パックエックス通信

大山観光グループ、坂本 勝章総務課長 TOPから学ぶ

坂本勝章/大山観光グループ 総務課長。1995年大山観光グループ入社。就業規則の作成、人材育成、障碍者雇用などを行いながら、2001年新卒採用からは採用責任者を務める。

今週のパック・エックス通信は大山観光グループの坂本課長のインタビューです。2001年新卒採用から責任者として採用活動に携わってこられた坂本課長。入社の経緯から、新卒採用に携わるようになるまでのお話、新卒採用で会社がどう変わるか、障碍者雇用についてなどを語っていただきました。です。

坂本課長、本日はよろしくお願いします。まずは入社の経緯から教えていただけますか?

変わってると言われるんですけど、26歳のときにダンスを始めたんです。本気でダンサーを目指そうと思って東京に行き、レッスンしながら1年程ディズニーランドで働いていたこともありました。
結婚を期に義父から家業である鋳物屋を継いで欲しいと言われ、ディズニーランドを辞めて鉄工所に修行に行きました。最初は2年という約束だったんですが、7年程働きましたね。

でもやはりダンサーを目指したいという気持ちがあり、「1年間だけ練習中心の生活をさせて欲しい」と言って辞めることになりました。

とはいっても当時子供もいたので、生活がありますよね。時給のいいアルバイトを探している中で出会ったのが大山観光でした。働きだして1週間程したときに、社員にならないかと言わたんですよ。練習中心の生活がしたいからと断ったのですが、練習の時間が確保できる勤務時間でいいからと言われ、社員として入社することになりました。それが1995年のことです。

大山観光様で働き続けようとなったきっかけは何かあったんですか?

入社して1年程経ったときに体を壊して約2ヶ月間入院したんです。ちょうどオーディションを控えていた時期で、退院しても間に合わないなと思いました。入院中はずっと考えていましたよ。これからどうやって生きていくのか。36歳になっていたので、いつまでダンスという夢を追いかけるのか。才能ないんじゃないか。でも諦めきれない自分もいて、毎日葛藤していました。その頃ここでの仕事もおもしろいと思うようにもなっていたので、だったらこれで生きていこうと考えました。

どういうところにおもしろさを感じられていたんですか?

接客です。お客様とのやり取りがおもしろかった。自分の対応次第で相手の反応って変わるじゃないですか。お客様の癖を覚えて、それぞれに合った接客をするようにしていました。それがおもしろくて。毎日毎日お客様にどんなことをしようかと考えていました。昨日は怒られたから今日は絶対ありがとうって言ってもらおうとか。ありがとうと言ってもらえるのはプロなので当たり前ですから、そうじゃなくて驚きを提供したかった。こんなおもしろい仕事がこんなところにあったんだと思いましたし、やりがいを感じていました。

退院後はどのような仕事をされるようになったんですか?

退院後、店長にここでがんばりたいと伝えました。そうしたらいきなり主任にされたんです。それまで開店業務も閉店業務もしたことがなかったですし、ホールコンも触ったことがありませんでした。元々パチンコはしないからわからないし。えらいことやと思いましたよ(笑)。そこで1回聞いたことは二度と聞かないというルールを自分で決めました。そのかわり知らないことは全部聞く。毎日学んだことをメモし、就業後に清書して、就業前には見返してということを繰り返していました。

私が入社した翌年の1996年4月に幹部候補として新卒1期生が入社したんですが、負けてられないから他人の3倍やろうと思いました。当時社内で研修をやり始めたところだったんですが、研修すると聞きつけたら勝手に参加していました(笑)。

そういうことをしながら、周りに主任と認められるまでに半年かかりました。

今坂本さんの仕事は相談役(当時は社長)と関わる仕事が多いと思いますが、相談役とはいつ頃から関わるようになったんですか?

主任になってからトレーナーという委員会ができてその責任者になりました。その関係でよく本社に来るようになったのですが、その度に常務が私のところに来ていろんな話をするんですよ。お前みたいなやつが来るのに10年かかったといわれました。

入社3年後の1998年にヘッドチーフになり、直属の上司が常務になりました。ヘッドチーフという役職はそれまでなかったので何をする仕事かもわからなかった。常務に聞いたら「自分で考えろ」といわれました。席は社長(現相談役)の近くになったのですが、社長とはそのとき初めて話しましたね。「お前はここにいて、耳をダンボにして幹部の会話を聞いてなさい。それが仕事や。」と言われました。

それからもうひとつもらった宿題が、就業規則をつくることでした。社長は、社員が長く安心して働ける環境をつくりたいという想いがあり、そのために就業規則をつくってほしいということでした。

労働法のことはまったくわからなかったので、自分で本を読んで勉強を始めました。顧問弁護士や労務士の方に相談しながら、1年かけてつくったのですが、会議に出してもなかなか話が進まないんですよ。それで自分で労基署に持っていったんです。そしたら社長に呼び出されてお前にそんな権限はあるのかと言われました。

私としては誰も決裁しないから自分がやったのになんで文句言うの?という感じです。権限はないけど、自分は会社のためにやっているんだから任せてほしいと言いました。社長もそれならわかった、と了承してくれました。

でもそこから実行するのには3年ほどかかりました。最初はなかなか受け入れてもらえなかったですね。店舗を回って、一人一人と話をしました。新卒で入社した社員たちを巻き込みました。なぜ就業規則が必要なのか。これがあることでこういう風に働きやすくなる。僕は子供に誇れる会社にしたいし、君たちにもこの会社に入社してよかったという気持ちを持ってもらいたい。そういう想いでつくったんだと伝えていきました。そうするうちに徐々に理解してくれる人が増え、協力してくれる人も増えていきました。

何が坂本さんの原動力となったんでしょうか?

社長から就業規則の話をもらったときは、チャンスをもらったんだからこれは絶対やらなきゃいけない。やると決めたからには実行するしかないと思っていました。反対があれば、それをどうやってなくすかを考えていました。それしかなかったです。

お話を聞いていると、反発があってもあまりストレスに感じていらっしゃらないように思うのですがいかがですか?

そうですね、反発されることがあっても、なんで怒ってるんですか?という感じです。話し合いをしていくうちに最終的にはわかってくれるんですけどね。単なるコミュニケーションギャップなんです。ただ、やはり会社に対して納得できないという人たちはいて、そういう人たちは辞めていきました。

現場の反応が変わったのはどのタイミングでしたか?

残業を半分にしてくださいと言ったときですかね。まずは主任クラスの社員たちに自分の1日の業務を見直すようにいいました。そうるすことで無駄があることがわかったし、本来もらえるはずの残業代がもらえてないということに彼ら自身が気づいたんです。就業規則を守って働くことで、残業代ももらえて、自分の時間も持てて、働きやすくなるということに気づいてくれたことで、現場が変わっていきました。

現在は新卒採用の責任者をされているので、そちらのお話を伺いたいと思うのですが、まずは新卒1期生が入社したときの社内の反応はどうだったか覚えていらっしゃいますか?

無関心でしたね。なんで会社はこんなことやっているんだろうという感じです。まだスタッフがホールでタバコを吸っているような時代でしたからね。

新卒1期生として17名が入社しましたが、1年もたなかったです。世間のパチンコに対するイメージもよくなかったですし、家族からの反対もあったみたいです。それに耐えられなくて一気に辞めていきました。だから私自身も1期生の記憶があまりないんです。

2期生からは採用人数も半分程になりましたし、だいぶ辞めなくなりました。

坂本さんはいつ頃から採用活動に関わるようになったんですか?

私が採用責任者となったのは6期生からです。1、2期生のときは常務、3~5期生のときは当時社内でカリスマ的な存在だった店長が行っていました。

私も3期生の頃から合説やセミナーには参加していました。いろいろみていく中で疑問点はたくさんあったので、これじゃだめだという思いはずっと持っていました。

どういったところに疑問がありましたか?

一番気になっていたのは、「人」で採ろうとしすぎているところです。常務やカリスマ店長をアピールポイントにして採用活動をしていました。でもそうするとその人たちがいなくなったときに困るのではないか。そうではなくて、会社の魅力で採れるような仕組みに変えなければいけないと思いました。

そこでパンフレットも作り直しました。この会社ではどんなことができるのか、新しい仕事も任せてもらえるという社風や、労働環境、取り組み内容を紹介しました。

採用活動を始めてすぐは、経営者の魅力で採らざるを得ない企業もあると思うのですが、そこはどのようにお考えですか?

初期の段階では経営者の魅力で採っていいんだと思います。新卒を始めるときに重要なことは、目的を明確にすることです。次の世代を担う人材が欲しい、自分の右腕が欲しいなど、いろいろとあると思うんですよね。特に自分の右腕がほしいのであれば、自分が全面に出て、学生と向き合って、自分に共感してくれる人を採らないといけないと思います。

新卒採用をしたいと思いながらも、「まだ3店舗だから・・・」といった規模を理由に躊躇する企業も多いと思いますが、それについてはどうですか?

出店する予定がないのであれば、新卒採用はしない方がいいと思います。でもいずれは出店していきたいだとか、パチンコ事業以外にも発展させていきたいといった構想があるのであれば、怖がらずに始めるべきですね。ちゃんと自分の意思を受け継ぐ人を育てないといけないと思います。

セミナーを開催するにあたって参加企業にアンケートを取ったのですが、新卒採用の最大のメリットは、「思想を受け継いでくれる人材を純粋培養できる」ということでした。思想を継承する一番のメリットは団結する力が生まれることですね。たくさん人がいても同じ方向を向いていなければ集団の力は発揮できません。

共通言語があるからぶれないということだと思うんです。だから自分が想う会社をつくりたいのであれば、規模の大小に関わらず、始めるべきです。

やるかやらないか迷ったらやる。その方が会社のためにも、社員のためにもなるんです。なぜかというと、未来に向かって歩き出していることがスタッフにわかるからです。始めることで、スタッフの心も動かすんです。だから迷ったらやってほしい。たくさん採らなくていいんです。1、2名でもいいから自分の夢や想いを受け継いでくれる人を採る。そのためにも出会わないと見つからないです。経営者は決断しないといけない仕事ですよ。

採用活動を始めても人が採れないという企業も多いですよね。

採れないのは軽い気持ちでやっているからです。なんでもそうですけど、やると決めたらやる。絶対採ると思っていたら採れるんです。新卒採用が絶対に必要だと思っていないから失敗するんです。絶対採るという信念があるなら、手法はいくらでもあるし、知恵を絞ってやると思うんですよ。それからホールの経営と、人の採用を分けて考える人が多いんですよね。人・物・金全てが経営です。どれかだけやろうとするからうまくいかない。

例えば採用活動に会社が協力してくれないということもあると思うんですよ。そうすると採用担当者はいくらがんばっても評価されない。その人が辞めると、ついてきていた新卒も辞めちゃうんです。経営者が会社として採用活動をやるという姿勢を見せないとなかなか変わらないですね。

障碍者雇用をされていますが、そのきっかけは企業のアピールポイントをつくる一環だったんでしょうか?

いえ、それまでも役員を中心にボランティアをやっていたんでが、社長がもっと積極的に世の中に貢献できることを考えなきゃいけないと言ったことがきっかけですね。ボランティアでお世話になっていた支援(旧養護)学校の進路指導の先生に相談しながら進めていきました。

障碍者雇用を始めるとなったときの社内の反応はどうでしたか?

社長は会社として全面的にやると言っていましたが、他の役員からの賛同は得られなかったです。でもトレーナー達が賛同してくれて、いいことだと思う、やりましょう!って言ってくれたんですよ。今も障碍者の面接をした後、トレーナーが講師となって研修を行います。トレーナーが大丈夫だと判断した障碍者を採用するようにしています。

障碍者の方はどういうお仕事をされているんですか?

ホールのクリーンスタッフです。やっぱり問題はありますよ。いきなり後ろから大きい声で「失礼します!」と声をかけてしまったり、ぶつかったのに謝らなかったり。でも続けていくうちに現場のスタッフが自然に受け入れられるようになりました。何かあっても自分たちで何とかしようとするんですよね。

よく坂本は採用するだけで後はほったらかしだなと言われるんですよ。でも現場のスタッフたちが自ら障碍者を受け入れる体制をつくれるようにならないと私がいなくなった場合に困るじゃないですか。長く続けるためにも、採用後は現場に任せるようにしています。

障碍者雇用することによって得られたことはなんですか?

大阪府の第1回ハートフル企業顕彰<生活の充実につながる活動>分野賞を頂いたのですが、それでがらっと変わりました。社長も役所に行くと「あの大山観光さんですね」と言われることがあったみたいです。社員たちも自分たちの会社を誇りに思ってくれるようになりました。転職してくる社員の中にも自分の子供が障碍を持っているという方もいますよ。子供の世話ができるように、労働環境が整っているところで働きたいといって転職してくるんです。

お店には高齢者の方、障碍者の方も来られます。すばらしいサービスを提供しようとしている我々が差別感を持っていたらいけないですよね。お互いを一人の人間として尊重することができる人材を育成しないと、サービス業としては生き残れないです。障碍者雇用を始めて12年経ちましたが、彼らと出会ったことで自分が生かされているんだと感じるようになりました。

賞をいただいたことで、いろんなところに行くようになり、出会いの機会も増えていきました。新卒採用やっていると毎年春はむちゃくちゃ忙しいんですよ。そういうときに障碍者雇用を通じて出会った人がメールをくださったり、本を送ってくださったりすることがあるんです。それにはいつも感動しますね。その方々と出会えたのも障碍者雇用を始めたからなんです。本当に出会いに感謝です。

座右の銘はありますか?

「ザ・適当」です。そう言うといつも笑われるんですけどね。手を抜くことじゃないです。適切にやるけど完璧にやらないということです。ひとつを集中してはできないので、それぞれをそのときできる最善の方法でやって、ちょっとずつ前進させる。僕にはこれが向いてるんです。

最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

経営者であれ、社員であれ、自分の意思で決めて欲しい。やりたかったらやればいいし、できなかったらできる方法を考えればいい。自分の人生を人に委ねてはいけないと思います。人生はそうしないとおもしろくないと思うし、責任のない物事ってなんのもおもしろさもないと思うんですよね。

ありがとうございました!

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