研修は本当に必要? 前編

現在、全国的な広告宣伝規制により、パチンコホール企業は営業方法の転換を迫られています。
厳しい規制の中、再度見直し始められているのが『人材教育』です。

既に人材教育に取り組んでいる企業も多いですが、全国的にみると、まだまだその数は少ないのが現状です。

今回は人材教育の中でも「研修」という点にフォーカスし、その重要性を2回にわたってお伝えしていきたいと思います。

パチンコ業界でも他のサービス業界と同じく、従業員研修を実施する企業は着実に増えてきています。
それだけ人材の育成・教育が企業にとって重要だという認識が経営者の中でも一般的になってきているといえます。

また、最近では広告宣伝規制の行政指導の強化も要因のひとつとなり、研修を実施する企業数が増えています。
地域差はあるものの、集客の柱だったイベントが実質的に開催することができない状況の中、イベントではなく、接客の質を上げることで集客につなげようという動きが見られます。

輪番店休日を利用した集合研修の実施など、再度従業員研修の必要性に注目する企業が多くなっています。

しかし、研修の重要性は理解しつつも、「費用対効果はどうなのか?」、「実際に集客に結び付くのか?」など、研修の効果に疑問を持つ方もまだまだ多くいます。

イベントであれば、稼働データなどによって効果が数値化できますが、研修の効果は数値化することが難しく、接客の質を向上させたことが集客に結び付いているかどうかの実感を得られにくいからです。

しかし、そもそも「研修によって接客の質が向上すれば、集客につながる」と考えること自体が間違っているとも言えます。

なぜなら接客は企業やパチンコホールの中長期的なブランディングにつながるものであり、短期的な集客を目的とするものではないからです。

接客による短期的な効果としてひとつだけ言えるのは、「クレームを減らすことができる」ということです。よい接客をすればすぐに集客に結びつくとはいきませんが、悪い接客をすれば確実に顧客は減っていきます。
これは「ハインリッヒの法則」で説明することができます。

ハインリッヒの法則

1人のお客様が来店しなくなる要因の裏には29件のお客様から寄せられたクレームがあり、さらにその裏には300件のクレームにはならなかったが小さな失敗が必ず存在するというものです。

つまりここでいう29件(顧客から苦情がくる失敗)、300件(潜在的失敗)の失敗を減らすことで顧客離れを防ぐことができるとういうことです。

そのためにも、一定の接客レベルを保つことは重要です。

一定の接客レベルが保てるようになったら、その次に中長期的にお客様を増やしていくという視点が重要となります。

人は変化することを嫌います。クレームがあったとしても、「自分達のやり方が正しいので、今回のお客様はたまたま」と思うこともあります。

しかし、パチンコホールはサービス業ですので、その考えが正解だとは言えません。

研修は、このようなスタッフ間の認識のズレを修正し、お客様にとって快適なサービスとは何かといった接客の基準を全スタッフで共有する場です。
それを続けることにより、結果として強いホールへと成長していくのです。

また、研修を実施してもなかなかスタッフが成長しないという声を聞くことがあります。

貴重な時間を割いて研修を一日受けさせたが、目に見える成長があまりなかったと感じるケースです。

これは研修の目的を誤解しているために感じてしまう不満です。
そもそも研修の目的とは、受講者に対して正しい方法を教えることであり、その正しい方法を自分のものできるかどうかは受講者次第です。
ですので、『研修には限界がある』ということをまずは認識する必要があります。

もちろん、『明日からスグに使える』というスキルや知識を研修で学ぶことはできます。
しかしそのほとんどは、研修を受けただけでは変わりません。その後の反復継続的な訓練や繰り返しが必要なのです。

下図のように、研修により引き出された能力を更に引き上げるためには、受講者自身の意識(研修を受け、それを実行するか否か)とリーダー(上司)による現場での指導(OJT)が大切です。
逆にいえば、研修とはOJTに足りない部分を補足するものです。

研修を上手に使って効果的な人材育成を行うことができれば、接客の質を上げることができ、クレームを減らすという短期的な効果につながります。
そしてそれを続けていくことで、中長期的に企業のブランディングや、成長につなげていくことができるのです。

 

―続きは後編で!

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