パックエックス通信

ひぐちグループ、樋口益次郎専務 TOPから学ぶ

樋口益次郎/ひぐちグループ 専務取締役。昭和30年9月2日生まれ。昭和60年10月入社。平成2年1月経理部部長に就任。その後平成4年10月、専務取締役遊ing営業部部長を経て、平成14年4月、専務取締役パチンコ営業部本部長に就任。

>本日の『TOPから学ぶ!』は、ひぐちグループ(本社:長崎)の樋口専務です!ひぐちグループ(屋号:まるみつ)は、昭和22年に創業、九州全域に22店舗を展開(近日熊本に新規店舗オープン予定)されている老舗企業様です。

樋口専務本日はよろしくお願いします。まずは入社されたきっかけを教えていただけますか?

私がひぐちグループに入社したのは昭和60年。私が30歳の時のことなんですが、それまでずっと学生をやっていました。アメリカに5年ほど住んでいたり、好きなことをやっていました。創業者で忙しい父親とは幼い頃からほとんど接触がなく、顔を合わせても政治と経済の話しかしたことが無かったんですよ。

経営者としてはすごくいい経営者かも知れないけど、何かを犠牲にして仕事をしていたわけで、家族、子供にそのしわ寄せが来ていたんですよね。それを分かってもらいたい、という思いから、反発心を持っていて、正直父のことも、パチンコのことも好きじゃありませんでした。

それで、学生をやりながら海外で生活をしたりする間に色々と考えました。そして、父である会長と話をして、会長が掲げている「企業理念」の真意、どういった意味なのかというのを聞いてみよう。それが自分と同じ価値観だったら、この会社でやってみようかな、と思ったんです。いざ話を聞いてみると、全く同じ価値観だったんですね。「より多くの人々に憩いと安らぎを届けたい」というのがひぐちグループの理念であり、永遠のテーマなんですが、例えば分かり易く言うと、自分が朝、学校に行く前に親とケンカをして、むしゃくしゃして外に出たとしましょう。そうしたら、毎朝家の前を掃除している近所のおばあちゃんに会いました。

おばあちゃんにいつも通り「おはよう!」って言われたときに、さっきまであんなに怒っていたのに、ついいつものようににこっとして「おばあちゃんおはよう!」と挨拶をしてしまうんですね。そうすると、不思議とわだかまりが少し抜けて、爽やかな気持ちで学校に行けるんです。お店も、こんな風にイライラやむしゃくしゃしたものを吸収するような存在でありたいんです。

例えば会社ですごく嫌なことがあった日に、お店に来て、嫌なことを吐き出しながら遊んでもらいたい。お店はそれを吸収して、いい笑顔で家に帰ってもらえたら、そのお店はすごく価値があるんだと思います。ビジネスって単にお金儲けだけじゃなくて、社会にどう貢献できるか。それが企業の本当のポジション、価値じゃないかと思うんですよね。

それが会長と共鳴した部分です。やっぱり同じこと考えてるんだねって。それで、父の会社でやってみようと入社を決めたんですよ。

入社されてからは、どんな仕事を担当されたんですか?

入社した時に、全部署を見て何がやりたいか決めろ。と会長に言われました。とはいえ、やりたいこととやらなければいけないことは別ですから、社員と面接をさせてもらった上で、今必要なこと、ということで、経理をやりました。その後、色んなことをやらせてもらいましたね。

システム室を立ち上げて、コンピューターの導入、テクノロジーの整備。財務もやったし、遊ingというレンタルショップも担当して、それから、パチンコ部門の業績があまりよくない、ということでこの事業に携わるようになりました。

パチンコ営業部に入ったときに、幹部に呼び出されたんですよ。「すみません。専務はパチンコが嫌いだ。と言ってましたよね。パチンコが嫌いな人の下で仕事なんか出来ません。」と言われました。

私は確かに、パチンコはうるさいし臭いし嫌いだったけど、やるからには覚悟を決めました。「今から、貴方達以上にパチンコを好きなるから。」そう宣言して、パチンコを始めることになりました。今ですか?もう、大好きですよ。

パチンコは、日常の中での非日常な興奮なんです。それを一人でも多くの人に分かって頂きたい。そのためには、有意義な生活を送る上での、一つのエキサイティングな場なんだ、ということを自分自身が本当に分からなければいけない。だから、誰よりもパチンコをやるし、思いっきり負けます(笑)

樋口専務が考えるトップに必要なことは、どんなことですか?

背負う覚悟、ですかね。覚悟といっても窮屈なことじゃなくて、こいつらを俺が幸せにするんだ!っていう気持ちの部分ね。覚悟というのはつまり、それをやり遂げる継続力だと思う。

社員の人生、辞めた人の人生もそう。それを全部背負うんだっていう覚悟。その覚悟のベースは、やっぱりこうなりたいんだ、こうありたい、という志なんですよね。店舗の責任者も、役割は経営者と同じだと思う。いわばミニ経営者ですよ。

というか、そうなってもらいたいですね。それは経営スタイルによっても違うかもしれないけど、弊社の場合は、創業者のDNAがそれを望んでいるんですよ。会長は社員のことが好きで、みんなの能力を自分なりに発揮してもらいたい。一人ひとり違ってもいい。みんなが持っている力を出し切れる場でありたい。という思いが強い方でした。一人ひとりが言われたことだけをこなすのではなく、経営者として仕事をして欲しいですね。

弊社では、世の中には3つの飯の食い方がある。という話を昔からしています。
お布施で飯を食う。

税金で飯を食う。

交換の場で飯を食う。
この3つです。我々は交換の場で飯を食っている。というと、ベースになるのはお客様がボスなんだ、ということですよね。

お客様のために何ができるか。お客様が満足してくださったから、その報酬として売上、利益を頂いている。誰のために何をやっているの?と問われたら、遊技というものを通じてお客様に価値を提供し、それでお金を頂いている。パチンコ業というのは、そういう職業なんですよね。そういう意味では、一般に言われている顧客心理っていうのを常に外さないで考えられるか、というのが大事だと思いますよ。

顧客心理を突き詰めることがお店作りには大切、ということですね。

そうですね。「お客様が求めていることは何か。」を常に考えること。今は多角化しているし、お客様自身も分からないんだと思います。我々はプロですから、一歩先、半歩先でもいいから、これはどうかな、こっちならどうだろう、とお客様の反応を見てご提案できるお店が一番いいと思います。

それは押し付けではいけませんから、いいと思って提供しているのに、売上があがらない、お客様の支持が得られないという場合は、伝え方が悪いのか、企画自体が悪いのか、もっと徹底的に考えることが必要だと思います。

そしてまた、提供してお客様の反応を頂いて、という風に、お客様と一緒になって作るって、すごく楽しいお店ですよね。

お客様と共に切磋琢磨しながら、作り上げる。お客様に成長させてもらっている。お客様と一緒にお店を作っている。お客様の価値を頂いて我々は生活できている、ということがベースにあるといつも忘れずいて欲しいですね。遊ingというレンタルショップをやっているんですが、そのお店にいた頃は、よくこんな話をしていました。

例えば小学生のお小遣いが一月3000円だとしますよね。テレビゲームのソフトを買う場合、9000円くらい必要です。そうしたら、その子は3ヶ月、お友達とお菓子買ったり、アイスを食べたりすることを我慢して我慢して我慢して、一生懸命お小遣いを貯めるんですよ。

私達は、そんなお金を使ってもらっています。そこを決して忘れてはいけないんです。パチンコも同じですよね。この台が好きだから、この店で遊びたいからってお金を使って下さっている。勝たせろとは言いませんが、価値あるモノを提供しなければいけない。そこを理解することが大切なんですよね。

例えば接客一つをとっても、お客様は非常に敏感に感じ取ります。たまたま機嫌が悪くて、むすっとした顔でホールに立っていれば、お客様があなたを好きだったら、どうしたの?って言ってくれるかもしれない。でも、嫌いだったら、やっぱりね、あの子感じが悪いわよね。ってそれで終わっちゃうんですよね。すごく怖いことです。1回1回のお客様との接触で価値を提供しなければ、2回目はないんですよね。昨日は元気にやれたけど、今日は調子が悪い。じゃダメなんですよ。プロなんですから!

パチンコが大好きでお金を使ってくださるお客様に、何が提供できるのかを考えることは絶対に必要ですね。

そうですね。それから、お客様は業界で働く我々よりパチンコが大好きでよく分かっているお客様がたくさんいる、ということを理解することが必要ですよね。

例えばマッサージでも、触られた瞬間にそのマッサージ師が上手いか下手かすぐ分かる人がいる。プロ以上の感覚を持ったユーザーさんがいるんですよね。パチンコもそうなんですよ。自分達は釘をやってる、一番分かってる、プロなんだ。と思っているようではダメで、自分達よりももっとパチンコがもっと大好きで、もっと分かっている人たちがいる、ということを理解しないとダメ。それを分かった上でご提案する、それが本当のプロだと思います。

初めにも言いましたが、だからこそ私はパチンコを打ちます。大負けもします。でないと、お客様の気持ち、心理は分からないからですよ。引き出しから沢山のモノを出して、初心者の方、目の肥えた方、それぞれのお客様に合わせるように、色んな提案を出して上げれるかどうか。

パチンコというのは大衆の娯楽だし、そういった意味で敷居を低く、奥行きの深いビジネスができればと思います。

敷居という言葉が出ましたが、やはりパチンコは敷居が上がっているのでしょうか?

そうですね。本来大衆の娯楽であるはずのパチンコが、手軽には遊んでもらえなくなっていると思います。敷居が高くなっている原因として、大きくは二つ。

一つはパチンコの機械自体が面白くないと言われています。いま、1円パチンコが支持されていますが、それはつまり4円で打つ価値がない、とお客様に思われているということですよね。1円だったら打ってもいいけど、4円だと高いよね、と思われているんです。台自体を変えていかなければいけない、というのが一つ。

もう一つは収益構造。4号機の時には1台当たり8千円の利益をあげていたとします。それが5号機になって4千円になった。その差額の4千円をどうするか、となったときに、収益構造を変えずにそのままパチンコにオンしたんですよね。そのオンした部分は、ヘビーユーザーだけでカバーしていて、その人たちが「はあ、もう疲れた。」と言って、パチンコから離れだしたときに、やっと業界が危機感を持ち出したんです。

しかし、長い間やってきたことの結果ですから、いちホールだけではもう解消出来ない状態なんですよね。ホールも、メーカーも、設備業者も一緒になって収益構造を改革しなければなりません。

例えば1台辺り5千円としたら、3千円まで落とさなきゃいけない。その差額の2千円を誰がどう補うか。ホール側が1000円を負担します。500円は設備やさん、500円はメーカーさんが負担する。というように、みんながファンの方を向いて努力し、それがより固まって継続できる状態をつくっていかなければ難しいのではないかと考えています。

敷居を低く、というのは収益構造を下げるということ。お客様が入りやすく、遊びやすいようにしなければいけません。

それが変わらなければ、遊技人口は今後も減っていくのでしょうか。

減るかどうかは分かりませんよね。

でも、お客様はパチンコ以外の、「日常の中での非日常の興奮」を得るための他の方法を見つけるのかもしれませんよね。もっと興奮できるもの、もっと楽しいものがあるなら、お客様がそちらへ移るのは当然のことです。

「音楽を提供するもの」が、レコードからCDになり、今はダウンロードが出来るようになりましたよね。音楽を通じての価値が変わっているんです。それと同じように、お客様がパチンコ店に求めているものが、他で代用できるものがあれば、そこに変わるのだと思います。

だからこそ、今を守ろう、という発想ではなく、企業として、どう必要とされているのか、お客様にどう映っているのかということを、常に考えないといけないでしょうね。こだわり、守ろうとするのではなく、お客様がどういった価値を我々に見出して、参加してくださるか。一人と言う時間を有意義に使いながら、短い時間でもいいから、ほどほどの興奮を楽しめる。そこをどういう風に提供していくか。

だって、人の価値って、変わるじゃないですか。お客様の価値が変わるのであれば、提供する側もそれに合わせて変えないといけませんよね。

いつまでも今にこだわって縛られていては、お客様が求めている価値を見失う、ということですよね。それでは、樋口専務は夢や目標はありますか?

その質問、困るんだよね~。

はじめに、父のことがあまり好きじゃなかった、って話しましたが、そういうわけで、父の会社に入社する気もなかったんですよ。かといって、何になりたいとか夢もありませんでした。子供の時に、こんなことがあったんですよ。姉がピアノをやりたい、と言って習わせてもらったのを見て、私はチェロに興味があってやりたいなあ、と思っていたので、「ラッキー、自分も習えるかも!」と思ったんですよ。ところが父に頼んでみると、「お前は商売人になるんだぞ。そんなものは必要ない。」って言われて習わせてもらえなかったんです。

その時に、「ああ、僕は自分の夢を持っちゃいけないんだ、自分で夢を描けないんだ。」と思ったんですよね。だから、夢はなんですか?って言われるのがすごく辛かったですね。

最近でもセミナーなんかで「あなたの夢は?」と問われることがありますが、答えられない自分がいて、ここ数年ずっと考えているんですよね、実は。

私も、小さい頃から「将来の夢は?」という質問がものすごく苦手でした。樋口専務のおっしゃっていること、すごく分かります。

でも、一番自分が自分らしくいられる瞬間、ってあると思うんですよ。それって何なんだろう、自分をもっと高揚させるものって何なんだろう?それが夢につながると思いますよ。

それがもし自分でなくても、人の夢に乗っかってもいいと思うし。大好きな人がいて、その人の夢を聞いてそれに共感したら、それを応援することが夢でもいいと思うんですよ。

なるほど。自分らしくいられる、ってすごく大切ですよね。

そうだよね。私は、人を育成するときにも、どうしたらその人がその人らしくいられるか、その人のいい所を引き出せるか、ということを考えます。

例えば、私とあなたって全然違うでしょ。でも、私はあなたになれないし、あなたは僕になれないんです。でもお互いいい所がありますよね。だから、私と同じように、私の言う通りにやってください、というのはおかしいと思うんですよ。個の存在というのはすごく大事。

あなたのいいところをどれだけ引き出すか、あなたらしく楽に居られる状態を引き出してあげることが大切。それが育成だと思っています。

社員さんであれば、その人のいいところが、我が社にフィットすれば私はそれで良いと思っています。個を大切にしてあげないのに型にはめて、強制しても、ものすごく不自然でしょ。

それよりももっと自由にどんどん伸ばしてあげたほうが、むしろ効率的だし、その人を壊さないと思います。個を大切に出来る組織。そういう組織になりたいなと思っています。かといって、最低限のベースは大切でそこだけはきちんと教えますが、そのベースを出来るだけ小さくできればいいなと思います。

基本的に会社は個人が成長できる場でなければならないと考えています。

ありがとうございます!では、最後に読者の方へメッセージをお願いできますか?

自分達のやっている仕事って、世の中に本当に価値がある仕事なんだって、もう一度再認識してほしいと思っています。そしてみんなが本気になって、もっと面白いこと、もっと新しいお店をみんなで作れたらすごく楽しいと思います。

その為には業界の暗いイメージを払拭させることは不可欠なのではないのでしょうか、例えば、毎月9の日をクリーンデイにして、全国のパチンコホールのスタッフが、自分のお店から、隣のお店までの道路を掃除する(日本を綺麗に運動!)とか、業界の全員で日程を決めて献血をする(パチンコ1万人献血運動!)とか。利益を上げる、お金儲けをすること以外に、世の中に価値を感じてもらえるような取組みもそのひとつではないのでしょうか。

この業界、まだまだやれることはたくさんあって、可能性もチャンスもまだまだ沢山あります。不況だ、と言われて久しいですが、今こそ業界全体で力を合わせるチャンスだと思います。

各ホール色んなところで、一緒に話ができるようになるといいですよね。

業界全体で一斉に何かできれば、すごいことが出来そうですね。樋口専務、ありがとうございました!とても勉強になりました!

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