TOPから学ぶSPvol.4 株式会社アット 尹 未宇社長 前編

順調とは言えないスタート
尹氏の経営者としてのスタートは、決して順調とは言えなかった。 「お前がやらないのならパチンコ事業は辞める」 アメリカ留学中の父からの電話に、状況もわからないまま、辞めるぐらいなら自分がやろうと決意したという。 帰国後2003年に株式会社アットに入社するが、当時の経営状況は思わしくなく、まずは借金を返済するということから始まった。 これが尹氏にとって、社会人として、そして経営者としてのスタートでもある。 「帰国後すぐに、全てを任されることになりました。わからないことばかりでしたが、父に聞いても『自分で考えろ』『全部やれ』としか言われませんでした。 でも今思えば、そうやって全て任せてもらえたから、自分がやらなければいけないという責任感を持つことができました」 当時は、開店後数時間経っても来店客は0人ということもあったというが、現在営業は非常に安定している。 しかし、その一方で人材育成の難しさを改めて感じる出来事もあったという。「わかりました」とは言うけれど…
以前ある事件が起こった。 ある社員(Aさん)が出勤時間になっても店舗に現れなかった。 その場にはアルバイトスタッフしかおらず、Aさんに連絡を取ろうにも連絡先がわからなかったという。そこでアルバイトスタッフが別の社員に連絡を取って事情を話し、Aさんに連絡を取った。 当時のことを尹氏はこう振り返る。 「別の社員がAに連絡を取ったら、寝坊してしまったということですぐに出社してきました。ですが店舗の業務には社員だけにしかできない事もあります。短い時間ではありましたが、アルバイトスタッフだけにしてしまったことに、社員としての責任感が足りなかったととても反省していました。ですが人間だからミスはあります。だからこそ、みんなで補えるような体制作りをしていかないといけないという話を社員達としました。 この事件によって社員同士の連絡先はわかるけれど、アルバイトスタッフとは共有していないことがわかりました。そこで、今後の対策のためにとアルバイトスタッフも含めた連絡網を作りました」 ところが、そのすぐ後に同じような事件が起こった。 「今度は別の社員(Bさん)が寝坊して遅刻するということが起こりました。 連絡網を使えるように準備していたかと聞いたら、していなかったと言うんです。 それに対して私はすごく怒りました。 BはAがとても反省している姿を見ていたのに、対策しなかったのです。 Aの事件があったからこそ、連絡網を作ろうということになったのに、人をバカにした行為だと叱りました。自分の伝え方が悪かった部分もあるので自分も反省しています。」成長するタイプとは
同じようにチャンスがあったとしても、成長する人、しない人がいる。その違いは何か、どういう人が成長するのか。 人材育成について考えていた尹氏は、その後の自分自身の経営者としてのターニングポイントともなるある本と出会う。 それが「経営の教科書(新将命著)」である。 「この本に出会い、経営者として必要なことを改めて感じました。大阪に出張に行くときに持って行ったのですが、東京、大阪間の新幹線でほとんど読んでしまう程熱中しました。 この本の中でも印象的だったのは、ビジネスパーソンを“情熱”という切り口で分けると5つのパターンに分けられるという話でした。 それは、“自燃型、可燃型、不燃型、消火型、点火型”※の5つです。 自然型、点火型の人はそれ程多くはないけれど、自分で自分に火を点けて成長していくので問題ありません。組織としては、全体の80%以上を占めるという可燃型の人にどう火を点けるかが重要です。つまり、経営者は自然型であり点火型でなければいけないのだと思いました」 ※ 自然型:自ら進んで情熱の火を燃やし、燃えた火を持続させる人 可燃型:自分からは燃えていないが、だれかがマッチを擦ってくれれば燃える人 不燃型:自分からも燃えないし、人がマッチを擦ってくれても燃えない人 消火型:周りの情熱の火を消してまわる人 点火型:情熱の火をともすことができる、“マッチの擦り方”を知っている人 ―中編(12/2)につづく―メルマガ登録はこちら
パック・エックス通信は毎週水曜日更新です。 メルマガにて更新のお知らせを配信中です。 メルマガ登録を希望される方は下記フォームよりお申込みお願いいたします。エラー: コンタクトフォームが見つかりません。