メディア

MEDIA

  • メディア
  • 株式会社第一物産、坂本真吾常務 TOPから学ぶ

株式会社第一物産、坂本真吾常務 TOPから学ぶ

株式会社第一物産、常務取締役

坂本真吾/株式会社第一物産 常務取締役。1996年に株式会社第一物産入社。一般社員からスタートして主任、店長、営業部長とキャリアアップし、2003年に常務取締役就任。

京都府に本社を置く株式会社第一物産は、1952年創業の企業である。「オメガ」の屋号で27店舗を展開するパチンコホール事業を基盤とし、飲食事業、アミューズメント事業なども手掛ける。

「地域に愛される総合エンターテイメント企業の創造」を企業ビジョンとし、地域に愛される店とは?従業員の幸せとは?を追求している。そんな第一物産を率いる坂本常務に話を聞いた。

22歳、経営者としてスタート

坂本氏が株式会社第一物産に入社したのは1996年、22歳のとき。きっかけは父親の他界だった。「父親が一代で立ち上げた会社と従業員を守らねば。存続には自分が立ち上がるしかない!」と強く誓い、大学卒業を断念しての入社となった。

社会人のスタートとなった1年間は同業他社で修業し、そして第一物産へ。入社後は他の社員と同じく、一般社員からスタートし、主任、店長へとキャリアップしていった。

「甘い考えは絶対に持たないようにしていました。現場での仕事を経験し、実力を付けてキャリアアップしていかなければ、将来経営者になったときに従業員はついてきてくれない。そう考えてのことでした」

その後店長を経て1999年に本部に異動となり、営業Ⅰ部課長に就任。会社経営に携わるようになっていった。経営者になったばかりの坂本氏にとっては、すべてが難題だった。そんなときに力になったのは新卒入社の社員だったという。

「会社をよりよくしようと、様々な社内改革に取り組みました。しかし、最初はなかなかうまくいきませんでした。私より社歴の長い人も多かったですし、組織を動かすということは難しいことでした。そんな状況から一気に改革が進んだのは、新卒入社の社員が既存社員の数を上回った頃でした。

私の考えを伝え育ててきた新入社員たちがそれぞれの立場から会社をよくしようと動いてくれるようになり、改革のスピードは上がっていきました。実は20年前に入社した新卒一期生23名のうち、10名が今も会社に残り、それぞれ営業、企画、経理など、会社を支える重要なポジションで活躍してくれています」

新卒一期生の活躍が、会社の強み

パチンコ業界では約20年前から新卒採用を行う企業が増えてきた。しかし、新卒一期生が現在も在籍している例は少ない。第一物産の場合、在籍しているだけでなく、重要なポジションに就いて会社の中心となっていることが、企業としての強みにもなっている。

「彼らが入社した頃、私は営業の統括をしていましたから、直接仕事で関わることも多かったです。これまでずっと仕事を通じて価値観を共有し、信頼関係を築けているので、安心して任せられています」

一期生採用に惹かれた

では新卒一期生はそれぞれどのようなきっかけで入社をしたのか、入社の決め手はなんだったのか、インタビューを行った。

山崎弘和/エンターテイメントオメガ事業部 M.S.C担当部長(M.S.C 遊技機管理、計数管理、不正対策、庶務の4つのカテゴリーからなる部門)
「私が就職活動をしていた当時は超氷河期と言われていました。資料請求をしても返事がない会社もたくさんある中で、第一物産はとても丁寧に対応してくれたのが印象的でした。最終的な入社の決め手となったのは、やはり一期生採用だということです。何か新しいことができるんじゃないかと思い入社を決めました」
上田剛士経理部部長
「第一物産を知ったきっかけは、DM(ハガキ)です。一期生採用を大々的に謳っていて、興味を持ちました。話を聞いてみると、パチンコ以外にもホテル、カラオケ、焼肉と、いろんなことをしている会社なのだと知りました。私の父も経理部長だったんです。私も簿記を勉強していて、数字への興味が強かったんですね。いろんな事業をやっているなら、数字に関しての様々なノウハウがあるのではと考えたこと、それからやはり一期生ということで、やりたいことを任せてもらえるのではないかと考え、入社を決めました」
藤林茂樹総務部部長
「当時、採用活動の手法としてテレアポがよく行われていたのですが、私が第一物産を知ったのも電話がきっかけでした。話を聞いてみると他社にはない熱さを感じたことを覚えています。私の大学には大手企業への就職の推薦枠があって、私はその枠に選んでもらっていました。面接も受けに行ったんですけど、結果的には第一物産を選びました。当時は大卒でパチンコホール企業に就職する人は少なかったですし、大手企業を蹴ってまで就職するというのは異例でした。第一物産を選んだ理由は、これから新卒を採用して会社を成長させようとしているエネルギーの高さに魅力を感じたこと。そしてもうひとつは、お金を稼ぎたかったからです。大企業に入ったら優秀な人はたくさんいるでしょうから、なかなか出世するのは難しいのではないかと思いました。だったら、大卒入社の人が少ない分ライバルが少ないであろう業界に入った方が出世できる確率が高く、お金も稼げるのではと考えたのです」

きっかけ、入社の決め手はそれぞれ異なるものの、「一期生採用」だったことのインパクトは大きかったようである。こうして、チャレンジ精神旺盛で個性豊かなメンバーが集まることとなった。

新入社員全員、グランドオープン店に配属

新卒一期生は全員入社後すぐ、グランドオープンする寺町店に配属された。そのためオープニングスタッフの“8割は素人”だったという。知らないことばかりの中、自分たちでアイデアを出しあって店をつくりあげていくことが求められた。朝5時まで仕事、一旦解散して朝8時に出勤ということもあったという。

入社したばかりの新入社員には過酷な環境のようにも思えるが、一期生に話を伺うと一様に「いい経験になった」「楽しかった」と話す。どこかで機械トラブルが起きると、修理の仕方を学ぼうと集まるなど、みんな仕事に対して非常に貪欲だったという。

山崎弘和M.S.C担当部長
「接客ひとつとってもマニュアルが存在しなかったので、0から1を産む苦しみを体験することができ、結果として私たちにとってとてもいい経験になりました。会社から指示されることを行うのではなく、自分たちでどうするべきかを考えることができました。そのおかげで考える癖が培われたように思います。」
吉村拓朗エンターテイメントオメガ事業部本部長
「当時、自分が本部長だったら、こんな決断できないです。ほとんど業界のことを知らないメンバーだけでオープンですから。でもそれが私たちにとってはありがたい経験でしたし、この会社を選んでよかったと思うところでもあります」
長澤智之企画部課長
「当時のことは楽しかったという思い出です。同期と新規のアルバイトさんと、みんなで一緒に店をつくり上げていきました。初めて行うことばかりで、毎日が新鮮でした。接客することも楽しかったですし、仕事が終わってみんなで飲みに行くのも楽しかったです。当時はつらいこともあったのかもしれませんが、今となっては楽しかった思い出です」
上田剛士経理部部長
「グランドオープンというと会社の一大事ですから、そこに配属されるとなればプレッシャーもあるかと思います。ですが当時は何も知らなかったのでその感覚はなく、学園祭のような感覚で楽しかったです。今考えれば畏れ多いことですよね。大変なこともあったと思うのですが、何も知らなかった分それが当たり前でした。だからこそ乗り越えられたのかもしれません」

信頼関係

素人ばかりでオープンしたという寺町店。当時営業を統括していたのは坂本氏だった。当時の坂本氏は、会社をさらに発展させていくために組織改革を進めていくことを考えていた。しかし社員のほとんどは自分よりも社歴が長く、年齢も上。坂本氏の意見が通りやすい環境ではなかった。

自分が経営者となったときに必要なのは、自分の想いに共感して共に動いてくれる人。そう考えた坂本氏は、自らプレイングマネージャーとなって新卒入社の社員たちを後の幹部へと育てていくことを決めた。

山崎弘和M.S.C担当部長
「グランドオープンというと会社の一大事ですから、そこに配属されるとなればプレッシャーもあるかと思います。ですが当時は何も知らなかったのでその感覚はなく、学園祭のような感覚で楽しかったです。今考えれば畏れ多いことですよね。大変なこともあったと思うのですが、何も知らなかった分それが当たり前でした。だからこそ乗り越えられたのかもしれません。
同期は一期生採用に惹かれて入った人が多かったので、それぞれ個性豊かで、我も強いタイプでした。坂本常務でなければまとめられなかったのではないかと思います。これまで辛い時期もあったのですが、辞めたいと思う以上に仕事がおもしろかったから今まで続けることができています。常務は『できません』は許してくださらないんですよ。ですから勉強してスキルアップしてできるようにする。そうやってこれまでやってきました。それから、入社当初から常務とは近い立場で仕事をしてきたので、価値観も共有できていますし、意見を言うこともできます。私の意見もきちんと聞き入れてくださるという関係性ができているのがいいことなのではと思います」
鷺山喜嗣企画部部長
「常務は自分がみんなの見本になろうと、仕事に本気で取り組む姿を見せてくれていました。年齢も同じなのに、本当にすごいと思いましたし、尊敬しました。その姿を見ていたらがんばらないといけないと思いました。その気持ちは今も変わらないです。育ててもらったという想いがありますね」

失敗も成長するために必要なこと

「ここ数年は任せることをより意識し始めました。実は5年程前は、非常に経営が苦しく、1店舗も失敗できないような状況でした。ですから部下に任せるというよりは、自分が前に出ていかなければいけないという想いが強かったです。

その状況をなんとか乗り越えてからは任せることへの意識が強くなりました。それでもし失敗したとしても、成長のための必要な勉強だと思えるようになりました。5年前と比べると私自身も会社も随分変化したと思います」

この坂本氏の考えを、新卒一期生はどのように捉えているのだろうか。

鷺山喜嗣企画部部長
「以前から任せるということはされていたかと思いますが、それがより強くなった感じでしょうか。ゴールを共有したらそのあとどのようにゴールに向かうかは任せてもらっています。その途中で常務の確認が入る感じです。ただ、その頻度が前より少なくなったようには思います。私がいる組織も2年ほど前に少し大きくなったので、その分任せてもらえることも増えました」
吉村拓朗エンターテイメントオメガ事業部本部長
「任せてもらっているということはすごく感じます。意見を立ててもらえることも増えたように思います。誰かが常務に判断を求めても、本部長はどう言っているか聞かれるそうで、結局私のところに聞きに来るという人も多いです。それだけ任されているということだと思います」
藤林茂樹総務部部長
「以前よりも会社として、若い人たちに任せるようになったと思います。若い世代には若い世代の発想がありますし、そっちの方がお客様の反応がよかったということもあります。常務も私たちも年齢を重ねてきて、これからも自分たちが中心となっていくのかと考えたときに、これからはもっと若い人たちも巻き込んで一緒にやっていこうという、常務の気持ちの表れなのかもしれません」

ポストを用意すること

そんな第一物産の今後について、坂本氏はどのように考えているのだろうか。

「以前は明確な店舗数を目標にしていましたが、今はないですね。店舗の数を増やすことよりも、企業ビジョンを実現できる店舗をどれだけ増やせるかを目指しています。ただ、出店は続けていきたいですし、他業界への展開も積極的に行っていこうと考えています。というのも、新たなポストを用意していきたいからです。以前出店を止めていた時期があったのですが、ポストが不足してしまい、社員の成長を止めることになってしました。

会社が発展していくためには、社員の成長が欠かせません。私にできることは、ポストを用意することだと考えています。また、新たな出店や他業界への展開は人の成長を促すだけでなく、採用できる人材の幅を広げることにつながります。様々な能力を持った人材を採用し、そして採用した人が活躍できる会社にしていきたいです」

入社当時から経営者になることを意識し、チームをつくりあげてきた坂本氏。パチンコ業界だけでなく、他業界にも積極的に展開する企業へと発展している。

人の成長が、会社の成長。入社当初から変わらない想いで、今後も新たなポストを創出し続け、企業ビジョンを実現できる店舗を増やしていきたいという。