけないのかなとも思いましたが、みんなが理解しないと意味が無いし、自分の思いを素直に、ストレートにみんなに伝えることが一番大切なんじゃないかと思ったんですよね。そこに至るまでに結構時間がかかりましたね。

常務の頃の役割と今トップとしての役割で一番変わったことはなんでしょうか。

ものの見方、考え方はすごく変わりましたね。今の方が、「人」への思いは強いです。常務でいた頃は、いわゆるナンバー2というポジションで、もちろんその当時も人のモチベーションや、社員のやりがいをどう創出していくかということは考えてはいましたが、どちらかというと組織の作り方をメインで考えていて、仕組やルールを作ることとか手段についてばかりを考えていました。

社長になってからは、手段方法論だけでは最終的に人は動かへんな、と思うようになりました。もちろん制度や手段は大切だし、絶対に必要だとは思っていますが、それだけじゃ人は動かない。大前提として思いとか心根の部分、存在価値とかやりがいとかがあった上に仕組みやルールがあって初めて効果を成すものじゃないかなと思っていて、その根本的なもの、何よりも大切なものをみんなに伝えることが自分の役目なんかな、と今は思っています。

それが何なのかは、正直言うとまだはっきりとは見えていません。何だろうと考えるようになってから、そのために自分はどうあるべきか、どうしなきゃいけないのか考えるようになりました。

具体的に行動も変えられたのでしょうか?

そうですね。社長なって一番最初に、俺はお客様のことを見てたんかな、そう思いお客様アンケートをとることにしたんです。1年半くらいかけて、お客様から色んなご意見頂いきました。

もっと玉出してくれ、とか沢山くるんやろうなと思いましたけど、それよりも設備とか、環境に関すること、居心地のいいスペース、楽しむための空間を作ってくれ、というようなご意見が多かったんですよね。勝ち負けの要素はもちろん大切で、それがあるから来てくださるのだと思いますが、それが100%じゃない。それだけがお店に来る魅力ではないんだよ、ということを、逆にお客様に教えて頂きました。

お客様の声を基に、お店としてお客様に提供できるものをはっきりと打ち出そうと、みんなでミーティングを重ね、店ごとにコンセプトを作りました。それをスタッフひとり一人に説明して理解をしてもらい、お客様に楽しんでいただくためにどうすればいいかとみんなで考え、みんなで店作りをしています。何が正解かは分からないし、正解なんて無いのかも知れませんが、お客様が楽しんで頂けるものを追求し続けることが大事なのだと思っています。

あと、スタッフのみんなと接触する機会を増やしました。常務の時は全然なかったんですよ。正直言うとみんなと話したりすることが得意じゃないし、自分は常に「常務」でいなくてはいけない、認められないといけないと思っていたので苦しかった面もあって、全然接していませんでした。だけど、そういう時間を増やして自分を見せるというか、働いているみんなが「うちの社長ってこんなヤツやねんで」って言ってもらえるのが一番いいんちゃうかな、って思ったんです。

個人面談をしたり、食事会をしたり。主婦のメンバーとは一緒にケーキを食べました。僕が何か話すというより、みんなわいわい話しててすごい楽しそうでした。僕の存在は完全に忘れられてて(苦笑)それ見てるのが楽しかったですよ。でも、いざ僕が話し出すと、みんな僕の方見て、真剣に受け止めてくれて嬉しかったなあ。

個人面談で2店舗間の交流がほしい、っていう声も結構あったので、アルバイトさんも含めて全スタッフを3チームに分けて、京楽さんの工場見学をさせてもらいました。みんなほぼ初対面ですから、行きのバスで僕と次長が司会進行をして、自己紹介しながら行ったんですよ。みんなすごく楽しんでくれて、僕にとってすごく濃い思い出になりました。

後日出してもらった感想文は、「お昼のひつまぶし美味しかったです。」って書いている人が多くて、それがメインみたいになってましたけど(苦笑)本社メンバーが、みんなが楽しめるにはどうしたらいいかなって考えて、一生懸命企画してくれたから良かったんだと思います。本当に感謝ですね。

これまでの当社の雰囲気とは全然違う空気感で、僕が作りたい会社、作りたい雰囲気ってこういうことなんやなって感じました。

社長になられて2年程経っています。これからどんどん目指す会社を作っていかれるのだと思いますが、どのようにしていきたいですか?

ベースは松島さんと5年前にお会いした頃と変わっていないんですよ。ひとり一人が考える組織にしたいと思っています。<会社って僕一人のものじゃないし、みんなで作っていて、みんなの人生が乗っているもの。最終的に判断して責任を負うのが僕の仕事であって、そこまでのプロセスはみんなの自由だと思っています。10人いれば10通り以上の意見があるだろうし、それをどんどんだせる社風にして行きたい。

昔も今も、その考えは全く変わっていなくて、より現実的にそういう風にしていこうと動き出したところです。恐らく僕自身が、あまりああしろこうしろと言われて仕事をしてきてないんですよね。当然きまり事として守らないといけない最低限のルールはありますが、その中である程度のことは自分で決めてやらせてもらってきて、自由な発想とそれに応じた責任を持ってやらせてもらえることが、僕の中で仕事が楽しくなる大きな要因でした。

だから、ああしろこうしろと言うのではなく、ポジションごとに自由の幅、責任の幅を持たせて、その中で色んなことを発想して動ける、ひとり一人が活きるような、そんな組織にしていきたいですね。

お会いした当時、26歳くらいでいらっしゃったと思うんですが、「会社は、全社員とその家族の人生を背負っている」とおっしゃっていて、自分とあまり歳の変わらないのにそんなすごいことを考えている人がいるということが衝撃で、今でもすごく覚えてます。

そうですか(笑)それも変わってないですけど、今はもっと枠が大きくなりましたね。社員はもちろんのこと、会社というのは、社会に必要とされ続けることで存続できているんだ、ということをすごく意識しています。当社が50年以上存続できていて、それを引き継がせてもらえてということはとても幸せなこと。そのことにもすごく感謝していて、この会社をずっと存続させたい、そのためには発展しなければいけないし、世の中、社会に必要とされ続けなければいけない。

自分の会社は、世の中に対して何を提供できるのか、何が発信できるのかを考えるようになりました。

そして存続させ続ける、という使命を意識したのは、ある出来事がきっかけでした。当社は以前6店舗あったのですが店舗を閉鎖してきています。店を閉めるたびに、系列店を転々と動いてくれる常連さんがいるんですよね。それを知ったときに、有難いと思うのと同時に、店を閉めることが、お客様に対して1番の裏切り行為なんやな、と痛感しました。一人でも、二人でも来てくれるお客様がいる限り、店を存続させ続けなければいけないと思いました。

そして、本店も閉めることになったんですが、当時の課長、その人は僕が生まれた日に入社されたそうなので、その時勤続27年くらいの方で、以前、本店の店長をやっていた方なんですが、本店を閉める日の、その人の表情が今でも忘れられないでいます。本店を閉めるという決断は、僕ら経営者にとっても、すごく大きな決断で、悔しかったし悲しかったんですが、その人の顔をみて、違うな。と思ったんです。

というのは、その人はオーナーよりも長い時間をその店で過ごして、恐らく人生の大半の時間をその店に費やしていて、ある意味人生の一部なんですよね。その場所がなくなってしまう、人生の一部が消えてしまう。そんな思いが詰まったその人の表情をみて、俺が思っている悔しいとか、悲しいっていう気持ちとは違うな、って思ったんです。

それからですね、会社として在り続けるためにやろうと決意しました。課長もそうでしたが、お客様も同じです。毎日来てくれたり、一日中いてくださる人もいて、ものすごい時間が注ぎ込まれている場所なんですよ。そういうことも分かった上で、僕はこの店を、この会社を存続させないといけない。それが自分の使命だと思いました。

そのためには、社会にとって必要とされないといけません。沢山のホールさんがある中で、うちはどういう価値を世の中に提供できるのか、とずっと考えてきました。

自分よりも長く深くその店に携わった方から気付かされたことだったんですね。それでは、白川社長がトップとして大切だと思う要素、心がけていることはどんなことでしょうか。

難しいですね。頭にパッと浮かんだのは、思い遣り。スタッフに対して、部下に対しての気遣い、思い遣りは人の上にたつ人間として絶対に必要だと思います。僕の場合は次男で、跡継ぎとしての教育を受けて育ってきたわけではなかったので、いわゆるオーナー族と言われる人達の考え方と、会社員として働く人たちの気持ちと、両方が分かると思っています。完璧には分からないけど、半分ずつ分かる人間になれるんじゃないかな、と思ってやってきました。

だからこそ、スタッフや部下への思い遣りや気遣いを忘れずにいられると思います。

後は、自分の思いや考えを強い意思を持ってやり抜くこと、またみんなに発信することが大切だと思っています。常務でいる時は、どちらかというと周りが上手くいくように、できるだけ黒子に徹していたし、いろんな面で社長がやってくれる、とどこかで思っていました。まあいいか、となし崩しに諦めてしまうことも多かったと思います。

でもトップであるからには、まず、自分を知ってもらうということに責任を持ち、見てきたこと、感じたことを人に伝えるようにしています。そして発信したことに対して、強い意思を持つこと。先ほども言いましたが、自分の感じたことを正直に表現したりとかいうのが苦手だったので、初めはすごく苦労しましたけど、だんだん出来るようになってると思います。

では、店長に求めることとは?

他の経営者の方がおっしゃっているのと一緒だと思いますが、自分の店だと思って経営者感覚でやって欲しいです。これまでの当社では、ひとり一人のカラーがあまり出せない環境でしたので、今それをどんどん見直していっています。これから権限も委譲していって、みんなで作る会社を目指しています。今やっと動き出せた、という感じですね。

店長も組織のトップであるので、対人間同士になったときに、この人の下でやりたい、この人を支えてあげたい、と思われる人でいて欲しいですね。そういう人じゃないと部下が辛いでしょう。

組織なのでルールや規律はあるし、それを守ることは大前提としてありますが、相手に感謝して、思い遣りをもって接すれば、立場とか関係なくて、それ以上に人としてどうなのかと言う部分が人の上に立つためには重要じゃないかなと思います。

最後に読者メッセージをいただけますか?

僕は家業であるパチンコについて、ずっと考えていたことがあります。パチンコって一体何だろう、ということです。日本独自の娯楽で、何十年も昔から存在する文化だと何となく理解しているつもりでしたが、どうもしっくりきていませんでした。

パチンコの価値やパチンコがお客様に提供できるものって何なんやろう。パチンコとは僕にとって、いつまでも答えの出ない探求するものだと思っていました。

ただ、前回の玉越の髙木副社長の記事(http://ameblo.jp/e-px/entry-10684151900.html)での、ゴルバチョフ元大統領がおっしゃったという「パチンコは平和産業だ」という言葉を聞いた瞬間に、衝撃を受けました。僕がずっと考えていたことが全て、とても小さいことに感じたんです。パチンコ店の存在って平和の象徴なんですよね。平和な国だからこそ成り立つ商売なんです。

今、不景気だと言われているし、経営者側も、働いている皆さんも不安でいっぱいだと思います。でも、それって実はとても小さいことで、本当はパチンコ店を経営できていること、パチンコ店で働いていること自体が恵まれていることなんだと思いました。自分が働く意義とか、使命とか、もっというと存在価値を認められた気がして、ただ純粋にありがたいな、幸せやなって思ってやれれば、それだけでいいんじゃないかと。

今抱えていること、悩んでいること、この先どうなっていくんやろうという不安とか色々考えていて、それは大切なことかもしれないけど、それにとらわれる必要はないんやって、ゴルバチョフ元大統領のお話に教わりました。僕自身もすごく勇気付けられ、救われました。

業界で働く皆さんも自信を持って今の仕事をやられたら、と思います。頑張りましょう!

そんな風に受け取って頂けて、髙木副社長も喜ばれると思います!色々と難しいことを考える前に、今この状態が幸せだと気がつくことが大事ですね。ありがとうございました。

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